AUTOCAR JAPANが今年1月13日に報じた長野市内の自動車販売店「デュナミスレーシング」経営者による新車購入の巨額詐欺事件。
【画像】社長と顧客のやりとりや返金誓約書【巨額納車詐欺事件を取材】 全37枚首謀者とみられる小谷徹(おたにとおる)氏が10月26日、詐欺容疑で逮捕された。長野県の自動車販売店「デュナミスレーシング」の社長の小谷氏が詐欺容疑で逮捕された。デュナミスレーシングは通称「モーター屋」と呼ばれる地方に多いスタイルの自動車販売店である。

特定の自動車ブランドを販売する代理店ではなく、客から注文があり入金も完了した国産車、輸入車さまざまなクルマをディーラーの業販部門(特販部門の場合も)から仕入れて販売(納車)する。この「納車」の時点でお金を納めたのに納車されない、というのが主たるトラブルである。納車トラブルの被害者は100名以上ともいわれ、他の借金トラブルなどとあわせると被害者は300名以上とも。この事件は小谷氏がほぼ単独でおこなったと考えられている。筆者が把握しているだけで以下のトラブルが明らかになっている。1.新車購入でお金を全額おさめたのに納車されない。2.小谷氏にお金を貸した人びとに返済がおこなわれていない。3.従業員に賃金が払われていない。4.店舗や工場の家賃を滞納(店舗や工場の明け渡しと未払い賃料の支払い(計231万円)などについて訴訟がおこなわれ終結)5.車検や整備などの下請け業者やパーツ販売会社などに対して支払いがおこなわれていない。6.認証工場に義務付けられている「整備主任者講習」を受けさせていない。7.現金購入にもかかわらず、所有者名義がオーナー本人ではなく、ディーラーの名義だったり、デュナミスレーシングの名義だったり……。本記事では主に1.そしてクルマへの関わりが深い6.と7.についてこれまでの取材をもとに紹介していきたい。デュナミスレーシング経由で新車購入筆者が書いた記事を含めデュナミスレーシングに関する記事に寄せられる読者からのコメントには必ずと言っていいほど、「そんな怪しい店で買う方が悪い。新車はディーラーで買うべき」、「現金一括で払うなんてありえない。どうやってお金用意するの?」、「クルマも見ずに買う?それでだまされたって自業自得」被害者はデュナミスレーシングを経由して新車を購入するという方法をとっていた。 デュナミスレーシングこのようなコメントが寄せられる。誤解がかなり多いので、説明しておくがデュナミスレーシングからクルマを買うといっても、実際はディーラーから出荷された新車をデュナミスレーシングを通じて購入するスタイルである。つまり、中古車とは違って新車を見ずに買うことにとくに危険性はないだろう。また、デュナミスレーシングで納車されないトラブルを抱えている人のほとんどは「購入者の紹介」で買っている。同社では新車中古車の購入はもちろん、パーツ類の購入や車検や整備などで入庫したことがある人には、毎日のように小谷氏からお買い得車両を紹介する営業メールが届くシステムになっていた。紹介者には多くの場合謝礼(約2~9万円)も支払われていた。社長の小谷氏は1995年にデュナミスレーシングを立ち上げているが、その前、80年代は日産ディーラーのトップセールスだった。今回、被害者になっている人の中には、日産時代からの付き合いの人もいる、30年以上にわたって付き合いがあり、その間、何の問題もなくこれまで納車されており家族のクルマも含めて複数台のクルマを小谷氏から購入している人も少なくない。このような状況で小谷氏は長年の付き合いがあるお客さんたちの人生を変えるほど、ひどいことをしたのである。被害者には何の落ち度もない。購入代金は小谷氏や会社の借金返済に実際はディーラーに発注されていない例も多数あった。通常は、客から小谷氏の口座に入金されたお金は速やかに期日までにディーラーに入金され、入金を確認したディーラーは納車の準備に入る。過去には実際に納車はされていたが、小谷氏が行方をくらます直前は顧客が注文し、支払いをしたものの、デュナミスレーシングからディーラーへ注文すらされていなかったケースもそして、納車準備が完了したらディーラーからデュナミスレーシングにクルマを移動。客はデュナミスレーシングにてクルマを受け取る(いわゆる納車)、という流れになる。近年はほとんどが納車されておらず、筆者が調べた限り2021年は5台以下とみられる。たしかに新車の納期遅れはコロナ禍以降、現在も続いている。それをいいことに、小谷氏は「コロナで納車が遅れている」という理由で実際に掛かる納期よりもかなり長い間納車せず、逃げ回っていた。客としては新車購入資金として銀行や信用金庫などから現金を融資してもらってそれらを期日までにデュナミスレーシングに入金している。多い車種は300~500万円の価格帯が中心となるが、軽自動車もあれば、メルセデス・ベンツGクラスなどの高級車(しかも納期が本当に2~3年はかかる)もあった。