自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)、チック症、吃音などが含まれる「発達障害」。昨今では、日常生活や仕事などで困難をきたし、大人になってから発達障害と診断される人も少なくない。他人とうまくコミュニケーションが取れないなどの特性もあり、彼らとの関係性に苦しみ心身の不調に陥る人もいるという。アゴ山さんも発達障害の一つであるアスペルガー症候群(ASD)の元夫とのコミュニケーションがうまく築けず、不安や抑うつなどの心身の不調を来たし「カサンドラ症候群」になってしまった。「好きだから…」という気持ちに悩みながらも離婚に至った彼女の葛藤とは。
【漫画】「一生信用できない…」発達障害の夫が起こした“息子放置事件”とは■良い家庭を築きたい、仲良い夫婦になりたい…ずっと根底にあった思い アゴ山さんは、『カサンドラ症候群になって離婚をするまでの話』と題しSNSで自身の経験を漫画化、現在67話まで更新している。49話では、夫との意見が合わず、周囲に相談するも、自分の気持ちをわかってくれない…という苦悩も描かれていた。――相談相手がいない、いても自分の気持ちをわかってもらえない、というのはつらかったのではないでしょうか。【アゴ山さん】元夫は、世間的には優しくて真面目な人なので、自分が悩んで誰かに相談しても悪いのは許容範囲が狭い私…という感じでしか返ってこなくて。それがつらかったです。だんだん自己嫌悪に陥りました。――「うちはもう言っても無理だから期待しない」や「割り切って考えたらすごい楽だよ」など、周りから言われた意見なども描かれていました。コミュニケーションができないことに関して「割り切って生活する」というのは、相手が発達障害だと難しいものなのでしょうか。「性格上できなかった」という言葉もありましたが…。【アゴ山さん】発達障害が相手だから、というのはあまり関係ない気がしますね! 夫婦それぞれかなと思います。最初から障害だとわかって結婚していたのなら、理解もできたし覚悟を持って結婚したということなので、割り切れたのかなと思います。…割り切りというか、「理解」ですかね。――読者からのコメントも多く寄せられていました。同じ思いを持つ方からの声を聞いた感想は?【アゴ山さん】これは個人の性格上の問題でもあるかと思います。私自身が結構かまってちゃんと言いますか…。家族である限り同じ気持ち、同じ悩みは共有したいという気持ちが強いタイプでして。多分そう思える時って、まだ元夫が好きだったんだと思います。同じように思える読者さんたちも、まだ良い家庭を築きたい、仲良い夫婦になりたい、という夢がずっと根底にあるんだと思います。愛情すらもなくなって、どうでもいい存在になったら、割り切って生活できていたと思います(笑)。■元夫の信用をなくしたある事件、それでもまだ「信じよう」と思った理由は ある日、アゴ山さんは夜中に息子さんの泣き声で目覚めた。その日、元夫と当時1歳だった息子さんは1階で寝ることになっていたのに、なぜか隣(2階)には、元夫さんが眠っていたのだ。慌てて下へ降りると、真っ暗な中一人で大泣きしている息子さんが…。この件を機に、元夫と子どもだけで過ごす時間が怖くなってしまったアゴ山さんだったが。――息子さんの寝かしつけを放置した件では、まだ「離婚」という選択肢はなく、元夫さんの発達障害についてもう一度理解しようと向き合う姿が描かれていました。「割り切れない」とも通じるかもしれませんが、元夫さんを「信じよう」と思えていた理由はどこにあったんでしょうか。【アゴ山さん】毎回夫がすぐ謝ってきていたからだと思います。「次は気を付ける」「心から反省している」と言われてしまったら、やっぱり何度も信じてしまっていましたね…。甘かったのかもしれませんが、もともと私も友達とケンカをしても、必ず最後には和解してた、という経験があったからだと思います。友情に厚いタイプだったんですよね(笑)。心から話し合えば、わかり合えない人間なんて居ない…!と本気で思っていました。若かったなあ…。――最新話ではついに離婚の意思を元夫へ伝えました。連載を始めてから今まで、読者からは様々な反響があったと思います。【アゴ山さん】私自身が、「カサンドラ」という言葉を近年知ったもので、マイノリティな言葉だと考えていました。連載を始めて、予想以上に共感してくれる人の多さに驚きました。こんなにも同じように悩んでいる人がいるんだ…と。私が読者さんたちに個人的にできることはないですが、漫画を通して共感することで、少しでも心が救われる方がいたら嬉しいなと思います。私自身も、見知らぬネットの人たちに気がつかされ、本当に感謝しています。――現在は、シングルマザーとして2人のお子さんを育てているアゴ山さんですが、今ご家族の中で一番楽しい時間はなんですか?【アゴ山さん】子どもたちと同じことで大笑いしている時ですね。お笑い系の動画やペットの猫たちを見て笑ったり…。家で笑いが絶えないと、ああ平和だなーって心から思います。これからも、子どもと猫たちとのんびり楽しく過ごせるだけで充分幸せです。
