日本の「国葬」の様々な問題点を、前編記事「【もはや“酷葬”】警備だけで35億円、杜撰な招待状、トランプもメルケルも来ない…国葬のウソを全部暴く」に引き続き紹介する。
安く試算されているのは警備費だけではない。要人をもてなすための「接遇費」も、何倍にも膨らむ可能性がある。「岸田総理は約6億円と発表しましたが、明らかに安すぎます。来年5月に広島で開かれるG7サミットでは、接遇費などとして外務省が199億円を概算要求しています。サミットは3日間ですが、国葬では3分の1より多少減って50億円程度かかってもおかしくない。実際、今上天皇の『即位の礼』の際も『饗宴の儀』の費用と別に、外国賓客等滞在関係経費として50億円を計上した例もあります」(野党ベテラン議員)

外務省に問い合わせたところ「旅費、宿泊費は先方負担です」という回答があったが、それ以外は外交儀礼上日本側が出すのが普通だ。岸田総理は30ヵ国以上の首脳級と会談を行う見通しを示しており、それ相応の費用がかかってくる。ちなみに外務省大臣官房報道課からの回答PDFのファイル名は、『小学館「週刊現在」取材……』となっていた。本誌は講談社が発行している。国葬関連の対応で、担当者は相当疲弊しているようだ。photo by gettyimages また国の経費には含まれないが、首都高の一部通行止めによる経済損失や、地方自治体の長が参加するための旅費なども、回りまわって国民の負担になることも忘れてはいけない。さて、ここまでの試算をまとめると、式自体にかかる2億5000万円に、警備費約35億円、接遇費約50億円が加わる可能性がある。トータルは16億6000万円どころか、約90億円に膨れ上がってもおかしくない。「今回の国葬は令和4年度の一般会計の予備費『4000億円』の中から捻出されることになります。国葬が終わってから足りなかった額は、この予備費から補填される。総額いくらかかったかは、早くても’24年の1月にならないと出てこない。その頃には国民も国葬のことなんて忘れている。岸田政権はそこを狙っているのでしょう」(別の野党ベテラン議員)水だけで5時間の長丁場9月27日午後12時、VIPを除く参加者たちは議員会館に集合し、100台以上の大型バスで武道館に向かう。式の開始は14時、儀仗隊が安倍元総理の遺骨を出迎え、105ミリ榴弾砲による19発の空砲が東京の空に響き渡る。松野博一官房長官による「開式の辞」の後、「国歌演奏」、「黙とう」と続き「生前のお姿の映写」が行われる。「追悼の辞」で挨拶するのは、岸田総理、衆参両院の議長、最高裁判所長官、友人代表の菅義偉前総理だ。その後、海外の要人や参加者が順番に、7500本用意された白菊を献花していく。かろうじて給水所はあるものの、飲食物の持ち込みは禁止。長い人は献花終了の17時まで待たされるため、招待客の中で体調を崩す人が出てもおかしくない。多少の不備や不満は当然出るだろうが、当日さえ乗り切れれば問題ない……。岸田総理は今の段階では、こう思っているのかもしれない。 だが、その考えは甘すぎる。自民党議員たちからも、国葬についての異論が噴出し始めているからだ。石破茂元幹事長が語る。「国葬は粛々とやるべきだ。でも、決めるのは主権者たる国民であるはず。国民の半数以上が反対する中で国葬をやるような状況にしてはいけない」他にも複数の自民党議員から「こんなに反対されるなら、国葬にこだわらなくてもよかった」「中曽根(康弘)元総理のように内閣・自民党合同葬なら2億円程度の費用で済んだのに」といった声があった。なかには周囲の人に聞かれないよう小声で、「これじゃ大失敗だよ。岸田さんはやっぱりダメだな」と漏らす議員も。静岡、沖縄、長野県知事など、不参加を表明する地方自治体の長も続出している。一人で泣く昭恵さん「検討だけして何もしない」ことを続けてきた岸田総理には珍しく、「安倍国葬」は自らの決断だったとされる。実際、総理自身は周囲の議員や記者に「俺が決めた」と漏らしてきた。しかしこれすら、若干のウソを含んでいる。岸田派中堅議員が明かす。「岸田さん自身は最初から、国葬なんてこだわっていなかった。(官房副長官の)木原(誠二)さんなどが『保守派の離反を防ぐためには国葬が必要だ』と言って、実現に動いたんです。さらに麻生(太郎)さんから『国葬だ。理屈じゃねえんだ』とクギを刺されたことで、岸田さんは決断せざるをえなくなった」本当は乗り気ではなかったのに「国葬をやる」と決めたばかりに、岸田総理は次々に問題に直面することになってしまった。