日本でハリツケにされたくない――。国会に登院していないことで「議場での陳謝」の懲罰に応じる姿勢を見せたガーシー(東谷義和)参院議員(51)がいまだ帰国に二の足を踏んでいる。旅券(パスポート)の強制召し上げで、再び海外に渡航できなくなる可能性があるからだ。
先月27日に懲罰に応じる意向を示したガーシーは28日に自身のSNSの配信で、刑事事件での弁護士を務める高橋裕樹氏と政策秘書とを交えて現状と今後についての対応を協議。ガーシーの口からは帰国した際の不安ばかりがもれ出た。
俳優の綾野剛らから名誉毀損などで刑事告訴されたことで、警視庁から任意での事情聴取を求められている。逮捕される可能性について、国会会期中は不逮捕特権があるため帰国してすぐということはない。司法当局が逮捕許諾請求した際には内閣や参院で判断され、少なくとも十数日かかる見込みだ。
ガーシーが最も心配しているのは、日本から出国できなくなることだ。通常、旅券返納命令が出るのは逮捕状が出ている場合とされるが、高橋弁護士は「(警察や議会対応が)ありえない方向でスピーディーで動いている。まさかということをしてくる可能性がある」と指摘した。
旅券返納を巡っては、2019年にジャーナリストの常岡浩介氏がイエメンに渡航しようとした際、羽田空港で旅券が無効になっていると通告された。外務省は常岡氏がオマーンから入国禁止されていることを理由に旅券法に抵触しているとして、返納命令を出していた。
常岡氏は同年、返納命令の取り消しと損害賠償を求めて国を提訴した。間もなく4年がたつが、いまだ東京地裁で審理は続いており、旅券は取得できない状態だ。ジャーナリストとして、紛争地を取材してきた常岡氏にとって海外に渡航できないのは仕事を奪われたも同然で、憲法違反とも訴えている。
常岡氏は旅券返納命令自体は「犯罪者が国外に逃げたら呼び戻せるので評価している」と話す一方、その運用を巡っては自身の体験から「恣意的でしかない。海外に逃亡している容疑者には返納命令を出せるのに警察は無能で出していない」と怒りをにじませている。
国家権力の意のままに旅券を扱えるとなれば、ガーシーが危惧するように帰国した途端に逮捕状が出ていない段階で、何らかの理由をつけられ、旅券が無効とされる可能性は十分にあるということだ。
ガーシーは「パスポートを止めて、(日本から)出られなくしたうえで、ゆっくりと真綿を締めるように逮捕するのでは。常識を覆すだけの圧力がかかっている。(逮捕や旅券返納命令が出ない)確証が取れないと日本に帰りたくないのが本音」と吐露した。
8日の参院本会議が陳謝の場となる予定だが、ガーシーはギリギリに判断するとして、場合によっては爛疋織ャン瓩發△蠧世訃況だ。