■良い家庭を築きたい、仲良い夫婦になりたい…ずっと根底にあった思い
アゴ山さんは、『カサンドラ症候群になって離婚をするまでの話』と題しSNSで自身の経験を漫画化、現在67話まで更新している。49話では、夫との意見が合わず、周囲に相談するも、自分の気持ちをわかってくれない…という苦悩も描かれていた。
――相談相手がいない、いても自分の気持ちをわかってもらえない、というのはつらかったのではないでしょうか。
【アゴ山さん】元夫は、世間的には優しくて真面目な人なので、自分が悩んで誰かに相談しても悪いのは許容範囲が狭い私…という感じでしか返ってこなくて。それがつらかったです。だんだん自己嫌悪に陥りました。
――「うちはもう言っても無理だから期待しない」や「割り切って考えたらすごい楽だよ」など、周りから言われた意見なども描かれていました。コミュニケーションができないことに関して「割り切って生活する」というのは、相手が発達障害だと難しいものなのでしょうか。「性格上できなかった」という言葉もありましたが…。
【アゴ山さん】発達障害が相手だから、というのはあまり関係ない気がしますね! 夫婦それぞれかなと思います。最初から障害だとわかって結婚していたのなら、理解もできたし覚悟を持って結婚したということなので、割り切れたのかなと思います。…割り切りというか、「理解」ですかね。
――読者からのコメントも多く寄せられていました。同じ思いを持つ方からの声を聞いた感想は?
【アゴ山さん】これは個人の性格上の問題でもあるかと思います。私自身が結構かまってちゃんと言いますか…。家族である限り同じ気持ち、同じ悩みは共有したいという気持ちが強いタイプでして。多分そう思える時って、まだ元夫が好きだったんだと思います。同じように思える読者さんたちも、まだ良い家庭を築きたい、仲良い夫婦になりたい、という夢がずっと根底にあるんだと思います。愛情すらもなくなって、どうでもいい存在になったら、割り切って生活できていたと思います(笑)。
■元夫の信用をなくしたある事件、それでもまだ「信じよう」と思った理由は
ある日、アゴ山さんは夜中に息子さんの泣き声で目覚めた。その日、元夫と当時1歳だった息子さんは1階で寝ることになっていたのに、なぜか隣(2階)には、元夫さんが眠っていたのだ。慌てて下へ降りると、真っ暗な中一人で大泣きしている息子さんが…。この件を機に、元夫と子どもだけで過ごす時間が怖くなってしまったアゴ山さんだったが。
――息子さんの寝かしつけを放置した件では、まだ「離婚」という選択肢はなく、元夫さんの発達障害についてもう一度理解しようと向き合う姿が描かれていました。「割り切れない」とも通じるかもしれませんが、元夫さんを「信じよう」と思えていた理由はどこにあったんでしょうか。
【アゴ山さん】毎回夫がすぐ謝ってきていたからだと思います。「次は気を付ける」「心から反省している」と言われてしまったら、やっぱり何度も信じてしまっていましたね…。甘かったのかもしれませんが、もともと私も友達とケンカをしても、必ず最後には和解してた、という経験があったからだと思います。友情に厚いタイプだったんですよね(笑)。心から話し合えば、わかり合えない人間なんて居ない…!と本気で思っていました。若かったなあ…。
――最新話ではついに離婚の意思を元夫へ伝えました。連載を始めてから今まで、読者からは様々な反響があったと思います。
【アゴ山さん】私自身が、「カサンドラ」という言葉を近年知ったもので、マイノリティな言葉だと考えていました。連載を始めて、予想以上に共感してくれる人の多さに驚きました。こんなにも同じように悩んでいる人がいるんだ…と。私が読者さんたちに個人的にできることはないですが、漫画を通して共感することで、少しでも心が救われる方がいたら嬉しいなと思います。私自身も、見知らぬネットの人たちに気がつかされ、本当に感謝しています。
――現在は、シングルマザーとして2人のお子さんを育てているアゴ山さんですが、今ご家族の中で一番楽しい時間はなんですか?