4月からの家庭向け電気料金(規制料金)の値上げを経済産業省に申請している東北、北陸、中国、四国、沖縄の5電力に関し、経産省が各社管内の一般消費者からの意見を聴く公聴会が16日で終わった。
公聴会では消費者から値上げに対して厳しい意見が相次いだ。経産省は公聴会の意見や有識者専門会合の審査結果などを踏まえ、消費者庁との本格的な協議を今後行う。協議の結果、値上げ幅がどれだけ圧縮されるかが焦点となる。
「値上げ幅が大きく納得できる内容ではない」。16日、仙台市で行われた東北電の値上げ申請に対する公聴会でも厳しい意見が相次いだ。東北電の樋口康二郎社長は「ロシアのウクライナ侵攻に伴い、(燃料の)調達コストが大幅に増え、いわゆる(販売価格よりもコストのほうが大きくなる)『逆ざや』の状況も続いている」などと値上げへの理解を求めた。
昨年11月に値上げ申請を行った5社への公聴会は先月30日の沖縄電管内から始まり、四国、中国、北陸の各電力管内でも実施された。今年1月に値上げ申請を行った東京、北海道の2社への公聴会は4月に実施予定だ。
規制料金の値上げ申請を行っている7社は、ウクライナ危機後の火力発電用燃料の液化天然ガス(LNG)や石炭の価格高騰を理由に挙げる。燃料費高騰で大手電力各社の経営は急速に悪化しており、電力の安定供給なども考慮すれば、一定程度の値上げは避けられない状況だ。
ただ、昨年12月以降、複数の大手電力で、法人向け電気料金をめぐるカルテル疑惑や送配電子会社が管理する新電力の顧客情報の不正閲覧など不祥事が相次いで判明。消費者庁を所管する河野太郎消費者相が13日に中国、東北、四国、沖縄の各社から異例のヒアリングを実施。河野氏は「法令違反が疑われるようなことは間接的にも消費者に影響が出る」などと指摘した。これに対し電力側は「(不祥事と値上げは)直接関係ないと申し上げた」(中国電の滝本夏彦社長)と訴える。
値上げ申請はいずれも平均で3~4割程度と大きく、申請段階の値上げ幅が最も大きい北陸電では、標準的な家庭のモデルケース(月の使用量230キロワット時)の場合、月の電気料金は6402円から9098円へと2696円の負担増となる。
過去の規制料金の値上げでは、最終的に認可された値上げ幅は申請時から数%圧縮されることが多い。ただ、これ以上の経営悪化は電力の安定供給にも影響しかねず、物価高に苦しむ消費者の声も踏まえた経産省の判断が注目される。(永田岳彦)