なぜ何度も同じ過ちを繰り返すのか—。
警視庁は5月16日、東京都医師会の尾崎治夫会長が経営するクリニックへカッターナイフの刃が入った脅迫状を送ったとして、元長野県小布施町職員で現在無職の高野伸一容疑者(51)を脅迫容疑で逮捕したと発表した。
高野容疑者は犯行に及んだのは昨年1月初旬。尾崎会長が院長を務める東京都久留米市のクリニックに、「オザキハシケイ」と書いた紙片とカッターナイフの刃1枚が入った封筒を送り、尾崎会長を脅迫したとしている。さらに恐ろしいのが、これが決して初犯ではないという点だ。
「高野容疑者は過去に山梨県の長崎知事や大阪府の吉村知事、経済産業省の西村大臣に脅迫文やカッターの刃など危険物を送りつけたとする脅迫容疑で、今年2~4月にかけて計3回逮捕も逮捕されています。しかし本人には反省の色はありません。今回で4回目の逮捕ですが、取り調べに対しても『医師会の感染症対策に疑問を持っていて、私の気持ちを伝えたかった』と話しており、自分は正しいことをしているという感じなのです。現在は余罪がないかを中心に、調べを進めています」(警視庁関係者)
立て続けに同様の犯行を起こした高野容疑者。その悪質性を犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が語る。
「脅迫罪というのは、2年以下の懲役か30万円以下の罰金という軽犯罪とされています。高野容疑者は同罪で3回も逮捕され、さらに大阪府の吉村知事への脅迫罪で起訴されていますから、執行猶予は免れない状況だったと思います。そんな状況下での4度目の逮捕ということで極めて悪質性がありますので、懲役実刑が下る可能性が考えられますね」
懲役実刑が下った場合、脅迫罪だけであれば2年以下の懲役だが、高野容疑者の場合、余罪によっては懲役実刑が重くなる可能性があるという。小川氏が続ける。
「もしかすると、今回の逮捕は余罪による捜査で発覚した犯行の可能性も考えられます。この手の犯人は、複数同様の犯行を行なっている可能性がありますから、警察としては、他にも同様の手口で犯行を行なっていないか早急に捜査を進める必要があります。新たな犯行が発覚した場合は、より厳しく裁かれるでしょう」
新たな被害者を出さないためにも、高野容疑者には厳しい対処が求められる。