自身が関係する会社の資金を横領したとして、東京地検特捜部に27日、業務上横領罪で起訴された三浦清志被告(43)は、手掛けていた複数の太陽光発電事業が思うように進まず、資金を流用したとされる。
背景には、用地買収や事前調査に手間取り、認定を受けたのに事業が頓挫する事例が全国で多発している現状があるとされる。政府は今月末から、6万件超に上るこうした「塩漬け」された事業の認定を順次打ち切る方針だ。
「FIT」により割高価格で販売
太陽光発電は、平成24年7月に始まった国の固定価格買い取り制度(FIT)により、発電した電気を通常より割高な固定価格で一定期間、電力会社に販売できるようになった。
経済産業省資源エネルギー庁によると、制度開始前には国内の全発電電力量の0・4%だった太陽光発電は、多種多様な業種からの新規参入が進んだことで、令和2年度には7・9%に拡大した。
一方で、太陽光発電は太陽光パネルを設置する土地の確保や、周辺環境に悪影響を及ぼさないことを確認する調査などを終えない限り、着工できない。関係者によると、こうした準備には年単位でかかる場合もあり、資金繰りなどで中断されるケースも多い。
認定打ち切りで業者倒産の可能性も
問題となっているのは、家庭や工場に電力を届ける送電網につなげられる太陽光発電の量に一定の「枠」があることだ。認定の段階で、この枠は埋まってしまい、その後、事業が中断しても、その事業分の枠が空かない仕組みのため、有望な新規案件があっても送電網につなげる枠が足りず、断念する場合もあるという。
このため政府は、一定の条件で「塩漬け事業」を段階的に打ち切れるよう、令和2年に関連法を改正した。今月末に最初の打ち切り期限が訪れるが、同庁によると対象は今年2月時点で6万2122件に及ぶ。
打ち切りで枠が空くことを見越し、新規参入する業者もある一方、打ち切り対象となる事業を抱える業者は「あと1年あれば運転が始められるのに、あまりに杓子(しゃくし)定規。このままでは多くの業者が倒産する可能性がある」と打ち明けた。