昨年1年間に全国の警察が虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告した児童数は11万5762人(前年比7・1%増)で、18年連続で過去最多を更新したことが、警察庁のまとめでわかった。
警察に寄せられた配偶者や恋人からの暴力(DV)の被害相談件数も最多だった。
警察庁によると、虐待通告の内訳は、暴言を吐くなどの「心理的虐待」が73%にあたる8万4973人で最も多かった。このうち半数以上が子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV」だった。暴行などの「身体的虐待」は2万662人、「ネグレクト(育児放棄)」は9805人で、「性的虐待」は322人だった。
摘発件数も前年比7件増の2181件で、これまでで最も多かった。身体的虐待の摘発が1718件で約8割を占めた。被害児童は2214人に上り、うち37人が死亡した(無理心中などを含む)。加害者は実父が最多の960人で、実母は590人、養父や義父が405人と続いた。
一方、DVの相談件数も2004年以降、19年連続で過去最多を更新した。言葉や態度で相手を追い詰める「精神的DV」が広く知られるようになり、相談が増えているとみられる。DVに関連した摘発は前年比1・1%減の8535件でほぼ横ばいだった。
虐待やDVは「家庭の問題」とされて被害が潜在化しやすい面もあり、警察は関係機関との連携を強化している。