埼玉県営公園での水着撮影会を巡る問題で、管理を受託している県公園緑地協会が9月以降のイベントから、プールのある全公園で撮影会の主催団体とルールを取り決めることがわかった。
18歳未満のモデルが過激な露出をすれば、県青少年健全育成条例に抵触する恐れもあるとして、開催条件に「18歳未満の出演の禁止」を加えることも検討する。
こうしたルールはこれまで、「しらこばと水上公園」(越谷市)でのみ、「過激な露出やポーズを禁止」などとしていた。新ルールは「川越水上公園」(川越市)や「加須はなさき水上公園」(加須市)にも適用する。
来年度には、水着撮影を許可する統一基準を盛り込んだ指針を導入する考えだ。秋にも専門家会議を開催し、内容を詰める。
元グラビアアイドルで、撮影会にも参加したことがあるという永井里菜・さいたま市議は取材に対し、「過激なポーズはスタッフがやめさせ、写真の削除を求める場合もある。関係者が一定のルールを守ることが重要だ」と話している。
■中止要請は過剰な介入
刑法が専門で青少年保護に詳しい園田寿・甲南大名誉教授に水着撮影会を巡る問題の受け止めを聞いた。(聞き手・伊賀幸太)
性の表現と青少年保護の観点が絡んだ複雑な問題だ。
撮影会には、刑法や児童買春・児童ポルノ禁止法違反は見当たらない。判例に従えば、性器などが見えない限り「わいせつ」ではない。学説上、18歳未満の水着は「衣服」と理解され、水着姿の写真自体は児童ポルノに該当しない。
つまり、犯罪とはいえない水着撮影会をどう規制するかがポイントとなる。
子どもの自己決定権は子どもの権利条約で認められている。出演を強要した場合などを除き、イベントに参加したいという個人の意思は尊重されるべきだ。中止要請は「過剰な介入」と言わざるを得ない。将来犯罪が起こるかもしれないという理由だけで、表現の自由を制約することはできない。不当な手段が見つかった時だけ中止にすればいい。
ルールも最低限のものだけを決め、抑制的なものとするべきだ。