中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービス前社長、大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=が射殺された事件で、京都地検が創業者の次男(69)から任意で事情聴取したことが18日、捜査関係者への取材で分かった。
次男は特定企業グループとの不適切取引を主導したとされるが、事件への関与は否定したという。19日で発生から9年。京都府警と福岡県警の合同捜査本部は実行犯とみられる男を10月に逮捕しながらも、指示役や共犯者の特定に向けた捜査は難航している。
男は特定危険指定暴力団工藤会系組幹部、田中幸雄被告(56)=殺人罪などで起訴。合同捜査本部は工藤会が絡む組織的犯行とみて捜査しているが、捜査関係者によると、田中被告は調べに黙秘している。
合同捜査本部は事件の背後関係を調べる中、王将側と福岡県の企業グループとの不適切取引に関心を寄せ、創業者の長男(72)や企業グループ元経営者らから任意聴取。捜査関係者によると、地検は香港にいた次男にも帰国を求め、11月に事情を聴いた。次男は不適切取引の時期に代表取締役専務兼経理部長を務めていたが、長男や元経営者らと同様に事件への関与を否定したという。
平成28年に王将設置の第三者委員会がまとめた報告書によると、元経営者との不適切取引は次男が主導し、王将から企業グループ側に200億円超が流出、約176億円が未回収になった。大東さんは元経営者との関係解消に乗り出し、事件直前の25年11月に一連の問題点をまとめた報告書(非公表)を完成。事件前には疲れた様子も見せ、周囲に「殺されるかもしれない」と話していたという。
起訴状によると、田中被告は氏名不詳者らと共謀し、大東さんの殺害を計画。25年12月19日午前5時45分ごろ、京都市山科区の本社前で、大東さんの胸や腹を拳銃で4発撃って殺害したとされる。直接証拠はないとみられ、被告と大東さんとの接点もはっきりしていない。