牛丼チェーンの「吉野家」(東京)が、本社に勤務する50歳代の男性社員について、人事評価の書き換えを認めて謝罪し、解決金を支払っていたことがわかった。
男性が加入する労働組合「東京管理職ユニオン」が24日、東京都内で記者会見して明らかにした。組合側が団体交渉を申し入れて、今月11日付で和解したという。
組合によると、男性は2021年10月、人事評価の自己評価欄に7段階で上から4番目の「B」と記入したところ、上司に無断で一つ低い「C」に書き換えられた。上司から他の社員の前で罵倒されたり、背中をたたかれたりする被害も受けたという。男性は抑うつ状態と診断され、同年11月から休職している。
組合側と吉野家が結んだ和解協定書では、吉野家が人事評価の書き換えや語気の強い発言があったことを認めて男性に謝罪。人権侵害や差別の禁止を就業規則や社内規定に明記し、ハラスメントに関する社内教育など再発防止策を講じることも盛り込まれた。
男性は、「私のようにつらい思いをしている人は多くいるはずだ。今回の和解を通じて業界全体が変わってほしい」と話した。吉野家は取材に対し「回答は差し控える」としている。