大手商社を定年退職し、2500万円で購入した軽井沢の別荘に移り住んだ寺田吾郎さん(仮名・72歳)。妻と二人で夢のようなセカンドライフを送りつつ、「将来的には子どもたちが相続してくれればいい」と考えていたことは、【前編】『2500万で「軽井沢の別荘」を買って大後悔した、元エリート商社マンの悲惨な老後』でも紹介した通りだ。しかし寺田さんの老後の設計は、何から何まで「崩壊」していくことになる……。
そんな暮らしも長くは続かなかった。妻にがんが見つかったのだ。
「胃がんでした。宣告されたときにはステージ4、いわゆる末期がんです。転移が進んでいて、病状は日に日に悪くなっていきました。宣告から旅立つまで2年、あっという間でした……」
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懸命に看病した寺田さんだったが、住まいが別荘地であるゆえの苦労もあったという。「病院は少なくはないのですが、高度ながん治療を受けられる施設が近くになくて。通院や、在宅での緩和ケアに移行してから往診を手配するのも苦労しました。子ども2人も時々見舞いに来てくれましたが、仕事があるのでマメには来られません。看病はほとんど私がやりましたし、家事も最低限のことはなんとか済ませて……。妻も辛かったでしょうが、私にとっても苦しい2年間でした」あまりにも早く妻が旅立ってしまい、寺田さんは次第に寂しさを募らせていく。家庭菜園や料理への興味も薄れ、東京で家庭を持った子どもたちが孫を連れて時々遊びに来てくれることだけが唯一の楽しみ。充実した老後を送るための別荘だったが、一人暮らしではやはり不自由なことの方が多いのだ。妻の闘病を支えていたこともあり、先々の医療面でも不安がある。妻の三回忌の法要が済んだ頃、寺田さんは別荘を売って都内にマンションを購入して移り住もうと決意した。予想外…こんなに売れないなんて「価値のある別荘だから、どうとでもなると思っていたんです。きちんと手入れしていたから見た目もきれい。内装もこだわっているし、リフォームしたから水回りもピカピカです。今となっては甘かったとしか言いようがありませんが」Photo by iStock 子どもに譲ってもいいし、売りに出したとしてもすぐに買い手がつくだろうと思っていた寺田さん。しかし地元の不動産屋の回答は渋いものだった。「不便な場所なので買い手もつきにくいだろうと言われてしまいました。本当は少しでも早く売却したほうがいいが、売れる保証もない、と。予想していなかったので驚きましたね。そこで、元々子どもに相続させるつもりだったので、少し予定を早めて譲渡したいと子どもたちに相談したんです」ところが娘も息子も難色を示した。「これから教育費がますますかかってくるから別荘の維持費なんて払えない。それに仕事と子育てで忙しく、別荘があっても使う時間がない」「譲り受けるにしてもいずれ相続するにしても、税負担が重すぎる。お父さんの方で処分してくれ」子どもたちは2人とも30代。共働きの子育て家庭には、別荘なんてお荷物だ――そう言われているように寺田さんは感じた。「思い出がたくさん詰まった大切な別荘です。子どもからいずれは孫にも受け継いでほしくて何度も話し合いをするうち、だんだんとケンカのようになってしまって……もう電話にも出てくれません。今では年賀状が届くだけです」娘と息子、どちらの家族とも疎遠になり、孫たちも成長して全く遊びに来てくれなくなってしまった、と寂しそうに話す。売りに出しても買い手がつかず、子供にも譲渡できない別荘で、寺田さんは今も孤独と不安を抱えながら一人で暮らしている。数千万円の別荘が「投げ売り」されるワケ筆者が懇意にしている不動産仲介会社の社員によると、伊豆や軽井沢、蓼科といったかつての有名別荘地でも「投げ売り」される別荘が急増しているという。元々数千万円もの大金で購入した別荘であっても、築年数が30年を超えてくると上物部分の価値が格段に低くなるため、売買価格が数百万円になることはざらにある。とある不動産広告のチラシには、「販売価格1円!」「100円!」といった信じられない価格も記載されているそうだ。Photo by iStock タダ同然で投げ売りされている別荘のなかには、「諸経費を売主が負担する」という破格の条件で売り出されているものもある。損をしてまで別荘を手放したい所有者が急増している理由の一つが、重すぎる税負担だ。別荘には年間の維持費の他に、最低でも固定資産税と都市計画税、住まいにするならば住民税がかかる。ある程度の築年数が経過した物件であれば建物部分の固定資産税はさほどではないが、問題は土地部分だ。固定資産税は地価と連動するため、地価の高い有名別荘地の場合、税負担が年40万円を超えることも珍しくない。不動産には税金がかかるものだが、都内のマンションや戸建てに比べて土地も建物も広い別荘は、どうしても税額が高くなってしまうのだ。