台湾有事をめぐる高市早苗首相の発言に中国の強硬姿勢がエスカレートする一方だ。6日には自衛隊機が中国軍戦闘機に2度にわたってレーダー照射を受け、小泉進次郎防衛相が未明に抗議する事態となった。永田町では超党派の日中友好議員連盟が沈静化に向け、パイプ役を果たすべきとの声が出ている。
中国側による日本への渡航自粛勧告から始まり、日本産水産物の輸入停止、中国での日本関連イベントの中止に続き、今回の中国軍戦闘機のレーダー照射で、両国間は一気に緊張が高まった。
中国側は高市発言の撤回を求めるが、日本側は従来の立場を変えるものではないと一貫している。高市政権と中国側に太いパイプがない中で、対立の長期化やさらなるエスカレートを回避するために期待が寄せられているのが日中友好議連だ。
同議連は自民党の森山裕前幹事長、小渕優子元経産相、立憲民主党の岡田克也元外相、海江田万里元衆院副議長、公明党の赤羽一嘉元国交相、共産党の志位和夫前委員長、国民民主党の古川元久代表代行らが役員に名を連ねる超党派で、今年4月には森山氏や岡田氏ら訪中団が北京を訪問。日中間の対立が始まってからは今月1日に議連幹部が呉江浩駐日大使と面会し、議連の年内訪中案も浮上しているが、一筋縄ではいかないという。
「自民党の二階俊博元幹事長が議連会長を務めていましたが、政界を引退したことで、かつての影響力はないともいわれています。後任の森山氏や事務局長の小渕氏らは高市政権になって、冷や飯を食わされていて、どこまで骨を折って、協力してくれるかは懐疑的です。そもそも台湾有事発言は岡田氏が高市首相にしつこく迫ったことが発端でしたので、逆に利用されかねないとの懸念の声もあります」(永田町関係者)
「中国にこびを売っている親中派の集まり」との批判も絶えないが、公明党の岡本三成政調会長は先月、堀江貴文氏の政治討論番組に出演した際、同議連について「言いたいことはちゃんと言うけど、チャンネルもちゃんとキープしていることが何より重要」と話していた。今後の同議連の動きが注目される。