原子力規制委員会の山中伸介委員長は28日、テロ対策に不備があるとして事実上の運転禁止命令を出している東京電力柏崎刈羽原子力発電所を視察した。
山中委員長は、同原発3号機の経年劣化を調べる審査書類に約150か所の誤りが見つかった問題について、「審査書類に多数の誤記があるのは非常に問題。説明に納得できなかった」と苦言を呈した。
テロ対策不備の発覚後、規制委員長が同原発を視察するのは初めてとなる。
山中委員長らは、侵入者を検知するセンサーの設置状況などを確認。東電の取り組みや、多数の誤りが見つかった審査書類について、同原発の稲垣武之所長らと意見交換した。
山中委員長は、視察後、報道陣の取材に対し、審査書類の誤りについて、「小さな問題ではない。審査そのものに関する数値ならきちっとした数値を記載してほしい」と述べ、東電に原因究明などを求めたことを明らかにした。ただ、テロ対策とは別問題との認識も示した。
また、命令解除の可否を判断する時期については、「判断を下す時期に大きな変化はない。(視察では)良い印象も課題もあり、今後の検査次第だ」と説明するにとどめた。山中委員長は昨年11月、解除の可否を今春にも判断するとの見通しを示している。