内閣府は7日、AV出演被害防止・救済法(AV新法)が6月に施行されて以降、全国で103件の被害相談が寄せられたと発表した。相談件数の公表は救済法が施行されてから初めてとなる。
AV新法をめぐっては、6日にも映像制作会社役員の男が、自身が制作するAV7作品に出演した女性3人に対し、出演契約書を渡さなかった疑いで初摘発された。
AV制作会社幹部はため息交じりにこう話す。「一般的にAVとひとくくりにされがちだが、業界規制するAV人権倫理機構(人権倫)に加盟している“適正AV”と、非加盟の“同人AV”に分けられる。AV新法の法案審議で取り上げられた問題は、人権倫が発足する以前の古い話か、同人AVでのトラブル。今回逮捕された男は“個撮”と言われる同人AVの一種で、新法を順守している適正AVも一緒くたにされるのはつらいところ」
人権倫に加盟して適正AVを制作している現場では、AV新法施行後に業界に入ってくる人材が大幅に減っているという。前出の制作会社幹部は「法案審議の様子が連日ニュースやSNSで取り上げられたことで、業界への不安から女優志願者が減ったばかりでなく、男優志願者も激減。今や新人が男優としてキャリアを積むのは難しい状況」と、すでに“風評被害”が起きている状況を明かした。
今後もAV新法による摘発は続くと見られている。人権倫に加盟するプロダクション関係者は「一部の同人AVは無修正AVを海外サーバーにアップロードすることで法の抜け穴をすり抜けたりと、かなり際どいことをしている。警察はAV新法での摘発実績を上げたいはずで、今後も同人AVを狙った摘発は続きそうだ」と明かした。