加えて盲点となりやすいのが管理費だ。別荘地は各自治体から許可を受けて開発されているため、生活インフラの維持管理のために別荘主に管理費を請求するという条件が課されている。管理費は別荘の場所や管理会社、土地建物の大きさなどの条件によって異なるが、有名別荘地のなかには管理費だけでも年間60万円かかるケースもある。需要が下がっているところに別荘を手放したい人が急増したため、相場が下がって投げ売り状態となっているのが現在の別荘を取り巻く状況だ。1円や100円といった破格値で売却しようとしても、仲介手数料がほとんど見込めず仲介業者に断られる所有者も多いため、「空き家ゲートウェイ」のような均一価格の空き家マッチングサイトも登場している。しかし、それでも買い手がつかず別荘が余っているのが実情のようだ。Photo by iStock つまり、持っているだけでお金がどんどん出ていく別荘は、利益を生み出す「富動産」ではなく「負動産」であるともいえる。今後も寺田さんのようなケースは後を絶たないだろう。後悔しない「資産価値の高い」物件の選び方時代とともにモノの価値は変わるものであり、それは不動産にも当てはまる。「風の時代」という言葉に象徴されるように、立派な持ち家や別荘、高級車がステータスであるという価値観は変わりつつある。若い世代を中心に、余計なモノを持たず、ライフスタイルの変化に合わせて借りたり買い換えるほうが合理的だと考える人が増えているのだ。不動産は本来、「安心」を得るために所有するものだ。しかし時代や社会情勢が変われば、寺田さんのケースのように不動産が「不安」の塊になってしまうこともある。では、「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」不動産はどういったものだろうか。それはとにかく、「資産価値の高い物件」である。資産価値の面から冷静にみると、別荘の資産価値はバブル期であってもそこまで高くなかったと思われる。当時のプチブルたちがこぞって別荘を手に入れたがったのは単にブームが加熱したからで、立地やニーズからも資産価値が高いとは言い難いことはよく考えればわかるだろう。今も昔も変わらず「資産価値が高い物件」といえば、やはり都内の人気エリア(渋谷区、港区、中央区)があげられる。ただ、こうしたエリアは価格も高いため、なかなか手が届かないことも多い。Photo by iStock そういった場合、ほかにも人気が続くエリアの物件を選ぶと良い。たとえば、(1)都心の主要駅へのアクセスが良いエリア(2)将来性が見込める開発計画があるエリア(3)昔からブランド価値があるエリア(4)近年再開発され住環境が向上したエリアなどだ。こうしたエリアの物件はニーズもあるため、リセールバリューも高い傾向にある。資産価値の高い物件はいずれ売ることもできるため、まさに「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」といえるのだ。不動産というのは、その人の人生を左右しうるほど金額の大きい買い物である。だからこそ、冷静に資産価値を見極めて購入してほしい。ブームや夢に流されて「資産価値の低い=売れない」物件を購入することは、一生の後悔にもなりかねないと再認識したエピソードであった。
懸命に看病した寺田さんだったが、住まいが別荘地であるゆえの苦労もあったという。
「病院は少なくはないのですが、高度ながん治療を受けられる施設が近くになくて。通院や、在宅での緩和ケアに移行してから往診を手配するのも苦労しました。子ども2人も時々見舞いに来てくれましたが、仕事があるのでマメには来られません。
看病はほとんど私がやりましたし、家事も最低限のことはなんとか済ませて……。妻も辛かったでしょうが、私にとっても苦しい2年間でした」
あまりにも早く妻が旅立ってしまい、寺田さんは次第に寂しさを募らせていく。家庭菜園や料理への興味も薄れ、東京で家庭を持った子どもたちが孫を連れて時々遊びに来てくれることだけが唯一の楽しみ。充実した老後を送るための別荘だったが、一人暮らしではやはり不自由なことの方が多いのだ。
妻の闘病を支えていたこともあり、先々の医療面でも不安がある。妻の三回忌の法要が済んだ頃、寺田さんは別荘を売って都内にマンションを購入して移り住もうと決意した。
「価値のある別荘だから、どうとでもなると思っていたんです。きちんと手入れしていたから見た目もきれい。内装もこだわっているし、リフォームしたから水回りもピカピカです。今となっては甘かったとしか言いようがありませんが」
