「こういうニュースだけ見ていたい」――。痛ましい事件や事故のニュースで溢れる毎日。テレビやネットで「ほっこり」するニュースを目にしたとき、ふと、そんな感情を抱いたことはないだろうか。
ツイッターでは今、そんな「ほっこりニュース」だけを取り上げるアカウントが話題を集めている。その名も「こういうニュースだけ見ていたいBOT」(フォロワー数約4万1000人)。管理者に、アカウントに込めた思いを聞いた。
これらは「こういうニュースだけ見ていたいbot」が紹介しているネット記事の見出しだ。同アカウントが取り上げているのは、動物の話題やちょっとしたハプニングエピソードなど、思わずほっこりするようなニュースばかり。ここでは、悲惨な事件や事故のニュースは登場しない。
J-CASTニュースは2022年8月11日、ツイッターアカウントを管理している、あわうみさん(@awaumi_s)に取材した。普段は会社員として働いているあわうみさんがアカウントを開設したのは21年の9月。開設理由を、こう振り返る。
アカウントでは「こういうニュースだけ見ていたい」のようにつぶやかれたツイートを自動で集計し、その中で反応が多いニュースや動画などを紹介している。「見ていて不快に感じることがないように気をつけています」。自動集計のため、不適切なニュースを拾わず、かつ数多く紹介することを目指し、日々改良を続けているという。
自動集計ゆえ、「こういうニュースだけ見ていたい」という声が多ければ多いほど、多くのニュースが投稿される仕組みだ。
普段は1日1~3本のペースで記事を投稿し、日によっては1本も投稿がない日もある。一方で、安倍晋三元首相が奈良県で銃撃され亡くなった7月8日には一日で12本、翌9日には7本のニュースが投稿された。
また、これまで最も多くの反響を集めたニュースは、2月24日に投稿した「極寒の海に転落した男性、1頭のアザラシに励まされ続け、無事生還 : カラパイア」。1万6000リツイート、6万2000いいねの反響があったが、この日はロシアがウクライナに侵攻をはじめた日だった。
暗いニュースが話題になればなるほど、「こういうニュースだけ見ていたい」という人々の思いは大きくなる。あわうみさんは「素直には喜べません。いつかこのbotが誰にも必要とされなくなり、ひっそりと消えていく日が来るといいなと最近は思ったりしています」と複雑な思いを口にする。
それでも「癒される情報でタイムラインを埋め尽くしてやろうというのではなく、疲れたときにちょうどbotのつぶやきが目に入って癒される、そんな人が少しでもいればいいなぐらいの温度感で作っています」と、アカウントが掲げるポリシーを示す。「人の不幸で儲けるようなことはしたくない」と、収益化はしない考えだ。
「これからも大きく変えずに細く長く続けていきたいです」
(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)