あれほど国民から批判されたにもかかわらず、自民党の今井絵理子・参議院議員(39)は再び“海外視察”へ行く。改めて振り返ると、彼女は7月24日から28日まで、3泊5日の日程でフランス研修に参加した。写真週刊誌のFLASH(電子版)は旅程表を入手、8月6日に配信した記事で実態をすっぱ抜いた(註)。その“研修内容”は驚くべきものだった。
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【写真6枚】今井絵理子の移動車を運転する「ハシケン」 髪を伸ばし、かつて不倫が報じられたときとは印象が異なる FLASHが伝えた研修旅行の日程から、ポイントを箇条書きで紹介しよう。どう見ても単なる“観光旅行”で、申し訳程度に“視察”が付け加わっただけだ。国民から厳しい疑問の声が湧き上がったのも当然だろう。

今井絵理子参院議員◆初日はホテルで結団式。旅程表にはわざわざ「肉料理」と書かれていた。◆2日目は午前中、国民教育・青少年省の担当者からブリーフィングを1時間。これで研修は終了。昼食の「魚料理」を終えると、リュクサンブール宮殿(国会議事堂)やエッフェル塔を観光。2時間の自由時間を挟み、午後8時半からは豪華なディナークルーズ。◆3日目は午前中に国会議員だけが保育園を視察。その後はシャンゼリゼ通りでの自由行動が2時間以上用意され、旅程表には「ショッピング等をお楽しみください」と明記されていた。 フランス研修のあきれた実態が問題視されたのは新聞報道がきっかけだった。7月30日、毎日新聞(電子版)は「自民女性局のフランス研修写真が物議 SNSに投稿」との記事を配信、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。 参加者が研修の様子をSNSに投稿し、それを見た人から違和感が指摘されていた。毎日新聞の報道もネット上の批判を伝えたものだったが、記事は拡散に拡散を重ね、テレビ局なども後追い報道したため多くの国民が実態を把握、世論は沸騰した。居直りのような投稿 批判が集中したのは、エッフェル塔の前でポーズを披露した自民党の松川るい・参議院議員(52)と研修旅行の成果をX(旧Twitter)で強調するなど全く謝罪しなかった今井氏だった。担当記者が言う。「今井さんは7月30日、自身のXに《この度の訪仏はとても実りあるものでした。これからも様々な国の方々との交流を積極的に行っていきたいと思います》と投稿。批判を無視し、まさに居直ったかのような文章が国民の怒りを買いました。この投稿には《また追って活動報告します》という一文があるのですが、8月28日現在、今井さんは研修の追加報告を全く行っていません」 今井氏は7月30日、フランス研修に関する報告を「 廚箸靴Xに投稿。《地域によって就学率が低かったり、ドロップアウトするなど地域間格差がある》などと記したが、その後、「◆廚投稿された様子はない。ちなみに、8月28日現在の最新の投稿は15日のもので、終戦記念日に関する文章が綴られている。 8月22日、日刊ゲンダイDIGITALが「今井絵理子議員に国民から“リマインド”殺到! フランス研修『活動報告』宣言から3週間放置」との記事を配信した。フランス研修に関して「◆廚投稿されていないことを揶揄する内容だった。自民党が今井氏を推薦 ところが新たな動きがあった。25日、参議院事務局は「参議院ODA調査派遣団について」とのプレスリリースを発表、スリランカとバングラデシュに参議院の議員団が派遣されることを伝えたのだが、その中に今井氏の名前が記載されていたのだ。「参議院の調査派遣団は8月29日から9月7日までの10日間、スリランカとバングラデシュで日本のODA(政府開発援助)がどのような状況になっているのか、現地で調査を行うようです。団長は自民党の中西祐介氏(44)、団員は立憲民主党の小沢雅仁氏(58)、公明党の三浦信祐氏(48)、そして今井さんの計4人です」(同・記者) デイリー新潮が参議院に取材を申請すると、事務局が応じた。まず、なぜ今井氏が選ばれたのか質問した。「ODA調査で派遣される議員団のメンバーについては、今年5月の議院運営委員会の理事会で、各会派の事務局から推薦をいただきました。選ばれる議員の方々ですが、基本的には『参議院政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会』の委員か、元委員が多いと思います。