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子どもに譲ってもいいし、売りに出したとしてもすぐに買い手がつくだろうと思っていた寺田さん。しかし地元の不動産屋の回答は渋いものだった。「不便な場所なので買い手もつきにくいだろうと言われてしまいました。本当は少しでも早く売却したほうがいいが、売れる保証もない、と。予想していなかったので驚きましたね。そこで、元々子どもに相続させるつもりだったので、少し予定を早めて譲渡したいと子どもたちに相談したんです」ところが娘も息子も難色を示した。「これから教育費がますますかかってくるから別荘の維持費なんて払えない。それに仕事と子育てで忙しく、別荘があっても使う時間がない」「譲り受けるにしてもいずれ相続するにしても、税負担が重すぎる。お父さんの方で処分してくれ」子どもたちは2人とも30代。共働きの子育て家庭には、別荘なんてお荷物だ――そう言われているように寺田さんは感じた。「思い出がたくさん詰まった大切な別荘です。子どもからいずれは孫にも受け継いでほしくて何度も話し合いをするうち、だんだんとケンカのようになってしまって……もう電話にも出てくれません。今では年賀状が届くだけです」娘と息子、どちらの家族とも疎遠になり、孫たちも成長して全く遊びに来てくれなくなってしまった、と寂しそうに話す。売りに出しても買い手がつかず、子供にも譲渡できない別荘で、寺田さんは今も孤独と不安を抱えながら一人で暮らしている。数千万円の別荘が「投げ売り」されるワケ筆者が懇意にしている不動産仲介会社の社員によると、伊豆や軽井沢、蓼科といったかつての有名別荘地でも「投げ売り」される別荘が急増しているという。元々数千万円もの大金で購入した別荘であっても、築年数が30年を超えてくると上物部分の価値が格段に低くなるため、売買価格が数百万円になることはざらにある。とある不動産広告のチラシには、「販売価格1円!」「100円!」といった信じられない価格も記載されているそうだ。Photo by iStock タダ同然で投げ売りされている別荘のなかには、「諸経費を売主が負担する」という破格の条件で売り出されているものもある。損をしてまで別荘を手放したい所有者が急増している理由の一つが、重すぎる税負担だ。別荘には年間の維持費の他に、最低でも固定資産税と都市計画税、住まいにするならば住民税がかかる。ある程度の築年数が経過した物件であれば建物部分の固定資産税はさほどではないが、問題は土地部分だ。固定資産税は地価と連動するため、地価の高い有名別荘地の場合、税負担が年40万円を超えることも珍しくない。不動産には税金がかかるものだが、都内のマンションや戸建てに比べて土地も建物も広い別荘は、どうしても税額が高くなってしまうのだ。加えて盲点となりやすいのが管理費だ。別荘地は各自治体から許可を受けて開発されているため、生活インフラの維持管理のために別荘主に管理費を請求するという条件が課されている。管理費は別荘の場所や管理会社、土地建物の大きさなどの条件によって異なるが、有名別荘地のなかには管理費だけでも年間60万円かかるケースもある。需要が下がっているところに別荘を手放したい人が急増したため、相場が下がって投げ売り状態となっているのが現在の別荘を取り巻く状況だ。1円や100円といった破格値で売却しようとしても、仲介手数料がほとんど見込めず仲介業者に断られる所有者も多いため、「空き家ゲートウェイ」のような均一価格の空き家マッチングサイトも登場している。しかし、それでも買い手がつかず別荘が余っているのが実情のようだ。Photo by iStock つまり、持っているだけでお金がどんどん出ていく別荘は、利益を生み出す「富動産」ではなく「負動産」であるともいえる。今後も寺田さんのようなケースは後を絶たないだろう。後悔しない「資産価値の高い」物件の選び方時代とともにモノの価値は変わるものであり、それは不動産にも当てはまる。「風の時代」という言葉に象徴されるように、立派な持ち家や別荘、高級車がステータスであるという価値観は変わりつつある。若い世代を中心に、余計なモノを持たず、ライフスタイルの変化に合わせて借りたり買い換えるほうが合理的だと考える人が増えているのだ。不動産は本来、「安心」を得るために所有するものだ。しかし時代や社会情勢が変われば、寺田さんのケースのように不動産が「不安」の塊になってしまうこともある。では、「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」不動産はどういったものだろうか。それはとにかく、「資産価値の高い物件」である。資産価値の面から冷静にみると、別荘の資産価値はバブル期であってもそこまで高くなかったと思われる。当時のプチブルたちがこぞって別荘を手に入れたがったのは単にブームが加熱したからで、立地やニーズからも資産価値が高いとは言い難いことはよく考えればわかるだろう。今も昔も変わらず「資産価値が高い物件」といえば、やはり都内の人気エリア(渋谷区、港区、中央区)があげられる。