中国から日本に電話をかける振り込め詐欺グループの日本人の男5人が中国で拘束され、警視庁に詐欺容疑で逮捕された事件で、5人は今年5月中旬に日本から中国に渡っていたことが警視庁への取材でわかった。5人の渡航後、東京都内で同じ手口の被害が計12件あり、被害額は約7500万円にのぼるという。警視庁は、5人が中国から日本にうその内容の電話を繰り返し、これらの被害に関与したとみて捜査。日中のグループの役割分担などの解明を進める。

 捜査2課は7日、5人の逮捕を発表した。いずれも住所不定、無職の浦山健二(45)、神洋志(じん・ひろし、35)、佐野洋希(ひろき、26)、小林大輝(たいき、26)、片山雅斗(21)の各容疑者。5人はいずれも警視庁の調べに「知り合いに誘われて中国に渡った」と供述。日本から上海経由で福建省に渡ったという。

 5容疑者は福建省アモイ市のマンションを拠点に電話をかけており、7月9日に公安当局に身柄を拘束された。その後、国外退去処分となり、6日夜、帰国した直後に逮捕された。こうした手口の振り込め詐欺が増える中、中国で日本人が拘束された初のケースという。

 捜査2課によると、浦山容疑者らは6月上旬、福建省から東京都練馬区の女性(81)に警察官を名乗って電話をかけ、「詐欺事件の犯人を捕まえたら、あなたの口座が出てきた。これから、銀行協会から口座凍結に関する電話がある」とうそを言った。さらに銀行協会職員を名乗って電話し、「口座を凍結するので金を引き出しておいてほしい」と指示。日本の仲間を女性宅に行かせ、2回にわたり現金計約370万円を受け取らせ、だまし取った疑いがある。5人とも容疑を認めているという。

 捜査2課は、銀行協会職員を装って女性から現金を受け取ったなどとして、7月以降、男2人を詐欺容疑で逮捕している。