40代からやってくる「老い」…運動機能の低下はごく小さなところから若々しく見える人の特徴として、アクティブに活動し、好きな場所に自分の足で移動できることが挙げられます。人間が立つ、歩く、作業するといった、体を動かす仕組みに関わるものを運動器と呼び、骨や関節、筋肉、神経などがこれに当たります。この運動器に不具合が生じたり、機能がだんだん衰えたりすると、立ったり歩いたりする移動のための能力が低下してしまい、将来的に介護が必要になるリスクが高まると考えられます。
このような運動機能の低下を「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」と呼び、最近では「ロコモ」や「フレイル(心と体の虚弱状態)」を予防する取り組みなどが盛んになりつつあります。ロコモを予防し、いつまでも自分の足で自由に移動できる生活を維持することは、健康寿命を伸ばすことにもつながります。
40代でもロコモ予備軍? 自分でできる簡単「ロコチェック」「アラフォーでロコモなんて関係ない」と考えている皆さんにぜひチェックしてもらいたいのが、日本整形外科学会が提唱している「ロコチェック」です。
日常生活の中で感じやすい、運動器にまつわる不具合についての7項目が挙げられています。年齢に関わらず、該当するものがないかチェックしてみましょう。 1. 片脚立ちで靴下がはけない2. 家の中でつまずいたり滑ったりする3. 階段を上るのに手すりが必要である4. 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1Lの牛乳パック2個程度)6. 15分くらい続けて歩けない7. 横断歩道を青信号で渡りきれない
※もともと足腰に不安があったり、痛みを抱えている方は無理に試して転んだりしないように注意しましょう。
6や7には該当しなくても、1や2にチェックが入ってしまったという人もいるのではないでしょうか? この中で1つでも当てはまるものがあれば、運動器の衰えがある「ロコモ予備群」であるとされています。
このロコチェックが「0」になることを目指して、立ったり歩いたりといった日常生活の活動量を増やしていきましょう。人間はある日突然老いるわけではありません。まだ無縁だと思っているうちから、ロコモ予防に役立つエクササイズもあわせて実践していくとさらに効果的です。
老いない体は40代から作る! ロコモ予防に効果的な簡単エクササイズ移動を支える運動機能を維持するためには下肢を中心としたエクササイズを積極的に行いましょう。
▼片脚立ちバランス能力の維持・向上に役立ちます。その場で片脚を軽く上げてその状態をキープするものですが、転倒しないように壁や、何かつかまるものがあるところで行いましょう。支えが必要な場合は机などに手や指をついて行うようにします。左右とも1分間で1セット、1日3セットを目安に行いましょう。
▼その場スクワット移動に必要な筋力をつけるために積極的に実践したいエクササイズです。足を肩幅に広げて立ち、お尻を後ろに引くようにしながら、2~3秒間かけてゆっくりと膝を曲げてしゃがみ込み、その後ゆっくり元の状態に戻ります。
股関節にものを挟むイメージ、和式トイレにしゃがみ込むイメージで行っていただくと正しい動作で行うことができます。ゆっくり5回ほど繰り返し、1日3セットを目安に行いましょう。スクワットがむずかしいと感じる方は椅子に腰かけ、机に手をついて立ち座りの動作を繰り返します。机に手をつかずにできる場合は手をかざして行います。
▼つま先立ち(かかと上げ)肩幅程度に足を広げて立ち、かかとを浮かせるようにしてつま先立ちになります。こちらも転倒を防ぐために壁や、何かつかまるものがあるところで行いましょう。ゆっくりと10回程度繰り返して行い、1日3セットを目安に行いましょう。
運動器は使えば鍛えられ、使わなければ衰えるという特性があります。若いうちからちょっとしたことを意識できるかが分かれ道です。日頃から下肢の筋力を鍛えるのは、見た目や気持ちの若さをキープするのにも役立ちます。上手に取り入れながら、将来のロコモリスクもしっかり下げていきましょう!
※参考:ロコチェック(日本整形外科学会ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト)