例年、年末年始は走り納めや走り初め、初日の出暴走など、暴走族の活動が活発になります。
活動がピークだった時代に比べると現在はグループ数も10分の1以下にまで激減し、暴走族チームどうしの抗争も少なくなりました。
【画像】オジサン歓喜! 昭和感ヤバい「スカイライン暴走族仕様」 存在感凄い実車を見る!(32枚) ピークだったのは昭和50年代で、当時は全国に4万人以上の暴走族構成員が存在しており、全国で年間4000回以上の集団暴走行為がおこなわれていました。 昭和53年に共同危険行為等禁止規定が道交法に新設され罰則が厳しくなったことも暴走族の減少に大きく貢献したといえます。

その一方、グループ未加入者の割合にも注目です。 昭和50年代にはほとんど存在していなかったグループ未加入者は近年8割を超えるまでになりました。 50台~100台レベルの規律の厳しい大所帯ではなく、気の合う仲間と数台規模でゲリラ的に暴走行為をおこなうという、このような傾向が近年は一般的です。 もはやかつての暴走族は「絶滅危惧種」と揶揄されるまでになりました。 しかし、実は近年、暴走行為に対する110番通報や苦情が急増している実情が明らかになっています。 それを裏付ける警察のデータもあり、令和4年版の警察白書では平成29年から令和3年までの5年間における暴走族のグループ数や総人員のデータが公開されています。 グループ数はこの5年間で170から110と減っていますが、「い集・走行回数(回)」は212から235と増加。 平成30年には1865台まで落ちていた参加台数も、令和3年は2600台にまで増加しています。 総人員数も令和2年4505人か、令和3年4679人とやや増加しており、とくに近年はずっと200人以下で推移していた女性構成員の数が平成28年からの5年間で最高の232人を記録しました。 神奈川、千葉、福岡、熊本などでは騒音苦情が増加しており、千葉では東京ディズニーリゾート周辺で2022年1月-3月末までの騒音に関する通報が70件と前年同期に比べて46件増加。 さらに、熊本では同年1月-7月の騒音苦情が前年同期から約3割増加しています。 コロナ禍で学校が休みになりヒマだから暴走に参加したという若者も少なくありません。 また、同時にコロナ禍で外出が減り、自宅にいる時間が増えた人々がこれまで気づかなかった騒音に気づくようになったことも110番通報が増えた理由の一つといえそうです。 さらに、暴走族との違いが明確に定義されにくい「旧車會」の活動が活発化していることも騒音苦情の増加に関わっていると考えられます。 旧車會は全般的に平均年齢が高め(40代以上)ですが、なかには10代-20代の若者たちが参加してくることもあるそうです。 活動内容も限りなく暴走族に近いスタイルで暴走を行い検挙されているグループもあれば、単にちょっと音が大きい旧車バイクが好きな中高年層のグループの場合もあります。 騒音だけでは共同危険行為には相当せず、取り締まりがしにくい実情もあります。※ ※ ※ このような行為は、道路交通法第68条で定められた「共同危険行為」となります。 ●共同危険行為等の禁止( 道路交通法第68条)「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。」 ・罰則:2年以下の懲役又は50万円以下の罰金 ・違反点:25点 また、違反すれば免許取消などの処分が課せられます。暴走族の活動が増加傾向にある神奈川県警交通対策課暴走族対策室に聞いてみた! 神奈川県内の暴走族は平成29年から増加傾向にあるといいます。 どのような対策がおこなわれているのでしょうか。神奈川県警暴走族対策室にお話を伺いました。―― 神奈川県警暴走族対策室ではどのような活動をおこなっていますか。 暴走族が絡む事件の捜査、共同危険行為などの取り締まりに対して情報の収集整備をおこなっています。 他機関との連携によっても捜査をおこない、必要な事務の処理にあたることを活動内容としています。―― 神奈川県内の暴走族の傾向を教えてください。 依然として多くの暴走族が活動しており、その構成員の大半は18歳未満の少年です。 そのなかには中学生や高校生も多く含まれています。 また、暴走族に加入している少年などには、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺や窃盗、薬物乱用などの犯罪に手を染めてしまう者も多くいます。―― 神奈川県内には現在どれくらいの暴走族グループが存在していますか。 県内の暴走族は令和4年11月末現在で11グループ、601名の構成員が確認されています。―― 暴走族のグループ数や人員数はどのように数えているのでしょうか。 暴走行為などで検挙した際に情報を得ることが多いですね。 もちろん、ほかの警察などからの情報をまとめています。 特殊詐欺など別の事件で検挙した若者から情報を得ることもあります。―― では、まったく活動が表に知らされていない暴走族というのも存在するのでしょうか。 はい。あまり数は多くないと思いますが、可能性はゼロではありません。クルマ好きのメッカとなる大黒PAでは取締りがおこなわれることも―― 暴走族のメンバーに加わる若者たちはどのような理由からでしょうか。 これまでに検挙・補導した少年に、暴走族に加入した動機や集団暴走した理由を聞いたところ、以下のような答えが多く返ってきています。・家庭、学校、職場がおもしろくない・先輩や友達に誘われた・気の合う仲間が欲しかった・改造したオートバイで暴走したかった・大勢で暴走するのが楽しそうだった・周りに迷惑をかけているのはわかっていたが、楽しかったので暴走した―― 取り締まり状況を見ていると、バリケードで行く手を阻んだり、袋小路に追い詰めて一網打尽にしたりといった強硬手段ではなくなっているように感じます。これには何か理由がありますか? 一般車を巻き込むことがあってはいけませんし、また、暴走族の構成員にけがをさせるようなことがあってもいけません。 神奈川以外でも、強引なやり方はもう今はどこの警察もやっていないと思います。※ ※ ※ このような暴走族及び暴走行為は、若者の健全な育成に深刻な影響を及ぼしています。 社会から暴走族をなくすためには、家庭、学校、職場、地域が一体となって「暴走族をゆるさない環境づくり」に取り組むことが重要です。
