「社長の見た目はブラックだけど会社はホワイト」実の父親に虐待され、母に対しては暴行…女性(18)がたどり着いた“異端”のソープランドのビル管理会社とは から続く
中溝観光開発の中溝茂寿社長は取材中に2度、涙を流した。
【写真】中洲のソープランドの“中”の様子
元暴力団員の男性社員が子供を連れてきたときを振り返ったうれし涙と、10代の女性社員、吉村愛華さん(仮名)が過去に受けていた虐待の話をしたときの涙だ。激情型の中溝社長はABCテレビが密着したドキュメンタリーでも人気となり、YouTubeで公開されている吉村さん登場回の動画は300万回に迫る再生数だ。
中溝社長のもとには、全国各地の人から「うちの子の面倒を見てほしい」「人生を変えたい」と元受刑者やその家族らから連絡が相次ぐようになった。
中溝観光開発の中溝茂寿社長
「『YouTubeを見た』と言って電話はもちろん、遠方から会社に突然、直接来る人もいて驚きますよ(笑)。最近ではある依存症の患者や家庭内暴力をしている男性と会いました。
連絡をくれる人の中には、真剣に更生したい人もいれば、俺を身元引受人にして早く更生施設を出ようっていうだけの人もいる。本当に変わる気があるのか、その場しのぎなのか、人を見て見極める力もついてきました(笑)」(中溝社長)
元ヤクザ、半グレ、元受刑者、非行少女、ヤミ金……。さまざまな“バツ”がついた社員ひとりひとりに寄り添い、その更生を支援する中溝社長。支援対象は拡大しつづけ、ついに最近は服役中の殺人犯に“内定”を出したという。
中溝観光開発への入社が決まっている岸田翔太受刑者(仮名、25歳)が事件を起こしたのは8年ほど前。岸田受刑者は、交際相手の女性の首をはさみで刺して死亡させた。懲役7~12年の不定期刑を受け、現在は佐賀少年刑務所で服役中だ。「社内でも、殺人犯に内定を出すことについてはちょっと意見がある人間もおるかも知れません。でも僕が思うのは、殺人と一口に言っても、カネ目当てで殺したのと、殺意がなかったけど当たり所が悪くて死なせてしまったのではまったく違います。 岸田受刑者の状況を詳しく聞いてみると、女性と口げんかになってカッターナイフで切りつけられ、反撃する形でたまたま持っていたはさみを突き刺して死亡させてしまったということでした。もちろん許されることではありませんが、誰にでも起こりうる“殺人”とも言えるんです。単に殺人だから『一発でアウト』という考え方を僕はしません」 中溝社長と刑務所の面接室で初めて面会した際に、岸田受刑者は「家族には顔向けできない、頼ることもできない」「地元にも二度と帰れない」と話したという。 「しゃべり方も考え方も25歳とは思えないくらい幼いのですが、同時にしっかり罪と向き合っているとも感じました。でもここで俺が手を差し伸べず、家族にも頼れなければ、行き着く先は生活のために再び犯罪に手を出すことかもしれない。面会を重ねる中で、彼は変われると確信できたので、出所したら採用することを決めました。『お前のおやじになってやる』『早く出ておいで』って励ましています」(中溝社長)「同僚に対して怖い感情がなかったと言えば嘘になります。でも…」 中溝社長の更生支援の活動を社員はどう思っているのだろうか。一般的な求人サイトに応募して入社した沖田和幸さん(仮名、30代)はこう話す。「私は犯罪とは無縁な人生で、最初は同僚に対して怖い感情がなかったと言えば嘘になります。でも、話してみると普通の人間なことがわかり、今は仲良くさせてもらっています。 彼らがかつて犯した罪の被害者が『なんで犯罪者が幸せに生きているんだ』と憤ることもあると思うのですが、受刑者が更生することは未来の被害者がいなくなることでもあると私は思うんです。だから社長が言うように、罪を犯した人が幸せになるため、というか、普通の生活ができるよう支援をすることには社会的な意義があるんじゃないでしょうか」 中溝観光開発は実際に、元受刑者らを数多く雇用して社会復帰を支援する実績を法務省から表彰されている。中溝社長は更生支援をさらに進めていくために昨年、社会復帰応援求人誌「リボーン」を創刊した。「ありがたいことに『中溝観光に入りたい』という連絡をたくさん頂くのですが、うちもキャパがあるので無制限には雇用ができません。そこで同じような思いでやってくれる企業を集めて作ったのが『リボーン』です。まだ創刊号だけですが、これから継続して更生支援の輪を広げていきたい」(中溝社長)「受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多い」 創刊号には中溝観光開発のほか、福岡県内の6社の求人が掲載されている。添付されている履歴書も受刑者・元受刑者の就職活動用にカスタマイズされており、「罪名」「懲役」「満期日」「刑務作業の内容」「工場での役職」「懲罰回数」といった項目を記入する欄がある。「銀行口座の有無」「被害者との関係」など、実際に雇用をしてきた中溝社長だからこそ分かる重要な項目も並ぶ。「受刑者の雇用は草の根で進めていくしかないんです。最近は、遠方の同じ思いの企業とのつながりも増えてきました。受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多いので、関西や関東などの企業と協力体制があると良いんですよ。こちらから人を送ったり、あちらから受け入れたりね。そうやって地道に進めていくしかないと思っています」 中溝社長の下には、きょうも全国からSOSが届いている。(「文春オンライン」特集班)
