マダニの媒介が考えられる「オズウイルス」に茨城県内在住の70歳代の女性が感染して亡くなった。
このウイルスによる感染症が人に発症したり、死亡したりする事例が確認されたのは世界で初めてという。感染経路は不明だが、マダニにかまれて感染する可能性が考えられるとして、県は23日、記者会見を開き、注意を呼びかけた。
県感染症対策課によると、オズウイルスは愛媛県で採取されたマダニの一種である「タカサゴキララマダニ」から2018年に世界で初めて確認された。詳しい症状は不明で、有効な治療薬も判明していないという。
同課によると、女性は昨夏頃、39度の熱や嘔吐(おうと)などの症状で医療機関を受診。肺炎の疑いで薬を処方されて自宅療養していたが、症状が悪化したため、別の医療機関を受診すると、右脚の付け根にマダニがかみついていることが確認された。女性は入院から26日目に心筋炎で死亡。その後、国立感染症研究所の検査で今月21日、死因がオズウイルスによる心筋炎と確定した。
同課は「草むらなどに入る際は、肌の露出を少なくし、虫よけも併用してほしい。万が一、マダニにかまれた場合は無理に引き抜かず、医療機関を受診してほしい」と呼びかけている。