割り当ても各会派で決まっておりますので、どの先生(議員)を推薦いただくかについては、各会派の中でご検討いただいたと考えています」日程と活動報告に対する疑問 参議院の公式サイトには特別委員会の名簿が掲載されている。それによると、委員長や理事も含め、自民党の参議院議員は計17人。この17人から厳選に厳選を重ね、よりによって今井氏を推薦したというわけだ。 わざわざ今井氏を選ばなくてもよさそうなものだが、「旅程が気になる」という方も多いだろう。またぞろ物見遊山のような視察を繰り返されてはたまらない。その点を質問すると、次のような回答だった。「今回の派遣期間は10日間ですが、移動を除くと実質7日間程度です。その中で、20か所近い視察を行います。さらに現地で頑張っている青年海外協力隊の方々との意見交換も予定しており、かなりタイトな、きつい日程だと考えております。過去に参加された先生方も『大変だった』と仰ることが多いです」(同・事務局) 最後に活動報告について訊いた。フランス研修の実情を今井氏は全く報告していない。有権者の大半は税金を払っている。ODAの研修でも同じことを繰り返すのだとしたら、特に有権者から強く批判されるだろう。「参議院ODA調査派遣については、平成16(2004)年度の第1回以降、毎回、報告書を作成して参議院の公式サイトで公表しております。過去の例ですと、調査派遣が終わると、議員団から報告を聴取した上で、意見交換のための委員会も開催しました」(同・事務局)今井氏は「内閣より国家が大切」 岸田内閣は低支持率に苦しんでいる。8月27日に毎日新聞と読売新聞が内閣支持率を報じたが、前者が26%、後者が35%だった。原因の一つとして、フランス視察への批判を挙げる指摘は少なくない。 今井氏は研修中、フランスの国会議員と意見交換を行った際の写真をXに投稿。外交について《こんな言葉》を聞いたと披露した。いわく、《「内政の失敗は内閣を滅ぼすが、外交の失敗は一国を滅ぼす」》──。だからこそ、どれだけ国民から批判されても、彼女は「外交=海外視察」に注力するということなのか。 今井氏の《失敗》によって岸田内閣は多大な損害を受けた。だが、彼女は自民党の国会議員であるにもかかわらず、岸田内閣の低支持率に関心はないのだろう。最優先は国家と外交であり、内閣の浮沈は二の次だとXで断言しているからだ。そして彼女はスリランカとバングラデシュに向かって旅立つ。確かに言動一致と言えるのかもしれない。註:今井絵理子・松川るいが参加した「パリ視察」全スケジュール…研修はわずか6時間、セーヌ川クルーズ、シャンゼリゼで買い物(FLASH電子版:8月6日)デイリー新潮編集部
FLASHが伝えた研修旅行の日程から、ポイントを箇条書きで紹介しよう。どう見ても単なる“観光旅行”で、申し訳程度に“視察”が付け加わっただけだ。国民から厳しい疑問の声が湧き上がったのも当然だろう。
◆初日はホテルで結団式。旅程表にはわざわざ「肉料理」と書かれていた。
◆2日目は午前中、国民教育・青少年省の担当者からブリーフィングを1時間。これで研修は終了。昼食の「魚料理」を終えると、リュクサンブール宮殿(国会議事堂)やエッフェル塔を観光。2時間の自由時間を挟み、午後8時半からは豪華なディナークルーズ。
◆3日目は午前中に国会議員だけが保育園を視察。その後はシャンゼリゼ通りでの自由行動が2時間以上用意され、旅程表には「ショッピング等をお楽しみください」と明記されていた。
フランス研修のあきれた実態が問題視されたのは新聞報道がきっかけだった。7月30日、毎日新聞(電子版)は「自民女性局のフランス研修写真が物議 SNSに投稿」との記事を配信、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。
参加者が研修の様子をSNSに投稿し、それを見た人から違和感が指摘されていた。毎日新聞の報道もネット上の批判を伝えたものだったが、記事は拡散に拡散を重ね、テレビ局なども後追い報道したため多くの国民が実態を把握、世論は沸騰した。
批判が集中したのは、エッフェル塔の前でポーズを披露した自民党の松川るい・参議院議員(52)と研修旅行の成果をX(旧Twitter)で強調するなど全く謝罪しなかった今井氏だった。担当記者が言う。
「今井さんは7月30日、自身のXに《この度の訪仏はとても実りあるものでした。これからも様々な国の方々との交流を積極的に行っていきたいと思います》と投稿。批判を無視し、まさに居直ったかのような文章が国民の怒りを買いました。この投稿には《また追って活動報告します》という一文があるのですが、8月28日現在、今井さんは研修の追加報告を全く行っていません」
