22日、名古屋高速小牧線でバスが横転・炎上し、2人が死亡した事故。司法解剖の結果、死亡した2人は“焼死”した可能性があることがわかりました。バスの前の部分から火が出たとみられます。
消防に事故の通報が入ったのは、午前10時過ぎ。名古屋高速道路公社からの119番通報でした。午前10時27分には消防隊が到着し、消防車14台で消火活動を始めました。 「消防隊が着いた時点ではバス全体に火が回っていて、(追突した)乗用車の方にも出火が認められた」(名古屋市消防局 入倉勝利消防係長) バスには運転手を含め8人が乗っていました。このうちの乗客6人は、消防隊が到着した時には、すでに自力で脱出していたとみられています。 消火活動の開始から約2時間後。救急隊がバスの車内で、心肺停止状態の2人を発見しました。運転手とみられる男性は、運転席の付近で倒れていたといいます。 「性別も判別が難しいぐらいの状況にあった」「消防隊が着いた段階で車両全体に火が回っている状況だったので、なかなか内部に人がいても即座に救出ということは難しい状況でした」(入倉係長) 消防は、高速道路などで車両火災に遭遇した際の注意を呼びかけています。 「ご自身の身を守る行動をしてほしい。火を見て消火活動をお手伝いというような発想に至る前に、まず自分の安全を確保することを考えてもらい、安全が確保できたらなるべく早く119番通報してほしい」(入倉係長)
なぜ、バスが激しく燃えるほどの火災が発生したのでしょうか。 事故が起きたバスを製造するメーカーによると、同型バスの前輪付近には、軽油が入る燃料タンクを左右に設置。そこから、パイプやホースでタンク同士とエンジンをつないでいるといいます。 車両火災などの鑑定を行う専門家は、今回の火災の原因について―― 「状況をみると、バスが中央分離帯に乗り上げたとき車体の底部、前輪あたりの底部のところのガソリンタンクやホースが損傷して、燃料漏れが起きた」 「乗り上げた時に金属の摩擦で火花が発生するので、火花が原因で燃料に着火して、燃料が漏れ続けるうちは火が止まらないので延焼が続いたのでは」(科学鑑定研究所 冨田光貴さん) 冨田さんは、客を乗せるバスの構造上、多くの部品があるバスの底を損傷し、かつ燃料漏れが起きたことで火災が起きたのでは、と推測します。さらに、バスからの脱出についても―― 「オイルや燃料に火がついてしまった場合は、非常に速いスピードで、それこそ本当に車両全体を火が飲み込んでしまうという状況になってしまいますので、おそらく燃料に火がついてしまった場合は、5~10分くらいでほぼ車両全体を火が包んでしまう。今回の事故の場合だと、車外に脱出できる時間は本当、数分くらいしか与えられていなかったのではないかなと思います」(冨田さん) なぜ事故が起きたのか? 原因は調査中ですが、火災事故ならではの難しさもあるといいます。 「衝撃でホースが切れたとか、そこから燃料が漏れたというのが直接の原因でも燃えて無くなってしまうので、火災調査はやはり直接の原因が明らかにならないこともあるので、推測で話がすすむことも確かにある」 「旅客のバス短期間で調査して結果が出れば良いのではなく、再発防止や事故の原因をしっかり究明することのが大事かと」(冨田さん)