中溝観光開発への入社が決まっている岸田翔太受刑者(仮名、25歳)が事件を起こしたのは8年ほど前。岸田受刑者は、交際相手の女性の首をはさみで刺して死亡させた。懲役7~12年の不定期刑を受け、現在は佐賀少年刑務所で服役中だ。
「社内でも、殺人犯に内定を出すことについてはちょっと意見がある人間もおるかも知れません。でも僕が思うのは、殺人と一口に言っても、カネ目当てで殺したのと、殺意がなかったけど当たり所が悪くて死なせてしまったのではまったく違います。
岸田受刑者の状況を詳しく聞いてみると、女性と口げんかになってカッターナイフで切りつけられ、反撃する形でたまたま持っていたはさみを突き刺して死亡させてしまったということでした。もちろん許されることではありませんが、誰にでも起こりうる“殺人”とも言えるんです。単に殺人だから『一発でアウト』という考え方を僕はしません」
中溝社長と刑務所の面接室で初めて面会した際に、岸田受刑者は「家族には顔向けできない、頼ることもできない」「地元にも二度と帰れない」と話したという。
「しゃべり方も考え方も25歳とは思えないくらい幼いのですが、同時にしっかり罪と向き合っているとも感じました。でもここで俺が手を差し伸べず、家族にも頼れなければ、行き着く先は生活のために再び犯罪に手を出すことかもしれない。面会を重ねる中で、彼は変われると確信できたので、出所したら採用することを決めました。『お前のおやじになってやる』『早く出ておいで』って励ましています」(中溝社長)
「同僚に対して怖い感情がなかったと言えば嘘になります。でも…」 中溝社長の更生支援の活動を社員はどう思っているのだろうか。一般的な求人サイトに応募して入社した沖田和幸さん(仮名、30代)はこう話す。「私は犯罪とは無縁な人生で、最初は同僚に対して怖い感情がなかったと言えば嘘になります。でも、話してみると普通の人間なことがわかり、今は仲良くさせてもらっています。 彼らがかつて犯した罪の被害者が『なんで犯罪者が幸せに生きているんだ』と憤ることもあると思うのですが、受刑者が更生することは未来の被害者がいなくなることでもあると私は思うんです。だから社長が言うように、罪を犯した人が幸せになるため、というか、普通の生活ができるよう支援をすることには社会的な意義があるんじゃないでしょうか」 中溝観光開発は実際に、元受刑者らを数多く雇用して社会復帰を支援する実績を法務省から表彰されている。中溝社長は更生支援をさらに進めていくために昨年、社会復帰応援求人誌「リボーン」を創刊した。「ありがたいことに『中溝観光に入りたい』という連絡をたくさん頂くのですが、うちもキャパがあるので無制限には雇用ができません。そこで同じような思いでやってくれる企業を集めて作ったのが『リボーン』です。まだ創刊号だけですが、これから継続して更生支援の輪を広げていきたい」(中溝社長)「受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多い」 創刊号には中溝観光開発のほか、福岡県内の6社の求人が掲載されている。添付されている履歴書も受刑者・元受刑者の就職活動用にカスタマイズされており、「罪名」「懲役」「満期日」「刑務作業の内容」「工場での役職」「懲罰回数」といった項目を記入する欄がある。「銀行口座の有無」「被害者との関係」など、実際に雇用をしてきた中溝社長だからこそ分かる重要な項目も並ぶ。「受刑者の雇用は草の根で進めていくしかないんです。最近は、遠方の同じ思いの企業とのつながりも増えてきました。受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多いので、関西や関東などの企業と協力体制があると良いんですよ。こちらから人を送ったり、あちらから受け入れたりね。そうやって地道に進めていくしかないと思っています」 中溝社長の下には、きょうも全国からSOSが届いている。(「文春オンライン」特集班)
中溝社長の更生支援の活動を社員はどう思っているのだろうか。一般的な求人サイトに応募して入社した沖田和幸さん(仮名、30代)はこう話す。
「私は犯罪とは無縁な人生で、最初は同僚に対して怖い感情がなかったと言えば嘘になります。でも、話してみると普通の人間なことがわかり、今は仲良くさせてもらっています。 彼らがかつて犯した罪の被害者が『なんで犯罪者が幸せに生きているんだ』と憤ることもあると思うのですが、受刑者が更生することは未来の被害者がいなくなることでもあると私は思うんです。だから社長が言うように、罪を犯した人が幸せになるため、というか、普通の生活ができるよう支援をすることには社会的な意義があるんじゃないでしょうか」 中溝観光開発は実際に、元受刑者らを数多く雇用して社会復帰を支援する実績を法務省から表彰されている。中溝社長は更生支援をさらに進めていくために昨年、社会復帰応援求人誌「リボーン」を創刊した。「ありがたいことに『中溝観光に入りたい』という連絡をたくさん頂くのですが、うちもキャパがあるので無制限には雇用ができません。