ピークだったのは昭和50年代で、当時は全国に4万人以上の暴走族構成員が存在しており、全国で年間4000回以上の集団暴走行為がおこなわれていました。
昭和53年に共同危険行為等禁止規定が道交法に新設され罰則が厳しくなったことも暴走族の減少に大きく貢献したといえます。
その一方、グループ未加入者の割合にも注目です。
昭和50年代にはほとんど存在していなかったグループ未加入者は近年8割を超えるまでになりました。
50台~100台レベルの規律の厳しい大所帯ではなく、気の合う仲間と数台規模でゲリラ的に暴走行為をおこなうという、このような傾向が近年は一般的です。
もはやかつての暴走族は「絶滅危惧種」と揶揄されるまでになりました。
しかし、実は近年、暴走行為に対する110番通報や苦情が急増している実情が明らかになっています。
それを裏付ける警察のデータもあり、令和4年版の警察白書では平成29年から令和3年までの5年間における暴走族のグループ数や総人員のデータが公開されています。
グループ数はこの5年間で170から110と減っていますが、「い集・走行回数(回)」は212から235と増加。
平成30年には1865台まで落ちていた参加台数も、令和3年は2600台にまで増加しています。
総人員数も令和2年4505人か、令和3年4679人とやや増加しており、とくに近年はずっと200人以下で推移していた女性構成員の数が平成28年からの5年間で最高の232人を記録しました。
神奈川、千葉、福岡、熊本などでは騒音苦情が増加しており、千葉では東京ディズニーリゾート周辺で2022年1月-3月末までの騒音に関する通報が70件と前年同期に比べて46件増加。
さらに、熊本では同年1月-7月の騒音苦情が前年同期から約3割増加しています。
コロナ禍で学校が休みになりヒマだから暴走に参加したという若者も少なくありません。
また、同時にコロナ禍で外出が減り、自宅にいる時間が増えた人々がこれまで気づかなかった騒音に気づくようになったことも110番通報が増えた理由の一つといえそうです。
さらに、暴走族との違いが明確に定義されにくい「旧車會」の活動が活発化していることも騒音苦情の増加に関わっていると考えられます。
旧車會は全般的に平均年齢が高め(40代以上)ですが、なかには10代-20代の若者たちが参加してくることもあるそうです。
活動内容も限りなく暴走族に近いスタイルで暴走を行い検挙されているグループもあれば、単にちょっと音が大きい旧車バイクが好きな中高年層のグループの場合もあります。
騒音だけでは共同危険行為には相当せず、取り締まりがしにくい実情もあります。
※ ※ ※
このような行為は、道路交通法第68条で定められた「共同危険行為」となります。
●共同危険行為等の禁止( 道路交通法第68条)
「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。」
・罰則:2年以下の懲役又は50万円以下の罰金 ・違反点:25点
また、違反すれば免許取消などの処分が課せられます。
神奈川県内の暴走族は平成29年から増加傾向にあるといいます。
どのような対策がおこなわれているのでしょうか。神奈川県警暴走族対策室にお話を伺いました。
―― 神奈川県警暴走族対策室ではどのような活動をおこなっていますか。
暴走族が絡む事件の捜査、共同危険行為などの取り締まりに対して情報の収集整備をおこなっています。
他機関との連携によっても捜査をおこない、必要な事務の処理にあたることを活動内容としています。
―― 神奈川県内の暴走族の傾向を教えてください。
依然として多くの暴走族が活動しており、その構成員の大半は18歳未満の少年です。
そのなかには中学生や高校生も多く含まれています。
また、暴走族に加入している少年などには、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺や窃盗、薬物乱用などの犯罪に手を染めてしまう者も多くいます。
―― 神奈川県内には現在どれくらいの暴走族グループが存在していますか。
県内の暴走族は令和4年11月末現在で11グループ、601名の構成員が確認されています。
―― 暴走族のグループ数や人員数はどのように数えているのでしょうか。
暴走行為などで検挙した際に情報を得ることが多いですね。
もちろん、ほかの警察などからの情報をまとめています。
特殊詐欺など別の事件で検挙した若者から情報を得ることもあります。
―― では、まったく活動が表に知らされていない暴走族というのも存在するのでしょうか。
はい。あまり数は多くないと思いますが、可能性はゼロではありません。
―― 暴走族のメンバーに加わる若者たちはどのような理由からでしょうか。
これまでに検挙・補導した少年に、暴走族に加入した動機や集団暴走した理由を聞いたところ、以下のような答えが多く返ってきています。
・家庭、学校、職場がおもしろくない・先輩や友達に誘われた・気の合う仲間が欲しかった・改造したオートバイで暴走したかった・大勢で暴走するのが楽しそうだった・周りに迷惑をかけているのはわかっていたが、楽しかったので暴走した
―― 取り締まり状況を見ていると、バリケードで行く手を阻んだり、袋小路に追い詰めて一網打尽にしたりといった強硬手段ではなくなっているように感じます。これには何か理由がありますか?
一般車を巻き込むことがあってはいけませんし、また、暴走族の構成員にけがをさせるようなことがあってもいけません。
神奈川以外でも、強引なやり方はもう今はどこの警察もやっていないと思います。
※ ※ ※
このような暴走族及び暴走行為は、若者の健全な育成に深刻な影響を及ぼしています。
社会から暴走族をなくすためには、家庭、学校、職場、地域が一体となって「暴走族をゆるさない環境づくり」に取り組むことが重要です。