パチプロ歴20年、パチンコ雑誌やパチンコYouTubeチャンネルなどで活躍しているミネッチ氏。日刊SPA!では、全国64店舗のパチンコ店から出入り禁止を言い渡された経験談コラムや、パチプロとしてのテクニックなどの攻略系記事などを掲載している。 そんなミネッチ氏が、今年の4月11日に「大腸がん」を告知された。国民健康保険以外、保険などには一切加入していなかったパチプロが直面した“病気との闘い”。今回は、そのリアルな体験談をお届けする。
◆がんを告知されて思ったこと
医療の知識はカラッキシ、病気と闘う準備にも興味なしだったが、医師から「早期大腸がんです」とのパワーワードを聞かされて、ようやく平和ボケから目が覚めた。
帰り道のパチンコ屋で「コツコツ……」と玉を弾き、手持ち無沙汰な左手でスマートフォンをイジる。「最期はなにを食べようかな」だとか、「最期はどこへ行こうかな」と思い浮かべながら延々と検索する。こうして最悪のケースを想像しながら、「もっと前から準備しておけばよかったか」と思った。
◆医師から伝えられた“3つのミッション”
医師の説明によると、大腸のポリープが、がん化しているらしい。「発見が遅れていたら危険だった」とのこと。そんなわけで、直近のミッションは3つ。
〆蚤で切除してもらう◆〇纏などの日程調整 資金を用意する
まずは,世、1週間後から入院できることになったので、ラッキーなパターンだった。ただしコロナ感染の疑いなどがあると、検査や手術が延期となり命に関わる可能性があるため気をつけたい。家族や友人が、これを理解していると心強い。
つぎに△世、外出先での体調悪化を懸念して、遠方での仕事をキャンセルした。原稿などの事務作業は病室でも続けられるが、「どこまでの仕事を請け負ってよいものか」と線引きに迷う。あらかじめ決めておくといいだろう。
個人的にはが、なにより怖かった。これまで、がん保険や生命保険には目もくれず、株や為替に投資してきた。だから、加入しているのは国民健康保険だけ。事前に知識を得て、相応の資金を用意しておきたい。
◆好きなことに没頭した1週間
入院するまでの1週間は、近所のパチンコ店に入り浸った。やっぱり最後くらいは、自由に打ちたい。過去に3000回転ハマったこと、出入り禁止になったこと、出玉を没収されたこと、それらすべてを懐かしみながらハンドルを握った。こうして回想をしていると、心配ごとも浮かぶ。
パチンコ屋には貯玉サービスがあって、再プレイ機能を利用すれば本来かかるはずの約10%ほどの貸玉手数料のようなものを軽減できる。そのお得感に惹かれて未精算のままにしているカードも多く、「この暗証番号を家族に伝えよう」とか、「大阪府や石川県の貯玉は諦めるか……」みたいな悩みが、貯玉保有店舗の数だけある。身辺整理も、事前にしておいたほうがよさそうだ。
◆入院前に打ちたかった機種で6万発オーバー!
入院前のラスト稼働は、技術介入の効果が高い「モンキーターン超抜」を選んだ。捻り打ち(アタッカーへの同時入賞を狙う技)を駆使することで、有利に戦える。スピード感も相まって、最終出玉は6万発。これで1週間のトータル差玉がプラス12万発となり、満足のいくフィナーレとなった。
ラストの食事は、「ウゴジガムジャタン」という牛骨ダシの韓国鍋。食通の有名人がこの世の別れに選ぶグルメ本『末期のめし』にて、これをヨネスケさんが選んだらしい。

◆関係者や仲間のの反応
パチンコ番組で共演した人気女性ライターから「えええ、どういうことなの?」と泣きそうな声で電話があり、そうかと思えば同番組で共演した男性ライターは「大丈夫だ、快気祝いしような」と明るい気持ちにさせてくれた。孤独な稼業であるはずなのに、同業者、YouTuber、雑誌の編集部員などから沢山のメッセージをいただき、勇気を与えるつもりだったのに、逆にもらってしまった。
他にも読者様、視聴者様、医師、闘病中の方からも、励ましやねぎらいの声をいただき、多くの優しさに触れた。そんななかで、心に寄り添うこともできたと思う。
◆パチプロこそ健康診断に行くべき
はじめての区民健診に便潜血検査のオプションをつけたおかげで出血がみつかり、紹介状を書いてもらった大型病院で「早期大腸癌」との診断を受けた。この5.5センチのポリープを内視鏡で切除してもらい、2泊3日で退院できたのはラッキーだったともいえる。金額にビクビクしていたけれど、高額医療費制度によって患者負担の上限は57,600円(年収によって変動する)。これに食費を加算し、合計59,440円で済んだのは、想像していた金額よりも遥かに安くてホッとした。
国民健康保険や社会保険の手厚さはハンパなく、いまは保険証が最強の手札に思える。
個人事業主は健康診断に興味のない方も多く、とくにパチプロは寿命が短い。そんな境遇に身を置き、貴重な経験をしたからこそ、「隠してもダレも浮かばれない」との考えにいたり、こうして経験談を話すことにした。
当たり前なのかもしれないけれど、がんは早期発見できればそんなに怖くはない。だからこそ健康診断は定期的に行ったほうがよくて、不健康な生活を送ってしまいがちなパチプロには特に、早めの健康診断を強く勧めたい。
文/ミネッチ