そこで同じような思いでやってくれる企業を集めて作ったのが『リボーン』です。まだ創刊号だけですが、これから継続して更生支援の輪を広げていきたい」(中溝社長)「受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多い」 創刊号には中溝観光開発のほか、福岡県内の6社の求人が掲載されている。添付されている履歴書も受刑者・元受刑者の就職活動用にカスタマイズされており、「罪名」「懲役」「満期日」「刑務作業の内容」「工場での役職」「懲罰回数」といった項目を記入する欄がある。「銀行口座の有無」「被害者との関係」など、実際に雇用をしてきた中溝社長だからこそ分かる重要な項目も並ぶ。「受刑者の雇用は草の根で進めていくしかないんです。最近は、遠方の同じ思いの企業とのつながりも増えてきました。受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多いので、関西や関東などの企業と協力体制があると良いんですよ。こちらから人を送ったり、あちらから受け入れたりね。そうやって地道に進めていくしかないと思っています」 中溝社長の下には、きょうも全国からSOSが届いている。(「文春オンライン」特集班)
「私は犯罪とは無縁な人生で、最初は同僚に対して怖い感情がなかったと言えば嘘になります。でも、話してみると普通の人間なことがわかり、今は仲良くさせてもらっています。
彼らがかつて犯した罪の被害者が『なんで犯罪者が幸せに生きているんだ』と憤ることもあると思うのですが、受刑者が更生することは未来の被害者がいなくなることでもあると私は思うんです。だから社長が言うように、罪を犯した人が幸せになるため、というか、普通の生活ができるよう支援をすることには社会的な意義があるんじゃないでしょうか」
中溝観光開発は実際に、元受刑者らを数多く雇用して社会復帰を支援する実績を法務省から表彰されている。中溝社長は更生支援をさらに進めていくために昨年、社会復帰応援求人誌「リボーン」を創刊した。
「ありがたいことに『中溝観光に入りたい』という連絡をたくさん頂くのですが、うちもキャパがあるので無制限には雇用ができません。そこで同じような思いでやってくれる企業を集めて作ったのが『リボーン』です。まだ創刊号だけですが、これから継続して更生支援の輪を広げていきたい」(中溝社長)「受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多い」 創刊号には中溝観光開発のほか、福岡県内の6社の求人が掲載されている。添付されている履歴書も受刑者・元受刑者の就職活動用にカスタマイズされており、「罪名」「懲役」「満期日」「刑務作業の内容」「工場での役職」「懲罰回数」といった項目を記入する欄がある。「銀行口座の有無」「被害者との関係」など、実際に雇用をしてきた中溝社長だからこそ分かる重要な項目も並ぶ。「受刑者の雇用は草の根で進めていくしかないんです。最近は、遠方の同じ思いの企業とのつながりも増えてきました。受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多いので、関西や関東などの企業と協力体制があると良いんですよ。こちらから人を送ったり、あちらから受け入れたりね。そうやって地道に進めていくしかないと思っています」 中溝社長の下には、きょうも全国からSOSが届いている。(「文春オンライン」特集班)
「ありがたいことに『中溝観光に入りたい』という連絡をたくさん頂くのですが、うちもキャパがあるので無制限には雇用ができません。そこで同じような思いでやってくれる企業を集めて作ったのが『リボーン』です。まだ創刊号だけですが、これから継続して更生支援の輪を広げていきたい」(中溝社長)
創刊号には中溝観光開発のほか、福岡県内の6社の求人が掲載されている。添付されている履歴書も受刑者・元受刑者の就職活動用にカスタマイズされており、「罪名」「懲役」「満期日」「刑務作業の内容」「工場での役職」「懲罰回数」といった項目を記入する欄がある。「銀行口座の有無」「被害者との関係」など、実際に雇用をしてきた中溝社長だからこそ分かる重要な項目も並ぶ。
「受刑者の雇用は草の根で進めていくしかないんです。最近は、遠方の同じ思いの企業とのつながりも増えてきました。受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多いので、関西や関東などの企業と協力体制があると良いんですよ。こちらから人を送ったり、あちらから受け入れたりね。そうやって地道に進めていくしかないと思っています」 中溝社長の下には、きょうも全国からSOSが届いている。(「文春オンライン」特集班)
「受刑者の雇用は草の根で進めていくしかないんです。最近は、遠方の同じ思いの企業とのつながりも増えてきました。受刑者は事件を起こした地元で働けないケースも多いので、関西や関東などの企業と協力体制があると良いんですよ。こちらから人を送ったり、あちらから受け入れたりね。そうやって地道に進めていくしかないと思っています」
中溝社長の下には、きょうも全国からSOSが届いている。
(「文春オンライン」特集班)