加えて安倍元総理の事件の背景にあった「旧統一教会問題」が紛糾したことで潮目が変わった。自民党政治が長年隠してきた「大きなウソ」が暴かれることで政権は防戦一方になり、党内では「岸田おろし」に発展する可能性すら出ている。 こうした状況の中で、「もらい事故」を食らったのが未亡人・昭恵さんだ。SNSを中心に、「国葬を辞退すべき」という批判が吹き荒れている。「昭恵さんはスマホを触らず、ネットを見ないようにしています。昼間は弔問などに応じますが、日に日に喪失感が増すのか、夜になると一人で泣いている。それなのに国葬事務局から次々と連絡が来て協力を求められるため、疲れ果てています。母・洋子さんも精神的なショックが大きく、病院通いが続いています。体調次第では国葬に出られないかもしれません」(安倍家を知る関係者)この「酷葬」で得をするのは誰なのか。「週刊現代」2022年9月24・10月1日号より
安く試算されているのは警備費だけではない。要人をもてなすための「接遇費」も、何倍にも膨らむ可能性がある。
「岸田総理は約6億円と発表しましたが、明らかに安すぎます。来年5月に広島で開かれるG7サミットでは、接遇費などとして外務省が199億円を概算要求しています。サミットは3日間ですが、国葬では3分の1より多少減って50億円程度かかってもおかしくない。実際、今上天皇の『即位の礼』の際も『饗宴の儀』の費用と別に、外国賓客等滞在関係経費として50億円を計上した例もあります」(野党ベテラン議員)
外務省に問い合わせたところ「旅費、宿泊費は先方負担です」という回答があったが、それ以外は外交儀礼上日本側が出すのが普通だ。岸田総理は30ヵ国以上の首脳級と会談を行う見通しを示しており、それ相応の費用がかかってくる。
ちなみに外務省大臣官房報道課からの回答PDFのファイル名は、『小学館「週刊現在」取材……』となっていた。本誌は講談社が発行している。国葬関連の対応で、担当者は相当疲弊しているようだ。
photo by gettyimages
また国の経費には含まれないが、首都高の一部通行止めによる経済損失や、地方自治体の長が参加するための旅費なども、回りまわって国民の負担になることも忘れてはいけない。さて、ここまでの試算をまとめると、式自体にかかる2億5000万円に、警備費約35億円、接遇費約50億円が加わる可能性がある。トータルは16億6000万円どころか、約90億円に膨れ上がってもおかしくない。「今回の国葬は令和4年度の一般会計の予備費『4000億円』の中から捻出されることになります。国葬が終わってから足りなかった額は、この予備費から補填される。総額いくらかかったかは、早くても’24年の1月にならないと出てこない。その頃には国民も国葬のことなんて忘れている。岸田政権はそこを狙っているのでしょう」(別の野党ベテラン議員)水だけで5時間の長丁場9月27日午後12時、VIPを除く参加者たちは議員会館に集合し、100台以上の大型バスで武道館に向かう。式の開始は14時、儀仗隊が安倍元総理の遺骨を出迎え、105ミリ榴弾砲による19発の空砲が東京の空に響き渡る。松野博一官房長官による「開式の辞」の後、「国歌演奏」、「黙とう」と続き「生前のお姿の映写」が行われる。「追悼の辞」で挨拶するのは、岸田総理、衆参両院の議長、最高裁判所長官、友人代表の菅義偉前総理だ。その後、海外の要人や参加者が順番に、7500本用意された白菊を献花していく。かろうじて給水所はあるものの、飲食物の持ち込みは禁止。長い人は献花終了の17時まで待たされるため、招待客の中で体調を崩す人が出てもおかしくない。多少の不備や不満は当然出るだろうが、当日さえ乗り切れれば問題ない……。岸田総理は今の段階では、こう思っているのかもしれない。 だが、その考えは甘すぎる。自民党議員たちからも、国葬についての異論が噴出し始めているからだ。石破茂元幹事長が語る。「国葬は粛々とやるべきだ。でも、決めるのは主権者たる国民であるはず。国民の半数以上が反対する中で国葬をやるような状況にしてはいけない」他にも複数の自民党議員から「こんなに反対されるなら、国葬にこだわらなくてもよかった」「中曽根(康弘)元総理のように内閣・自民党合同葬なら2億円程度の費用で済んだのに」といった声があった。なかには周囲の人に聞かれないよう小声で、「これじゃ大失敗だよ。岸田さんはやっぱりダメだな」と漏らす議員も。