佐賀県鳥栖市の民家敷地で2021年9月、面識のない79歳の女性をハンマーで殴って殺害したなどとして、殺人などの罪に問われた元長崎大生の山口鴻志(こうし)被告(26)の裁判員裁判の第2回公判が18日、佐賀地裁(岡崎忠之裁判長)であった。
山口被告は被告人質問で、「過去にも包丁で面識のない人を襲おうと考えた」と述べた。
検察側は、事件当時、長崎大の薬学部4年だった山口被告は単位不足から留年が確定的になるなどし、現実逃避のために重い罪を犯して刑務所に入ろうと考えたと主張。昨年9月10日に大塚千種(ちぐさ)さんの頭部をハンマーで複数回殴り、殺害したとしている。
この日の被告人質問で山口被告は、医学部を目指して浪人中だった頃、父親に勉強に身が入っていないととがめられたことに憤り、「台所から包丁を持ち出し、屋外で面識がない人を襲おうと計画した」と明かした。裁判長が「計画と言うが、紙に書いたり、行動したりしたのか」と問うと、「頭の中で考えた」と述べ、行動には移さなかったとした。
山口被告は「その時に、人を襲う思考回路が作られたかもしれない」と振り返った一方、「(大塚さんが)死ぬまで殴ろうとは思っていなかった」とも述べた。
この日の法廷には、被告の両親も出廷し、父親は被告に向け、「私とともに一生償っていくよう言いたい」と語った。