そのお金はどこに流れたのか?可能性として大きいのは、たまりにたまった借金返済に充てられたということだ。また、あまりにも納車に時間かかかるため怒った購入者が強い態度で返金を迫り仕方なく返金した例もそこそこある。もちろん、返金を希望する人すべてに返金したわけではない。客から小谷氏に誓約書を書かせたり、ディーラーの店長とともにデュナミスレーシングに乗り込んで返金を迫ったり、強い態度で直談判した人にだけ渋々返金をしていた実態もある。別の客からの入金が即座に他の客への返金に回されたという流れもある。トラブル続出でディーラー「出禁」に長野県内のディーラーの中には過去に入金されないなどのトラブルが多発していたことから、デュナミスレーシングとの取引に慎重になっていた(出禁に近い)ディーラーもあった。そのため長野県在住の客からの注文に対して、埼玉や東京、新潟など県外のディーラーに発注していた例もあった。被害者と小谷氏とのやりとり。それに気づいて小谷氏に確認を迫った客もいたが、「長野は納車が遅いから東京のディーラーに発注した」と言われたという。ある日突然、遠方の見知らぬディーラーK店から電話がかかってきたSさんの場合、「お車の用意ができていますが……デュナミスレーシングからの入金がありません。名義もS様のお名前になっております。あとは、入金が確認されればすぐに納車できるのですが」という連絡だったという。Sさんは1年近くまえにデュナミスレーシングに対して車両購入代金を支払っており領収書もある。小谷氏はK店に発注していたようだが、実際には入金ができていなかった。結局、車検証の名義までSさんになっていたが、Sさんには納車されずに流れてしまったというわけだ。また、夜逃げが発覚する1か月前の2021年12月初旬に店を訪れたBさんは不思議な光景を目撃している。「小谷社長の留守に店舗に行ったら注文書が120件位あったのを記憶しています。壁に貼っていたり、デスク上にセットされていたり、一般客から見える位置にありました。おそらく、それらすべて1台もディーラーにオーダーされていなかったと思います」「認証工場」の行政処分を受けていた最後に6.と7.について書いておく。デュナミスレーシングは北陸信越運輸局から認証工場として承認を得ていた。現在、デュナミスレーシングの建物は解体されている。店舗の賃料なども未納になっているという。認証工場では車検のための点検整備や、特定整備をおこなうことができるようになるが、車検そのものは工場内ではできないので、多くは運輸支局に持ち込んで車検を通すことになる。デュナミスレーシングでは車検のための整備はもちろん、タイヤ交換など簡単な整備もほぼ外注されていたという。認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。
首謀者とみられる小谷徹(おたにとおる)氏が10月26日、詐欺容疑で逮捕された。
長野県の自動車販売店「デュナミスレーシング」の社長の小谷氏が詐欺容疑で逮捕された。
デュナミスレーシングは通称「モーター屋」と呼ばれる地方に多いスタイルの自動車販売店である。
特定の自動車ブランドを販売する代理店ではなく、客から注文があり入金も完了した国産車、輸入車さまざまなクルマをディーラーの業販部門(特販部門の場合も)から仕入れて販売(納車)する。
この「納車」の時点でお金を納めたのに納車されない、というのが主たるトラブルである。納車トラブルの被害者は100名以上ともいわれ、他の借金トラブルなどとあわせると被害者は300名以上とも。この事件は小谷氏がほぼ単独でおこなったと考えられている。筆者が把握しているだけで以下のトラブルが明らかになっている。1.新車購入でお金を全額おさめたのに納車されない。2.小谷氏にお金を貸した人びとに返済がおこなわれていない。3.従業員に賃金が払われていない。4.店舗や工場の家賃を滞納(店舗や工場の明け渡しと未払い賃料の支払い(計231万円)などについて訴訟がおこなわれ終結)5.車検や整備などの下請け業者やパーツ販売会社などに対して支払いがおこなわれていない。6.認証工場に義務付けられている「整備主任者講習」を受けさせていない。7.現金購入にもかかわらず、所有者名義がオーナー本人ではなく、ディーラーの名義だったり、デュナミスレーシングの名義だったり……。本記事では主に1.そしてクルマへの関わりが深い6.と7.についてこれまでの取材をもとに紹介していきたい。デュナミスレーシング経由で新車購入筆者が書いた記事を含めデュナミスレーシングに関する記事に寄せられる読者からのコメントには必ずと言っていいほど、「そんな怪しい店で買う方が悪い。新車はディーラーで買うべき」、「現金一括で払うなんてありえない。どうやってお金用意するの?」、「クルマも見ずに買う?