2021年度の給食費が、公立の小中学校とも過去最高だったことが文部科学省の調査で分かった。
22年度以降はウクライナ侵略や円安の影響で、小麦や油を中心に食材はさらに高騰しており、各教育委員会は厳しいやり繰りが続いている。(佐々木伶)
調査は21年5月1日時点で、給食を実施する全国の国公私立の小中学校などに、給食費や米飯を提供する回数などを尋ねた。
給食費の月額平均は公立小学校が4477円で、前回の18年度調査に比べて3%増え、公立中学校も5121円で3・6%増だった。いずれも確認できる1992年度以降で最も高い水準だった。消費者物価指数でみると、食料品全体の価格は2011年から21年にかけて1割上がっており、それに伴って給食費も上昇する傾向にある。
地域によって差は大きく、都道府県別では、小学校で最も高いのは長野県の5090円で、最も安いのは滋賀県の3920円。中学は最高が富山県の5836円、最安は茨城県の4452円だった。
長野市教委では「地産地消にこだわっている」こともあるが、長期休暇が短いため、年間の提供回数が多く、月平均で計算すると高くなりがちという。富山市教委では、果物を小さく切るなど給食費を抑えようと様々な工夫を重ねてきた。しかし、食材の高騰が続き、「必要な栄養素を満たすのが難しくなった」として昨年春から値上げに踏み切った。
一方、物価高や少子化への対策として、給食費の無償化に注目が集まっている。
東京都中央区では、区立小中学校と区内の認可保育所などの給食費を無償化するため、新年度予算に関連経費を計上した。コロナ禍や物価高を受けた子育て家庭への支援策と位置付け、所得制限は設けないという。自民党の茂木幹事長は少子化対策として、小中学校の給食費無償化を目指す考えを示しており、国会でも議論を呼んでいる。
■「完全給食」微増
調査では、パンや米飯などの主食と、おかず、牛乳がそろった「完全給食」を実施しているかどうかも聞いた。小学校は98・7%で、中学校が89・1%。全体は94・3%と前回より0・8ポイント上昇した。
神奈川県の公立中は前回の44・5%から82・3%に急増した。背景には、生徒が配達式の弁当を事前に注文するか、自分たちで昼食を用意するか選ぶ横浜市で、配達式弁当を「給食」に位置づけたことがある。
完全給食を行っている学校は全校で米飯の給食を提供していて、平均回数は週3・5回だった。