女性に、睡眠作用のある薬を飲ませて、意識を失わせ、わいせつな行為・性的暴行をしたとされる元美容クリニック院長の男。被害者は部下の女性2人。男は、すでに3回逮捕されているが、その後の調べで、女性患者にも、同様の犯行を繰り返していたことが明らかになった。
美容整形外科医の竹沢章一容疑者(43)は、院長を務めていた東京・江戸川区の美容クリニックで、部下の女性2人に対する、準強制性交・準強制わいせつなどの疑いで逮捕されてきた。被害者は2人とも20代。食事もしくはカラオケの席で、睡眠作用のある薬物が入りの酒(もしくは料理)を飲まされ、意識を失った後、自宅に連れ込まれていた。
2人のうちの1人は、事件の翌日、まだ性的な被害に遭ったことに気づいていないうちに、「酔い覚ましの点滴を打とう」などと言われて連れ出され、クリニックの中で、睡眠薬のようなものを点滴された上で、再び、性的な暴行を受けていたされる。
上司と部下の関係にモノを言わせ、医師の知識をも悪用した犯行だったが、その後の調べで、部下だけではなく、患者の女性も、被害に遭っていたことが明らかになった。警視庁捜査一課は、13日、竹沢容疑者を、準強制わいせつと準強制性交の疑いで再逮捕。4回目の逮捕だ。
調べによると、竹沢容疑者は、去年12月3日午後と11日夜に、院長を務めていたクリニックの中で、手術後に、麻酔の影響により、動けない状態となっている20代の女性患者に対して、それぞれ、わいせつな行為・性的暴行に及んだとされる。
犯行現場は、2回ともクリニック内の処置室だった。この女性は、去年11月から、美容皮膚科の施術を受けていて、合わせて6回通院していたという。そのうちの2回の診療の際に、性的な被害を受けていたことになる。
このクリニックでは、麻酔を使用した後は、患者に異変がないかどうか、医師や看護師らが、交代で確認することになっていた。しかし、3日の犯行の際は、院内に看護師と事務員がいたにもかかわらず、竹沢容疑者の”悪行”には気づかなかったという。
一方、11日は、診察時間外の犯行だったため、現場には、竹沢容疑者と被害者の女性しかいなかった可能性がある。被害者の女性は、事情聴取に対して、「手術後に目を覚まして、一人で帰っていて、フラフラだった時もあった」と話しているという。女性自身も、被害に遭った自覚はなかったとのこと。
捜査一課は、これまで、竹沢容疑者のスマホやHDD、SSDなどを押収。10人以上の女性が、性的な被害を受けているとみられる動画が見つかっていた。これらの動画には、前述の部下の女性も映っていた。
さらに、クリニックに残されていたカルテや、動画の撮影日時などを照らし合わせるなどして、今回の逮捕容疑となった女性患者の被害を特定したという。これらの動画などから、捜査一課は、さらに10件以上の余罪があるとみて捜査している。
余罪の大半は、部下などではなく”患者”が被害者とみられ、いずれも、麻酔の影響で、知らないうちに、性的暴行を受けていた可能性がある。
調べに対して「間違いありません。当時は、付き合っていた彼女と別れたことで、精神状態がおかしくなり、このようなことをしました」と供述している竹沢容疑者。しかし、部下の女性に対する事件では、「女性に好意を持っていた」などと動機を語っていた。
卑劣な連続「デート・レイプ・ドラッグ」事件は、医師による女性患者への連続性暴力事件へと発展する見通しとなった。