それでだまされたって自業自得」被害者はデュナミスレーシングを経由して新車を購入するという方法をとっていた。 デュナミスレーシングこのようなコメントが寄せられる。誤解がかなり多いので、説明しておくがデュナミスレーシングからクルマを買うといっても、実際はディーラーから出荷された新車をデュナミスレーシングを通じて購入するスタイルである。つまり、中古車とは違って新車を見ずに買うことにとくに危険性はないだろう。また、デュナミスレーシングで納車されないトラブルを抱えている人のほとんどは「購入者の紹介」で買っている。同社では新車中古車の購入はもちろん、パーツ類の購入や車検や整備などで入庫したことがある人には、毎日のように小谷氏からお買い得車両を紹介する営業メールが届くシステムになっていた。紹介者には多くの場合謝礼(約2~9万円)も支払われていた。社長の小谷氏は1995年にデュナミスレーシングを立ち上げているが、その前、80年代は日産ディーラーのトップセールスだった。今回、被害者になっている人の中には、日産時代からの付き合いの人もいる、30年以上にわたって付き合いがあり、その間、何の問題もなくこれまで納車されており家族のクルマも含めて複数台のクルマを小谷氏から購入している人も少なくない。このような状況で小谷氏は長年の付き合いがあるお客さんたちの人生を変えるほど、ひどいことをしたのである。被害者には何の落ち度もない。購入代金は小谷氏や会社の借金返済に実際はディーラーに発注されていない例も多数あった。通常は、客から小谷氏の口座に入金されたお金は速やかに期日までにディーラーに入金され、入金を確認したディーラーは納車の準備に入る。過去には実際に納車はされていたが、小谷氏が行方をくらます直前は顧客が注文し、支払いをしたものの、デュナミスレーシングからディーラーへ注文すらされていなかったケースもそして、納車準備が完了したらディーラーからデュナミスレーシングにクルマを移動。客はデュナミスレーシングにてクルマを受け取る(いわゆる納車)、という流れになる。近年はほとんどが納車されておらず、筆者が調べた限り2021年は5台以下とみられる。たしかに新車の納期遅れはコロナ禍以降、現在も続いている。それをいいことに、小谷氏は「コロナで納車が遅れている」という理由で実際に掛かる納期よりもかなり長い間納車せず、逃げ回っていた。客としては新車購入資金として銀行や信用金庫などから現金を融資してもらってそれらを期日までにデュナミスレーシングに入金している。多い車種は300~500万円の価格帯が中心となるが、軽自動車もあれば、メルセデス・ベンツGクラスなどの高級車(しかも納期が本当に2~3年はかかる)もあった。そのお金はどこに流れたのか?可能性として大きいのは、たまりにたまった借金返済に充てられたということだ。また、あまりにも納車に時間かかかるため怒った購入者が強い態度で返金を迫り仕方なく返金した例もそこそこある。もちろん、返金を希望する人すべてに返金したわけではない。客から小谷氏に誓約書を書かせたり、ディーラーの店長とともにデュナミスレーシングに乗り込んで返金を迫ったり、強い態度で直談判した人にだけ渋々返金をしていた実態もある。別の客からの入金が即座に他の客への返金に回されたという流れもある。トラブル続出でディーラー「出禁」に長野県内のディーラーの中には過去に入金されないなどのトラブルが多発していたことから、デュナミスレーシングとの取引に慎重になっていた(出禁に近い)ディーラーもあった。そのため長野県在住の客からの注文に対して、埼玉や東京、新潟など県外のディーラーに発注していた例もあった。被害者と小谷氏とのやりとり。それに気づいて小谷氏に確認を迫った客もいたが、「長野は納車が遅いから東京のディーラーに発注した」と言われたという。ある日突然、遠方の見知らぬディーラーK店から電話がかかってきたSさんの場合、「お車の用意ができていますが……デュナミスレーシングからの入金がありません。名義もS様のお名前になっております。あとは、入金が確認されればすぐに納車できるのですが」という連絡だったという。Sさんは1年近くまえにデュナミスレーシングに対して車両購入代金を支払っており領収書もある。小谷氏はK店に発注していたようだが、実際には入金ができていなかった。結局、車検証の名義までSさんになっていたが、Sさんには納車されずに流れてしまったというわけだ。また、夜逃げが発覚する1か月前の2021年12月初旬に店を訪れたBさんは不思議な光景を目撃している。「小谷社長の留守に店舗に行ったら注文書が120件位あったのを記憶しています。壁に貼っていたり、デスク上にセットされていたり、一般客から見える位置にありました。おそらく、それらすべて1台もディーラーにオーダーされていなかったと思います」「認証工場」の行政処分を受けていた最後に6.と7.について書いておく。デュナミスレーシングは北陸信越運輸局から認証工場として承認を得ていた。現在、デュナミスレーシングの建物は解体されている。店舗の賃料なども未納になっているという。認証工場では車検のための点検整備や、特定整備をおこなうことができるようになるが、車検そのものは工場内ではできないので、多くは運輸支局に持ち込んで車検を通すことになる。デュナミスレーシングでは車検のための整備はもちろん、タイヤ交換など簡単な整備もほぼ外注されていたという。認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。
