つきまといなどのストーカー行為に対し、2022年に全国の都道府県公安委員会が出した「禁止命令」は1744件(前年比4・4%増)に上り、過去最多となったことが2日、警察庁のまとめで判明した。このうち、切迫性が高いとして加害者からの聴聞を経ずに発出した「緊急禁止命令」も過去最多の946件(同17・1%増)だった。
詳しく解説 「桶川ストーカー殺人」とは? 今年1月に福岡市博多区の路上で女性を刺殺したとして逮捕、起訴された男性被告にも緊急禁止命令が出されていた。警察庁の露木康浩長官は、2日の記者会見で「被害者の安全確保を最優先に、最大限の措置が速やかに講じられるように組織的な対応をきっちり進めていきたい」と述べた。

警察庁によると、禁止命令は18年(1157件)に1000件を超え、年々増加。22年に全国の警察に寄せられたストーカーの相談は1万9131件(前年比3%減)で5年連続の減少だったが、依然として高い水準となっている。 検挙は、ストーカー規制法違反が1028件(同9・7%増)、住居侵入や脅迫といった刑法などを適用したケースが1650件(同4・4%増)だった。22年1月には、三重県四日市市で緊急禁止命令を受けていた加害者が被害者の交際相手を刺殺する事件も発生している。 21年8月に施行された改正ストーカー規制法で規制対象となった、位置情報を取得できる全地球測位システム(GPS)機器の悪用による検挙は54件(同49件増)だった。 ストーカー行為は精神的な治療で改善する可能性も指摘されており、警察当局は16年から加害者に対し、医療機関での治療を働きかける取り組みを始めた。22年は過去最多の1149人(同15・7%増)に働きかけたが、実際に受診したのは153人(同6・7%減)にとどまった。働きかけに強制力はなく、費用は自己負担のため出費を嫌ったり、「自分には必要ない」などと断ったりするケースが多いという。 一方、配偶者からのドメスティックバイオレンス(DV)に関する22年の被害相談は前年比1454件増の8万4496件で、19年連続で最多を更新した。被害者の性別は、女性6万1782人(73・1%)、男性2万2714人(26・9%)。男性の割合が年々増加しているという。【松本惇】
今年1月に福岡市博多区の路上で女性を刺殺したとして逮捕、起訴された男性被告にも緊急禁止命令が出されていた。警察庁の露木康浩長官は、2日の記者会見で「被害者の安全確保を最優先に、最大限の措置が速やかに講じられるように組織的な対応をきっちり進めていきたい」と述べた。
警察庁によると、禁止命令は18年(1157件)に1000件を超え、年々増加。22年に全国の警察に寄せられたストーカーの相談は1万9131件(前年比3%減)で5年連続の減少だったが、依然として高い水準となっている。
検挙は、ストーカー規制法違反が1028件(同9・7%増)、住居侵入や脅迫といった刑法などを適用したケースが1650件(同4・4%増)だった。22年1月には、三重県四日市市で緊急禁止命令を受けていた加害者が被害者の交際相手を刺殺する事件も発生している。
21年8月に施行された改正ストーカー規制法で規制対象となった、位置情報を取得できる全地球測位システム(GPS)機器の悪用による検挙は54件(同49件増)だった。
ストーカー行為は精神的な治療で改善する可能性も指摘されており、警察当局は16年から加害者に対し、医療機関での治療を働きかける取り組みを始めた。22年は過去最多の1149人(同15・7%増)に働きかけたが、実際に受診したのは153人(同6・7%減)にとどまった。働きかけに強制力はなく、費用は自己負担のため出費を嫌ったり、「自分には必要ない」などと断ったりするケースが多いという。
一方、配偶者からのドメスティックバイオレンス(DV)に関する22年の被害相談は前年比1454件増の8万4496件で、19年連続で最多を更新した。被害者の性別は、女性6万1782人(73・1%)、男性2万2714人(26・9%)。男性の割合が年々増加しているという。【松本惇】