ただ、こうしたエリアは価格も高いため、なかなか手が届かないことも多い。Photo by iStock そういった場合、ほかにも人気が続くエリアの物件を選ぶと良い。たとえば、(1)都心の主要駅へのアクセスが良いエリア(2)将来性が見込める開発計画があるエリア(3)昔からブランド価値があるエリア(4)近年再開発され住環境が向上したエリアなどだ。こうしたエリアの物件はニーズもあるため、リセールバリューも高い傾向にある。資産価値の高い物件はいずれ売ることもできるため、まさに「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」といえるのだ。不動産というのは、その人の人生を左右しうるほど金額の大きい買い物である。だからこそ、冷静に資産価値を見極めて購入してほしい。ブームや夢に流されて「資産価値の低い=売れない」物件を購入することは、一生の後悔にもなりかねないと再認識したエピソードであった。
子どもに譲ってもいいし、売りに出したとしてもすぐに買い手がつくだろうと思っていた寺田さん。しかし地元の不動産屋の回答は渋いものだった。
「不便な場所なので買い手もつきにくいだろうと言われてしまいました。本当は少しでも早く売却したほうがいいが、売れる保証もない、と。予想していなかったので驚きましたね。そこで、元々子どもに相続させるつもりだったので、少し予定を早めて譲渡したいと子どもたちに相談したんです」
ところが娘も息子も難色を示した。
「これから教育費がますますかかってくるから別荘の維持費なんて払えない。それに仕事と子育てで忙しく、別荘があっても使う時間がない」
「譲り受けるにしてもいずれ相続するにしても、税負担が重すぎる。お父さんの方で処分してくれ」
子どもたちは2人とも30代。共働きの子育て家庭には、別荘なんてお荷物だ――そう言われているように寺田さんは感じた。
「思い出がたくさん詰まった大切な別荘です。子どもからいずれは孫にも受け継いでほしくて何度も話し合いをするうち、だんだんとケンカのようになってしまって……もう電話にも出てくれません。今では年賀状が届くだけです」
娘と息子、どちらの家族とも疎遠になり、孫たちも成長して全く遊びに来てくれなくなってしまった、と寂しそうに話す。売りに出しても買い手がつかず、子供にも譲渡できない別荘で、寺田さんは今も孤独と不安を抱えながら一人で暮らしている。
筆者が懇意にしている不動産仲介会社の社員によると、伊豆や軽井沢、蓼科といったかつての有名別荘地でも「投げ売り」される別荘が急増しているという。
元々数千万円もの大金で購入した別荘であっても、築年数が30年を超えてくると上物部分の価値が格段に低くなるため、売買価格が数百万円になることはざらにある。とある不動産広告のチラシには、「販売価格1円!」「100円!」といった信じられない価格も記載されているそうだ。
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タダ同然で投げ売りされている別荘のなかには、「諸経費を売主が負担する」という破格の条件で売り出されているものもある。損をしてまで別荘を手放したい所有者が急増している理由の一つが、重すぎる税負担だ。別荘には年間の維持費の他に、最低でも固定資産税と都市計画税、住まいにするならば住民税がかかる。ある程度の築年数が経過した物件であれば建物部分の固定資産税はさほどではないが、問題は土地部分だ。固定資産税は地価と連動するため、地価の高い有名別荘地の場合、税負担が年40万円を超えることも珍しくない。不動産には税金がかかるものだが、都内のマンションや戸建てに比べて土地も建物も広い別荘は、どうしても税額が高くなってしまうのだ。加えて盲点となりやすいのが管理費だ。別荘地は各自治体から許可を受けて開発されているため、生活インフラの維持管理のために別荘主に管理費を請求するという条件が課されている。管理費は別荘の場所や管理会社、土地建物の大きさなどの条件によって異なるが、有名別荘地のなかには管理費だけでも年間60万円かかるケースもある。需要が下がっているところに別荘を手放したい人が急増したため、相場が下がって投げ売り状態となっているのが現在の別荘を取り巻く状況だ。1円や100円といった破格値で売却しようとしても、仲介手数料がほとんど見込めず仲介業者に断られる所有者も多いため、「空き家ゲートウェイ」のような均一価格の空き家マッチングサイトも登場している。しかし、それでも買い手がつかず別荘が余っているのが実情のようだ。Photo by iStock つまり、持っているだけでお金がどんどん出ていく別荘は、利益を生み出す「富動産」ではなく「負動産」であるともいえる。今後も寺田さんのようなケースは後を絶たないだろう。