新型コロナウイルス感染の「第7波」を迎えている秋田県内の病院で、クラスター(感染集団)発生や濃厚接触者の認定などで医療従事者が出勤停止を余儀なくされ、一般診療にも影響が及んでいる。
コロナ患者用に確保している病床317床の全ては使えない状態で、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)感は高まっている。
横手市の市立横手病院は18日から緊急以外の新規入院や手術を制限している。17日に入院患者5人と看護師3人の感染が判明し、その後にクラスターと認定されたほか、18日に医師1人の感染も分かり、クラスターの規模も9人と拡大したためだ。
同病院によると、クラスター発生で、秋田大付属病院から今週に派遣される予定だった麻酔科や眼科の非常勤医師計17人が来られなくなった。これにより、眼科の一般診療が少なくとも26日まで行えないといった影響も出ているという。
クラスター発生のほか、子どもの感染で看護師が濃厚接触者に認定されるなどし、22日時点でスタッフ約20人が出勤できない状態に。人繰りが厳しく、18日から発熱外来を中止している。
国は濃厚接触者となった医療従事者について、ワクチン接種や無症状、陰性確認などを条件に勤務を認めている。ただ同病院では、「患者への感染リスクが高まる」(担当者)として10日間の出勤見合わせを原則行っているという。
コロナ病床は確保した14床中3床が空いているが、クラスター発生を受けて新規患者は受け入れていない。担当者は「出勤できない職員の穴をなんとか埋めてきた中で、クラスターが発生した。連勤が続いている看護師も多く、いっぱいいっぱいの状態」と語る。
他の病院も同じような状況だ。
大館市立総合病院(大館市)ではクラスター発生で、緊急性の高い患者以外の新規入院や手術などの制限が7月20日から続いている。担当者は「陽性判定や濃厚接触者認定で、特に看護師が出勤できていない。地域と院内の状況はこれまでにないほど逼迫している」と語る。
男鹿みなと市民病院(男鹿市)でもクラスターが起き、17日までに看護師と患者計10人の感染が判明。コロナ病床8床を確保しているが、看護師不足などのために新たなコロナ患者の受け入れを停止している。
県と秋田市の公表資料によると、県内の病院とクリニックでは、8月だけで計13件(22日現在)のクラスターが認定されている。佐竹知事は19日の県議会県政協議会で、医療従事者の感染が相次いでいるとして、現在60%台の病床使用率について「実質的には非常に逼迫した状態」との認識を示している。