「1票の格差」が最大3・03倍だった7月の参院選は投票価値の平等を保障する憲法に反するとして、弁護士らが近畿2府4県の全6選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、大阪高裁(牧賢二裁判長)は14日、選挙区の区割りを「違憲状態」と判断した。無効請求は棄却した。判決は前回の選挙制度改革から約7年が経過しているとして、「格差の常態化も危惧され、制度の見直しが必要だった」と国会の対応を批判した。
解決法は議員定数増? 参院選で1票の格差の是正阻む各党の思惑 二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした同種訴訟で初めての判決。各地の判決が11月15日に出そろった後、最高裁が統一判断を示す。 議員1人あたりの有権者数は都市部が地方より多く、「1票の価値」は都市部で軽くなる傾向にある。7月の参院選は、当日有権者数が最も少なかった福井選挙区と最多の神奈川選挙区で3・03倍の差があった。 抜本的な選挙制度の見直しを掲げながら、格差是正の議論が停滞している国会の対応への評価が最大の争点。原告の弁護士らは「国会は改革に向けた具体策の議論を怠った」と指摘。投票の価値が不均衡の状態で当選した議員の活動に正統性はないと訴える。 被告の選挙管理委員会側は「都道府県を基本とした選挙区割りは各地の意見を効果的に国政に反映できる」と反論し、請求の棄却を求めていた。 参院選の1票の格差を巡っては、最高裁が5・00倍だった10年選挙と4・77倍だった13年選挙について、「違憲状態」との判断を立て続けに示した。 国会は15年の改正公職選挙法で、「鳥取・島根」「徳島・高知」を一つの選挙区にまとめる「合区」を導入。16年選挙は3・08倍まで縮めた。最高裁は改正法の付則に「19年選挙に向けて抜本的な見直しを続け、必ず結論を得る」と明記されたことも評価し、3選挙ぶりに合憲とした。 19年選挙は、埼玉選挙区の定数を「2増」としたことで最大格差がわずかに縮小。最高裁は再び合憲の判断を示す一方、「国会の格差是正の取り組みが大きな進展を見せているとはいえない」と対応を促した。しかし、国会は具体的な見直しを進めず、今回の参院選後に制度改革を先送りしていた。【山本康介】
二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした同種訴訟で初めての判決。各地の判決が11月15日に出そろった後、最高裁が統一判断を示す。
議員1人あたりの有権者数は都市部が地方より多く、「1票の価値」は都市部で軽くなる傾向にある。7月の参院選は、当日有権者数が最も少なかった福井選挙区と最多の神奈川選挙区で3・03倍の差があった。
抜本的な選挙制度の見直しを掲げながら、格差是正の議論が停滞している国会の対応への評価が最大の争点。原告の弁護士らは「国会は改革に向けた具体策の議論を怠った」と指摘。投票の価値が不均衡の状態で当選した議員の活動に正統性はないと訴える。
被告の選挙管理委員会側は「都道府県を基本とした選挙区割りは各地の意見を効果的に国政に反映できる」と反論し、請求の棄却を求めていた。
参院選の1票の格差を巡っては、最高裁が5・00倍だった10年選挙と4・77倍だった13年選挙について、「違憲状態」との判断を立て続けに示した。
国会は15年の改正公職選挙法で、「鳥取・島根」「徳島・高知」を一つの選挙区にまとめる「合区」を導入。16年選挙は3・08倍まで縮めた。最高裁は改正法の付則に「19年選挙に向けて抜本的な見直しを続け、必ず結論を得る」と明記されたことも評価し、3選挙ぶりに合憲とした。
19年選挙は、埼玉選挙区の定数を「2増」としたことで最大格差がわずかに縮小。最高裁は再び合憲の判断を示す一方、「国会の格差是正の取り組みが大きな進展を見せているとはいえない」と対応を促した。しかし、国会は具体的な見直しを進めず、今回の参院選後に制度改革を先送りしていた。【山本康介】