2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、元法相の河井克行元衆院議員(60)=実刑確定=から現金30万円を受け取ったとして公職選挙法違反(被買収)に問われた元広島市議の初公判が27日、広島地裁(後藤有己裁判長)であった。元市議は起訴内容の認否を尋ねられ、「買収の報酬との認識はなかった。私は無罪です」と書面を読み上げた。
河井事件で供述誘導訴え 元広島市議側、初公判で裁判打ち切り求める 元市議は木戸経康(つねやす)被告(67)。東京地検特捜部の検事から受けた任意の取り調べを録音し、「不当な聴取で関与を認めるよう供述を誘導された」と訴えている。

弁護側は「不起訴を約束して供述調書を作成する違法な手続きがあった」として、裁判を打ち切る「公訴棄却」を求めた。 ◇ 「検察と河井のどちらにつくのか」。木戸・元広島市議の弁護人は初公判後に記者会見し、元市議が取り調べの冒頭に東京地検特捜部の検事から告げられた発言を明かした。 弁護人を務める田上剛弁護士によると、元市議への任意の取り調べは2020年3月25日、JR広島駅近くのホテルの一室で始まった。検事は聴取の冒頭で立ち上がり、元法相の河井克行元衆院議員の名前を挙げて「どちらにつくのかよく考えて話してください」と話した。「裁判で決めるのは裁判官ではなく、検察官だ」との発言もあったという。 元市議はその後の聴取で買収資金との認識を否定したが、検事は「認識がないのは否認になる」「できれば議員を続けてほしい」などと言及。田上弁護士は「議員失職を免れたいという元市議の気持ちにつけ込んだ問題のある捜査で、利益誘導だ」と批判する。 元市議は田上弁護士に一連の捜査について、「検察の都合で私を陥れようとしていたと感じた。行き過ぎだ」と話しているという。 また、元法相の公判を担当した別の検事が証人尋問を予定していた元市議に対し、「証人テスト」と呼ばれる打ち合わせの場で、調書に沿って法廷で証言するよう誘導した疑いがあることも分かっている。 田上弁護士は会見で、取り調べ担当と公判担当の検事2人の証人尋問を広島地裁に申請したことを明らかにした。一方、最高検は一連の経緯を調査している。【鈴木拓也、中村清雅】
元市議は木戸経康(つねやす)被告(67)。東京地検特捜部の検事から受けた任意の取り調べを録音し、「不当な聴取で関与を認めるよう供述を誘導された」と訴えている。
弁護側は「不起訴を約束して供述調書を作成する違法な手続きがあった」として、裁判を打ち切る「公訴棄却」を求めた。

「検察と河井のどちらにつくのか」。木戸・元広島市議の弁護人は初公判後に記者会見し、元市議が取り調べの冒頭に東京地検特捜部の検事から告げられた発言を明かした。
弁護人を務める田上剛弁護士によると、元市議への任意の取り調べは2020年3月25日、JR広島駅近くのホテルの一室で始まった。検事は聴取の冒頭で立ち上がり、元法相の河井克行元衆院議員の名前を挙げて「どちらにつくのかよく考えて話してください」と話した。「裁判で決めるのは裁判官ではなく、検察官だ」との発言もあったという。
元市議はその後の聴取で買収資金との認識を否定したが、検事は「認識がないのは否認になる」「できれば議員を続けてほしい」などと言及。田上弁護士は「議員失職を免れたいという元市議の気持ちにつけ込んだ問題のある捜査で、利益誘導だ」と批判する。
元市議は田上弁護士に一連の捜査について、「検察の都合で私を陥れようとしていたと感じた。行き過ぎだ」と話しているという。
また、元法相の公判を担当した別の検事が証人尋問を予定していた元市議に対し、「証人テスト」と呼ばれる打ち合わせの場で、調書に沿って法廷で証言するよう誘導した疑いがあることも分かっている。
田上弁護士は会見で、取り調べ担当と公判担当の検事2人の証人尋問を広島地裁に申請したことを明らかにした。一方、最高検は一連の経緯を調査している。【鈴木拓也、中村清雅】