ユニホーム姿のアスリートを狙った盗撮画像がネット上に溢れている。13日に盗撮行為を取り締まる、いわゆる「撮影罪」が施行されたが、アスリート盗撮については規制から除外された。その現状について日本学生陸上競技連合・障子恵理事に話を聞いた。
【映像】『着衣の上からの撮影』の具体例「競技が好きであれば競技の撮影をするのが普通。しかし、終わって倒れ込んでいるところを撮っていたり、胸やお尻のアップの写真ばかりを撮っている人を見かける」(障子恵理事、以下同)

今、スポーツ界で問題になっているアスリートへの盗撮。性的な目的を持って撮影した写真や動画は、ネットに投稿され拡散。陸上競技を始めとするさまざまな競技の団体関係者や選手にとって、大きな悩みの種となっている。不自然なタイミングで鳴るシャッター音に不安を抱く選手たちもいて、卑劣な盗撮行為が競技に打ち込むアスリートたちを苦しめている。 日本の大学陸上を統括する「日本学生陸上競技連合」は、そんな迷惑行為から選手を守るため、カメラの申請を義務付けたり、撮影禁止エリアを設けたりするなど対策してきたが「最近では非常に手が込んできたり、ときには逆ギレをされたりと危険な目にも遭う。我々自身の身の安全も確保できないことがある。どういう形でこの迷惑行為をやめていただくか、毎回競技会のたびに検討している」と明かした。 競技場での撮影ルールを説明して理解を得ようとしても、逆に怒鳴られてしまうケースもあるという。「競技会の中で迷惑撮影を行っていた人がいた。選手からの訴えもあり警察を呼んだが、ほとんど取り合ってくれない事例があった。ここがきちんと明文化されて法律で対応できるようれば(警察も関与してくれるのでは)」 13日に撮影罪が施行され、正当な理由なく胸や下半身、下着などを盗撮した場合に処罰される。撮影行為には3年以下の拘禁刑、または300万円以下の罰金が科せられる。 ようやく法による取り締まりが始まると思いきや、アスリート盗撮はこの撮影罪の規制の対象外となっている。一体、なぜなのか。日本陸上競技連盟評議員・工藤洋治弁護士は次のように語る。「立法の為の議論の過程で、処罰すべき行為とすべきでない行為の線引き。これが『着衣の上からの撮影は困難では』と指摘があり、今回成立した法律の対象からは外された」(工藤弁護士、以下同) ユニホームを着ている状態の撮影を処罰の対象とするのは難しいと判断されたが、明らかに不適切で悪質な撮影行為は、決して許されるべきではないと話す。「短距離種目のスタートの真後ろでカメラを構え、『よーい』で腰を上げた瞬間にシャッターを切る。通常の撮影をしたい人は、そんなアングル・タイミングではシャッターを切らないので、不適切な撮影であると言えるだろう。それに加えて、撮影された画像がしばしば卑猥な言葉を添えられて、ネット上にアップされる。そのショックで競技をやめてしまった選手もいる」 では、撮影罪で処罰できない迷惑撮影を取り締まる方法はないのか。「ネット上での卑猥な言葉による拡散行為は、名誉毀損罪や侮辱罪などによって立件・処罰が可能。ただし、ネット上での行為はしばしば匿名性の壁が立ちはだかり、それを突破して、誰が投稿者だったのかを特定するのが大変という問題点がある」 ほかにも、迷惑防止条例による立件も可能だというが、これには「罰則が軽い」「都道府県によって取り組みの熱意に差がある」などの問題点も指摘。やはり法律での規制が必要だと考える。「(撮影罪が施行されたことについて)法案が可決された衆議院・参議院において『付帯決議』という形で、『アスリート盗撮の規制についても検討せよ』と明記された。つまり、今後の立法課題として明確に位置づけられた。今回、撮影罪ができたことで、正面から立法課題として取り上げてもらうことがでたので、大きな前進だと捉えている」(『ABEMAヒルズ』より)
「競技が好きであれば競技の撮影をするのが普通。しかし、終わって倒れ込んでいるところを撮っていたり、胸やお尻のアップの写真ばかりを撮っている人を見かける」(障子恵理事、以下同)
今、スポーツ界で問題になっているアスリートへの盗撮。性的な目的を持って撮影した写真や動画は、ネットに投稿され拡散。陸上競技を始めとするさまざまな競技の団体関係者や選手にとって、大きな悩みの種となっている。不自然なタイミングで鳴るシャッター音に不安を抱く選手たちもいて、卑劣な盗撮行為が競技に打ち込むアスリートたちを苦しめている。
日本の大学陸上を統括する「日本学生陸上競技連合」は、そんな迷惑行為から選手を守るため、カメラの申請を義務付けたり、撮影禁止エリアを設けたりするなど対策してきたが「最近では非常に手が込んできたり、ときには逆ギレをされたりと危険な目にも遭う。我々自身の身の安全も確保できないことがある。どういう形でこの迷惑行為をやめていただくか、毎回競技会のたびに検討している」と明かした。
競技場での撮影ルールを説明して理解を得ようとしても、逆に怒鳴られてしまうケースもあるという。
「競技会の中で迷惑撮影を行っていた人がいた。選手からの訴えもあり警察を呼んだが、ほとんど取り合ってくれない事例があった。ここがきちんと明文化されて法律で対応できるようれば(警察も関与してくれるのでは)」
13日に撮影罪が施行され、正当な理由なく胸や下半身、下着などを盗撮した場合に処罰される。撮影行為には3年以下の拘禁刑、または300万円以下の罰金が科せられる。
ようやく法による取り締まりが始まると思いきや、アスリート盗撮はこの撮影罪の規制の対象外となっている。一体、なぜなのか。日本陸上競技連盟評議員・工藤洋治弁護士は次のように語る。
「立法の為の議論の過程で、処罰すべき行為とすべきでない行為の線引き。これが『着衣の上からの撮影は困難では』と指摘があり、今回成立した法律の対象からは外された」(工藤弁護士、以下同)
ユニホームを着ている状態の撮影を処罰の対象とするのは難しいと判断されたが、明らかに不適切で悪質な撮影行為は、決して許されるべきではないと話す。
「短距離種目のスタートの真後ろでカメラを構え、『よーい』で腰を上げた瞬間にシャッターを切る。通常の撮影をしたい人は、そんなアングル・タイミングではシャッターを切らないので、不適切な撮影であると言えるだろう。それに加えて、撮影された画像がしばしば卑猥な言葉を添えられて、ネット上にアップされる。そのショックで競技をやめてしまった選手もいる」
では、撮影罪で処罰できない迷惑撮影を取り締まる方法はないのか。
「ネット上での卑猥な言葉による拡散行為は、名誉毀損罪や侮辱罪などによって立件・処罰が可能。ただし、ネット上での行為はしばしば匿名性の壁が立ちはだかり、それを突破して、誰が投稿者だったのかを特定するのが大変という問題点がある」
ほかにも、迷惑防止条例による立件も可能だというが、これには「罰則が軽い」「都道府県によって取り組みの熱意に差がある」などの問題点も指摘。やはり法律での規制が必要だと考える。
「(撮影罪が施行されたことについて)法案が可決された衆議院・参議院において『付帯決議』という形で、『アスリート盗撮の規制についても検討せよ』と明記された。つまり、今後の立法課題として明確に位置づけられた。今回、撮影罪ができたことで、正面から立法課題として取り上げてもらうことがでたので、大きな前進だと捉えている」
(『ABEMAヒルズ』より)