静岡、沖縄、長野県知事など、不参加を表明する地方自治体の長も続出している。一人で泣く昭恵さん「検討だけして何もしない」ことを続けてきた岸田総理には珍しく、「安倍国葬」は自らの決断だったとされる。実際、総理自身は周囲の議員や記者に「俺が決めた」と漏らしてきた。しかしこれすら、若干のウソを含んでいる。岸田派中堅議員が明かす。「岸田さん自身は最初から、国葬なんてこだわっていなかった。(官房副長官の)木原(誠二)さんなどが『保守派の離反を防ぐためには国葬が必要だ』と言って、実現に動いたんです。さらに麻生(太郎)さんから『国葬だ。理屈じゃねえんだ』とクギを刺されたことで、岸田さんは決断せざるをえなくなった」本当は乗り気ではなかったのに「国葬をやる」と決めたばかりに、岸田総理は次々に問題に直面することになってしまった。加えて安倍元総理の事件の背景にあった「旧統一教会問題」が紛糾したことで潮目が変わった。自民党政治が長年隠してきた「大きなウソ」が暴かれることで政権は防戦一方になり、党内では「岸田おろし」に発展する可能性すら出ている。 こうした状況の中で、「もらい事故」を食らったのが未亡人・昭恵さんだ。SNSを中心に、「国葬を辞退すべき」という批判が吹き荒れている。「昭恵さんはスマホを触らず、ネットを見ないようにしています。昼間は弔問などに応じますが、日に日に喪失感が増すのか、夜になると一人で泣いている。それなのに国葬事務局から次々と連絡が来て協力を求められるため、疲れ果てています。母・洋子さんも精神的なショックが大きく、病院通いが続いています。体調次第では国葬に出られないかもしれません」(安倍家を知る関係者)この「酷葬」で得をするのは誰なのか。「週刊現代」2022年9月24・10月1日号より
また国の経費には含まれないが、首都高の一部通行止めによる経済損失や、地方自治体の長が参加するための旅費なども、回りまわって国民の負担になることも忘れてはいけない。
さて、ここまでの試算をまとめると、式自体にかかる2億5000万円に、警備費約35億円、接遇費約50億円が加わる可能性がある。トータルは16億6000万円どころか、約90億円に膨れ上がってもおかしくない。
「今回の国葬は令和4年度の一般会計の予備費『4000億円』の中から捻出されることになります。国葬が終わってから足りなかった額は、この予備費から補填される。
総額いくらかかったかは、早くても’24年の1月にならないと出てこない。その頃には国民も国葬のことなんて忘れている。岸田政権はそこを狙っているのでしょう」(別の野党ベテラン議員)
9月27日午後12時、VIPを除く参加者たちは議員会館に集合し、100台以上の大型バスで武道館に向かう。式の開始は14時、儀仗隊が安倍元総理の遺骨を出迎え、105ミリ榴弾砲による19発の空砲が東京の空に響き渡る。
松野博一官房長官による「開式の辞」の後、「国歌演奏」、「黙とう」と続き「生前のお姿の映写」が行われる。「追悼の辞」で挨拶するのは、岸田総理、衆参両院の議長、最高裁判所長官、友人代表の菅義偉前総理だ。
その後、海外の要人や参加者が順番に、7500本用意された白菊を献花していく。かろうじて給水所はあるものの、飲食物の持ち込みは禁止。長い人は献花終了の17時まで待たされるため、招待客の中で体調を崩す人が出てもおかしくない。
多少の不備や不満は当然出るだろうが、当日さえ乗り切れれば問題ない……。岸田総理は今の段階では、こう思っているのかもしれない。
だが、その考えは甘すぎる。自民党議員たちからも、国葬についての異論が噴出し始めているからだ。石破茂元幹事長が語る。「国葬は粛々とやるべきだ。でも、決めるのは主権者たる国民であるはず。国民の半数以上が反対する中で国葬をやるような状況にしてはいけない」他にも複数の自民党議員から「こんなに反対されるなら、国葬にこだわらなくてもよかった」「中曽根(康弘)元総理のように内閣・自民党合同葬なら2億円程度の費用で済んだのに」といった声があった。なかには周囲の人に聞かれないよう小声で、「これじゃ大失敗だよ。岸田さんはやっぱりダメだな」と漏らす議員も。静岡、沖縄、長野県知事など、不参加を表明する地方自治体の長も続出している。一人で泣く昭恵さん「検討だけして何もしない」ことを続けてきた岸田総理には珍しく、「安倍国葬」は自らの決断だったとされる。実際、総理自身は周囲の議員や記者に「俺が決めた」と漏らしてきた。しかしこれすら、若干のウソを含んでいる。岸田派中堅議員が明かす。