滋賀県の高島市民病院(武田佳久病院長)は8日、市内の70~90代の男女3人にコンピューター断層撮影(CT)でがんの疑いが見つかったにもかかわらず、主治医がCT画像診断報告書を見落として発見が最大で約4年遅れたと発表した。うち70代男性が2020年7月に、80代男性が同年6月にがんが進行して死亡した。病院は医療過誤と認め、遺族に説明して謝罪した。
ヤンデル先生が語る 「ニセ医療否定」の限界 病院によると、いずれのケースも主治医が報告書の存在を失念して見ていなかった上、併存疾患の確認を怠ったことが原因だという。
70代の男性は19年3月、腹痛で救急外来を受診しCT検査の結果、報告書に「胃がんの疑い」と記載されたが、主治医が見落とした。同年8月に胸部不快で再度受診した際にミスが判明した。遺族と損害賠償について協議している。80代の男性は19年1月に腹痛で救急外来を受診。CT検査で「肺がんの疑い」とされた。同年11月に外傷でCT検査を受けた際に見落としが分かった。遺族と損害賠償について協議がまとまったとしている。 90代の女性は、15年10月に誤えん性肺炎で入院した際のCT検査で報告書に「両側乳がんの疑い」と記載されていた。19年12月に70代男性の見落としを受けた病院の再調査で判明した。がんの確定診断が出ていないため因果関係などは確認できていない。 病院は再発防止策として、医療安全研修の実施▽電子カルテシステムに未読件数表示機能の追加▽重要所見の記載がある場合、放射線科スタッフが担当医師に報告――などを取っている。 記者会見した武田病院長は「再発防止を万全にするように取り組み、患者と市民の信頼回復に努めたい」と陳謝した。【長谷川隆広】
病院によると、いずれのケースも主治医が報告書の存在を失念して見ていなかった上、併存疾患の確認を怠ったことが原因だという。
70代の男性は19年3月、腹痛で救急外来を受診しCT検査の結果、報告書に「胃がんの疑い」と記載されたが、主治医が見落とした。同年8月に胸部不快で再度受診した際にミスが判明した。遺族と損害賠償について協議している。80代の男性は19年1月に腹痛で救急外来を受診。CT検査で「肺がんの疑い」とされた。同年11月に外傷でCT検査を受けた際に見落としが分かった。遺族と損害賠償について協議がまとまったとしている。
90代の女性は、15年10月に誤えん性肺炎で入院した際のCT検査で報告書に「両側乳がんの疑い」と記載されていた。19年12月に70代男性の見落としを受けた病院の再調査で判明した。がんの確定診断が出ていないため因果関係などは確認できていない。
病院は再発防止策として、医療安全研修の実施▽電子カルテシステムに未読件数表示機能の追加▽重要所見の記載がある場合、放射線科スタッフが担当医師に報告――などを取っている。
記者会見した武田病院長は「再発防止を万全にするように取り組み、患者と市民の信頼回復に努めたい」と陳謝した。【長谷川隆広】