後悔しない「資産価値の高い」物件の選び方時代とともにモノの価値は変わるものであり、それは不動産にも当てはまる。「風の時代」という言葉に象徴されるように、立派な持ち家や別荘、高級車がステータスであるという価値観は変わりつつある。若い世代を中心に、余計なモノを持たず、ライフスタイルの変化に合わせて借りたり買い換えるほうが合理的だと考える人が増えているのだ。不動産は本来、「安心」を得るために所有するものだ。しかし時代や社会情勢が変われば、寺田さんのケースのように不動産が「不安」の塊になってしまうこともある。では、「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」不動産はどういったものだろうか。それはとにかく、「資産価値の高い物件」である。資産価値の面から冷静にみると、別荘の資産価値はバブル期であってもそこまで高くなかったと思われる。当時のプチブルたちがこぞって別荘を手に入れたがったのは単にブームが加熱したからで、立地やニーズからも資産価値が高いとは言い難いことはよく考えればわかるだろう。今も昔も変わらず「資産価値が高い物件」といえば、やはり都内の人気エリア(渋谷区、港区、中央区)があげられる。ただ、こうしたエリアは価格も高いため、なかなか手が届かないことも多い。Photo by iStock そういった場合、ほかにも人気が続くエリアの物件を選ぶと良い。たとえば、(1)都心の主要駅へのアクセスが良いエリア(2)将来性が見込める開発計画があるエリア(3)昔からブランド価値があるエリア(4)近年再開発され住環境が向上したエリアなどだ。こうしたエリアの物件はニーズもあるため、リセールバリューも高い傾向にある。資産価値の高い物件はいずれ売ることもできるため、まさに「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」といえるのだ。不動産というのは、その人の人生を左右しうるほど金額の大きい買い物である。だからこそ、冷静に資産価値を見極めて購入してほしい。ブームや夢に流されて「資産価値の低い=売れない」物件を購入することは、一生の後悔にもなりかねないと再認識したエピソードであった。
タダ同然で投げ売りされている別荘のなかには、「諸経費を売主が負担する」という破格の条件で売り出されているものもある。損をしてまで別荘を手放したい所有者が急増している理由の一つが、重すぎる税負担だ。
別荘には年間の維持費の他に、最低でも固定資産税と都市計画税、住まいにするならば住民税がかかる。ある程度の築年数が経過した物件であれば建物部分の固定資産税はさほどではないが、問題は土地部分だ。
固定資産税は地価と連動するため、地価の高い有名別荘地の場合、税負担が年40万円を超えることも珍しくない。不動産には税金がかかるものだが、都内のマンションや戸建てに比べて土地も建物も広い別荘は、どうしても税額が高くなってしまうのだ。
加えて盲点となりやすいのが管理費だ。別荘地は各自治体から許可を受けて開発されているため、生活インフラの維持管理のために別荘主に管理費を請求するという条件が課されている。管理費は別荘の場所や管理会社、土地建物の大きさなどの条件によって異なるが、有名別荘地のなかには管理費だけでも年間60万円かかるケースもある。
需要が下がっているところに別荘を手放したい人が急増したため、相場が下がって投げ売り状態となっているのが現在の別荘を取り巻く状況だ。1円や100円といった破格値で売却しようとしても、仲介手数料がほとんど見込めず仲介業者に断られる所有者も多いため、「空き家ゲートウェイ」のような均一価格の空き家マッチングサイトも登場している。しかし、それでも買い手がつかず別荘が余っているのが実情のようだ。
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つまり、持っているだけでお金がどんどん出ていく別荘は、利益を生み出す「富動産」ではなく「負動産」であるともいえる。今後も寺田さんのようなケースは後を絶たないだろう。後悔しない「資産価値の高い」物件の選び方時代とともにモノの価値は変わるものであり、それは不動産にも当てはまる。「風の時代」という言葉に象徴されるように、立派な持ち家や別荘、高級車がステータスであるという価値観は変わりつつある。若い世代を中心に、余計なモノを持たず、ライフスタイルの変化に合わせて借りたり買い換えるほうが合理的だと考える人が増えているのだ。不動産は本来、「安心」を得るために所有するものだ。しかし時代や社会情勢が変われば、寺田さんのケースのように不動産が「不安」の塊になってしまうこともある。では、「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」不動産はどういったものだろうか。