「岸田さん自身は最初から、国葬なんてこだわっていなかった。(官房副長官の)木原(誠二)さんなどが『保守派の離反を防ぐためには国葬が必要だ』と言って、実現に動いたんです。さらに麻生(太郎)さんから『国葬だ。理屈じゃねえんだ』とクギを刺されたことで、岸田さんは決断せざるをえなくなった」本当は乗り気ではなかったのに「国葬をやる」と決めたばかりに、岸田総理は次々に問題に直面することになってしまった。加えて安倍元総理の事件の背景にあった「旧統一教会問題」が紛糾したことで潮目が変わった。自民党政治が長年隠してきた「大きなウソ」が暴かれることで政権は防戦一方になり、党内では「岸田おろし」に発展する可能性すら出ている。 こうした状況の中で、「もらい事故」を食らったのが未亡人・昭恵さんだ。SNSを中心に、「国葬を辞退すべき」という批判が吹き荒れている。「昭恵さんはスマホを触らず、ネットを見ないようにしています。昼間は弔問などに応じますが、日に日に喪失感が増すのか、夜になると一人で泣いている。それなのに国葬事務局から次々と連絡が来て協力を求められるため、疲れ果てています。母・洋子さんも精神的なショックが大きく、病院通いが続いています。体調次第では国葬に出られないかもしれません」(安倍家を知る関係者)この「酷葬」で得をするのは誰なのか。「週刊現代」2022年9月24・10月1日号より
だが、その考えは甘すぎる。自民党議員たちからも、国葬についての異論が噴出し始めているからだ。石破茂元幹事長が語る。
「国葬は粛々とやるべきだ。でも、決めるのは主権者たる国民であるはず。国民の半数以上が反対する中で国葬をやるような状況にしてはいけない」
他にも複数の自民党議員から「こんなに反対されるなら、国葬にこだわらなくてもよかった」「中曽根(康弘)元総理のように内閣・自民党合同葬なら2億円程度の費用で済んだのに」といった声があった。なかには周囲の人に聞かれないよう小声で、「これじゃ大失敗だよ。岸田さんはやっぱりダメだな」と漏らす議員も。静岡、沖縄、長野県知事など、不参加を表明する地方自治体の長も続出している。
「検討だけして何もしない」ことを続けてきた岸田総理には珍しく、「安倍国葬」は自らの決断だったとされる。実際、総理自身は周囲の議員や記者に「俺が決めた」と漏らしてきた。
しかしこれすら、若干のウソを含んでいる。岸田派中堅議員が明かす。
「岸田さん自身は最初から、国葬なんてこだわっていなかった。(官房副長官の)木原(誠二)さんなどが『保守派の離反を防ぐためには国葬が必要だ』と言って、実現に動いたんです。さらに麻生(太郎)さんから『国葬だ。理屈じゃねえんだ』とクギを刺されたことで、岸田さんは決断せざるをえなくなった」
本当は乗り気ではなかったのに「国葬をやる」と決めたばかりに、岸田総理は次々に問題に直面することになってしまった。
加えて安倍元総理の事件の背景にあった「旧統一教会問題」が紛糾したことで潮目が変わった。自民党政治が長年隠してきた「大きなウソ」が暴かれることで政権は防戦一方になり、党内では「岸田おろし」に発展する可能性すら出ている。
こうした状況の中で、「もらい事故」を食らったのが未亡人・昭恵さんだ。SNSを中心に、「国葬を辞退すべき」という批判が吹き荒れている。「昭恵さんはスマホを触らず、ネットを見ないようにしています。昼間は弔問などに応じますが、日に日に喪失感が増すのか、夜になると一人で泣いている。それなのに国葬事務局から次々と連絡が来て協力を求められるため、疲れ果てています。母・洋子さんも精神的なショックが大きく、病院通いが続いています。体調次第では国葬に出られないかもしれません」(安倍家を知る関係者)この「酷葬」で得をするのは誰なのか。「週刊現代」2022年9月24・10月1日号より
こうした状況の中で、「もらい事故」を食らったのが未亡人・昭恵さんだ。SNSを中心に、「国葬を辞退すべき」という批判が吹き荒れている。
「昭恵さんはスマホを触らず、ネットを見ないようにしています。昼間は弔問などに応じますが、日に日に喪失感が増すのか、夜になると一人で泣いている。それなのに国葬事務局から次々と連絡が来て協力を求められるため、疲れ果てています。
母・洋子さんも精神的なショックが大きく、病院通いが続いています。体調次第では国葬に出られないかもしれません」(安倍家を知る関係者)
この「酷葬」で得をするのは誰なのか。
「週刊現代」2022年9月24・10月1日号より