北海道銀行は1月から、勤務中の行員の自由な服装を認める取り組みを試験的に始めた。
自主性や多様性を尊重することで、働きやすさを向上させるのが狙いだ。「ビジネスカジュアル」を認める動きは、北海道内の自治体などに広がりつつある。
同行ではこれまで、総合職はスーツ、店頭で接客する女性行員は制服の着用を義務づけていたが、今年から全行員を対象に、服装の自由度を高めた。
北広島支店では、女性行員が制服をやめ、私服で勤務している。落ち着いたピンク色のスカートで出勤した女性(39)は「最初は服装を考えるのが面倒かと思ったが、気持ちが上がるし、動きやすくて温度調節もできてありがたい」と楽しんでいる。
ポロシャツやTシャツ、スニーカーなどを身に着けてもかまわないが、目立つロゴや奇抜な色、透ける素材などは「金融機関にふさわしくない」として認めていない。同行人事部は堅苦しさの払拭(ふっしょく)をアピールして多くの人材が志望する効果も期待しており、6月末まで試行して本格導入するか判断するという。
道内では北洋銀行が2005年、男女平等の観点から女性行員の制服を廃止。全国でも、21年に岩手銀行や仙台市の七十七銀行が同様の取り組みを始めた。
北海道内の自治体にも服装の規定を改める動きがある。標津、羅臼の両町は今年の仕事始めから「ナチュラル・ビズ・スタイル」を開始。夏場はノーネクタイなど軽装での業務を認めていたが、節電を主な目的にこれを通年化して許容範囲も広げる。
働き方改革に詳しいパーソル総合研究所(東京)の小林祐児・上席主任研究員によると、ビジネスカジュアルは2005年頃、「クールビズ」の開始とともに東京から始まった。「男女平等や省エネの流れに乗って広がり、新型コロナ下でテレワークが普及したことで一気に地方まで浸透した」と指摘した。