静岡県裾野市の私立さくら保育園で保育士が園児を宙づりにするなどしていた問題は4日、保育士の女3人が暴行容疑で逮捕され、虐待事件へと進展した。
園が隠蔽(いんぺい)ともとれる行為をしたのに加え、市の対応も後手で保育行政が混乱。転園の相談が相次いでおり、村田悠市長は、「市に大きな責任があった」と謝罪し、自身や担当職員らを処分する方針を示した。
市は8月中旬に関係者から通報を受けた。適正な保育環境の整備や、事実関係の報告を求めるなどの指導を園に行い、園長などから事情を聞いていた。しかし市が事実を公表したのは11月30日で、市長への報告はその前々日の28日だった。
こうした経緯について、村田市長は、市には問題を隠蔽する意図はなかったとした上で、「監督する立場として保護者に説明をするよう(園に)指導が必要だった」と謝罪し、「8月に把握していた職員、監督する立場の市長、副市長の責任は大きい」と話した。
園側は、問題を口外しないようにする誓約書を職員全員に書かせるなど、組織的に事実の隠蔽をした可能性がある。
2人の子どもを園に預けている母親(40)は、「もっと早い段階で対応できたのでは。市も園も残念だ」と、不信感を募らせている。
さくら保育園とその分園は、5日の休園が決まっている。合わせて約170人の園児が通園しており、休園が続く場合、市は8日から市内の別の保育園で受け入れる方針だ。受け入れ可能な数や保育士の確保などを検討している。また、転園に関する問い合わせも市に相次いでいるという。