今井氏は7月30日、フランス研修に関する報告を「 廚箸靴Xに投稿。《地域によって就学率が低かったり、ドロップアウトするなど地域間格差がある》などと記したが、その後、「◆廚投稿された様子はない。ちなみに、8月28日現在の最新の投稿は15日のもので、終戦記念日に関する文章が綴られている。
8月22日、日刊ゲンダイDIGITALが「今井絵理子議員に国民から“リマインド”殺到! フランス研修『活動報告』宣言から3週間放置」との記事を配信した。フランス研修に関して「◆廚投稿されていないことを揶揄する内容だった。
ところが新たな動きがあった。25日、参議院事務局は「参議院ODA調査派遣団について」とのプレスリリースを発表、スリランカとバングラデシュに参議院の議員団が派遣されることを伝えたのだが、その中に今井氏の名前が記載されていたのだ。
「参議院の調査派遣団は8月29日から9月7日までの10日間、スリランカとバングラデシュで日本のODA(政府開発援助)がどのような状況になっているのか、現地で調査を行うようです。団長は自民党の中西祐介氏(44)、団員は立憲民主党の小沢雅仁氏(58)、公明党の三浦信祐氏(48)、そして今井さんの計4人です」(同・記者)
デイリー新潮が参議院に取材を申請すると、事務局が応じた。まず、なぜ今井氏が選ばれたのか質問した。
「ODA調査で派遣される議員団のメンバーについては、今年5月の議院運営委員会の理事会で、各会派の事務局から推薦をいただきました。選ばれる議員の方々ですが、基本的には『参議院政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会』の委員か、元委員が多いと思います。割り当ても各会派で決まっておりますので、どの先生(議員)を推薦いただくかについては、各会派の中でご検討いただいたと考えています」
参議院の公式サイトには特別委員会の名簿が掲載されている。それによると、委員長や理事も含め、自民党の参議院議員は計17人。この17人から厳選に厳選を重ね、よりによって今井氏を推薦したというわけだ。
わざわざ今井氏を選ばなくてもよさそうなものだが、「旅程が気になる」という方も多いだろう。またぞろ物見遊山のような視察を繰り返されてはたまらない。その点を質問すると、次のような回答だった。
「今回の派遣期間は10日間ですが、移動を除くと実質7日間程度です。その中で、20か所近い視察を行います。さらに現地で頑張っている青年海外協力隊の方々との意見交換も予定しており、かなりタイトな、きつい日程だと考えております。過去に参加された先生方も『大変だった』と仰ることが多いです」(同・事務局)
最後に活動報告について訊いた。フランス研修の実情を今井氏は全く報告していない。有権者の大半は税金を払っている。ODAの研修でも同じことを繰り返すのだとしたら、特に有権者から強く批判されるだろう。
「参議院ODA調査派遣については、平成16(2004)年度の第1回以降、毎回、報告書を作成して参議院の公式サイトで公表しております。過去の例ですと、調査派遣が終わると、議員団から報告を聴取した上で、意見交換のための委員会も開催しました」(同・事務局)
岸田内閣は低支持率に苦しんでいる。8月27日に毎日新聞と読売新聞が内閣支持率を報じたが、前者が26%、後者が35%だった。原因の一つとして、フランス視察への批判を挙げる指摘は少なくない。
今井氏は研修中、フランスの国会議員と意見交換を行った際の写真をXに投稿。外交について《こんな言葉》を聞いたと披露した。いわく、《「内政の失敗は内閣を滅ぼすが、外交の失敗は一国を滅ぼす」》──。だからこそ、どれだけ国民から批判されても、彼女は「外交=海外視察」に注力するということなのか。
今井氏の《失敗》によって岸田内閣は多大な損害を受けた。だが、彼女は自民党の国会議員であるにもかかわらず、岸田内閣の低支持率に関心はないのだろう。最優先は国家と外交であり、内閣の浮沈は二の次だとXで断言しているからだ。そして彼女はスリランカとバングラデシュに向かって旅立つ。確かに言動一致と言えるのかもしれない。
註:今井絵理子・松川るいが参加した「パリ視察」全スケジュール…研修はわずか6時間、セーヌ川クルーズ、シャンゼリゼで買い物(FLASH電子版:8月6日)
デイリー新潮編集部