それはとにかく、「資産価値の高い物件」である。資産価値の面から冷静にみると、別荘の資産価値はバブル期であってもそこまで高くなかったと思われる。当時のプチブルたちがこぞって別荘を手に入れたがったのは単にブームが加熱したからで、立地やニーズからも資産価値が高いとは言い難いことはよく考えればわかるだろう。今も昔も変わらず「資産価値が高い物件」といえば、やはり都内の人気エリア(渋谷区、港区、中央区)があげられる。ただ、こうしたエリアは価格も高いため、なかなか手が届かないことも多い。Photo by iStock そういった場合、ほかにも人気が続くエリアの物件を選ぶと良い。たとえば、(1)都心の主要駅へのアクセスが良いエリア(2)将来性が見込める開発計画があるエリア(3)昔からブランド価値があるエリア(4)近年再開発され住環境が向上したエリアなどだ。こうしたエリアの物件はニーズもあるため、リセールバリューも高い傾向にある。資産価値の高い物件はいずれ売ることもできるため、まさに「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」といえるのだ。不動産というのは、その人の人生を左右しうるほど金額の大きい買い物である。だからこそ、冷静に資産価値を見極めて購入してほしい。ブームや夢に流されて「資産価値の低い=売れない」物件を購入することは、一生の後悔にもなりかねないと再認識したエピソードであった。
つまり、持っているだけでお金がどんどん出ていく別荘は、利益を生み出す「富動産」ではなく「負動産」であるともいえる。今後も寺田さんのようなケースは後を絶たないだろう。
時代とともにモノの価値は変わるものであり、それは不動産にも当てはまる。「風の時代」という言葉に象徴されるように、立派な持ち家や別荘、高級車がステータスであるという価値観は変わりつつある。
若い世代を中心に、余計なモノを持たず、ライフスタイルの変化に合わせて借りたり買い換えるほうが合理的だと考える人が増えているのだ。
不動産は本来、「安心」を得るために所有するものだ。しかし時代や社会情勢が変われば、寺田さんのケースのように不動産が「不安」の塊になってしまうこともある。
では、「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」不動産はどういったものだろうか。それはとにかく、「資産価値の高い物件」である。
資産価値の面から冷静にみると、別荘の資産価値はバブル期であってもそこまで高くなかったと思われる。当時のプチブルたちがこぞって別荘を手に入れたがったのは単にブームが加熱したからで、立地やニーズからも資産価値が高いとは言い難いことはよく考えればわかるだろう。
今も昔も変わらず「資産価値が高い物件」といえば、やはり都内の人気エリア(渋谷区、港区、中央区)があげられる。ただ、こうしたエリアは価格も高いため、なかなか手が届かないことも多い。
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そういった場合、ほかにも人気が続くエリアの物件を選ぶと良い。たとえば、(1)都心の主要駅へのアクセスが良いエリア(2)将来性が見込める開発計画があるエリア(3)昔からブランド価値があるエリア(4)近年再開発され住環境が向上したエリアなどだ。こうしたエリアの物件はニーズもあるため、リセールバリューも高い傾向にある。資産価値の高い物件はいずれ売ることもできるため、まさに「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」といえるのだ。不動産というのは、その人の人生を左右しうるほど金額の大きい買い物である。だからこそ、冷静に資産価値を見極めて購入してほしい。ブームや夢に流されて「資産価値の低い=売れない」物件を購入することは、一生の後悔にもなりかねないと再認識したエピソードであった。
そういった場合、ほかにも人気が続くエリアの物件を選ぶと良い。たとえば、
(1)都心の主要駅へのアクセスが良いエリア(2)将来性が見込める開発計画があるエリア(3)昔からブランド価値があるエリア(4)近年再開発され住環境が向上したエリア
などだ。こうしたエリアの物件はニーズもあるため、リセールバリューも高い傾向にある。資産価値の高い物件はいずれ売ることもできるため、まさに「安心させてくれる/人生を豊かにしてくれる」といえるのだ。
不動産というのは、その人の人生を左右しうるほど金額の大きい買い物である。だからこそ、冷静に資産価値を見極めて購入してほしい。ブームや夢に流されて「資産価値の低い=売れない」物件を購入することは、一生の後悔にもなりかねないと再認識したエピソードであった。