この「納車」の時点でお金を納めたのに納車されない、というのが主たるトラブルである。
納車トラブルの被害者は100名以上ともいわれ、他の借金トラブルなどとあわせると被害者は300名以上とも。
この事件は小谷氏がほぼ単独でおこなったと考えられている。
筆者が把握しているだけで以下のトラブルが明らかになっている。1.新車購入でお金を全額おさめたのに納車されない。2.小谷氏にお金を貸した人びとに返済がおこなわれていない。3.従業員に賃金が払われていない。4.店舗や工場の家賃を滞納(店舗や工場の明け渡しと未払い賃料の支払い(計231万円)などについて訴訟がおこなわれ終結)5.車検や整備などの下請け業者やパーツ販売会社などに対して支払いがおこなわれていない。6.認証工場に義務付けられている「整備主任者講習」を受けさせていない。7.現金購入にもかかわらず、所有者名義がオーナー本人ではなく、ディーラーの名義だったり、デュナミスレーシングの名義だったり……。
本記事では主に1.そしてクルマへの関わりが深い6.と7.についてこれまでの取材をもとに紹介していきたい。
筆者が書いた記事を含めデュナミスレーシングに関する記事に寄せられる読者からのコメントには必ずと言っていいほど、
「そんな怪しい店で買う方が悪い。新車はディーラーで買うべき」、「現金一括で払うなんてありえない。どうやってお金用意するの?」、「クルマも見ずに買う?それでだまされたって自業自得」
被害者はデュナミスレーシングを経由して新車を購入するという方法をとっていた。 デュナミスレーシング
このようなコメントが寄せられる。
誤解がかなり多いので、説明しておくがデュナミスレーシングからクルマを買うといっても、実際はディーラーから出荷された新車をデュナミスレーシングを通じて購入するスタイルである。
つまり、中古車とは違って新車を見ずに買うことにとくに危険性はないだろう。また、デュナミスレーシングで納車されないトラブルを抱えている人のほとんどは「購入者の紹介」で買っている。同社では新車中古車の購入はもちろん、パーツ類の購入や車検や整備などで入庫したことがある人には、毎日のように小谷氏からお買い得車両を紹介する営業メールが届くシステムになっていた。紹介者には多くの場合謝礼(約2~9万円)も支払われていた。社長の小谷氏は1995年にデュナミスレーシングを立ち上げているが、その前、80年代は日産ディーラーのトップセールスだった。今回、被害者になっている人の中には、日産時代からの付き合いの人もいる、30年以上にわたって付き合いがあり、その間、何の問題もなくこれまで納車されており家族のクルマも含めて複数台のクルマを小谷氏から購入している人も少なくない。このような状況で小谷氏は長年の付き合いがあるお客さんたちの人生を変えるほど、ひどいことをしたのである。被害者には何の落ち度もない。購入代金は小谷氏や会社の借金返済に実際はディーラーに発注されていない例も多数あった。通常は、客から小谷氏の口座に入金されたお金は速やかに期日までにディーラーに入金され、入金を確認したディーラーは納車の準備に入る。過去には実際に納車はされていたが、小谷氏が行方をくらます直前は顧客が注文し、支払いをしたものの、デュナミスレーシングからディーラーへ注文すらされていなかったケースもそして、納車準備が完了したらディーラーからデュナミスレーシングにクルマを移動。客はデュナミスレーシングにてクルマを受け取る(いわゆる納車)、という流れになる。近年はほとんどが納車されておらず、筆者が調べた限り2021年は5台以下とみられる。たしかに新車の納期遅れはコロナ禍以降、現在も続いている。それをいいことに、小谷氏は「コロナで納車が遅れている」という理由で実際に掛かる納期よりもかなり長い間納車せず、逃げ回っていた。客としては新車購入資金として銀行や信用金庫などから現金を融資してもらってそれらを期日までにデュナミスレーシングに入金している。多い車種は300~500万円の価格帯が中心となるが、軽自動車もあれば、メルセデス・ベンツGクラスなどの高級車(しかも納期が本当に2~3年はかかる)もあった。そのお金はどこに流れたのか?可能性として大きいのは、たまりにたまった借金返済に充てられたということだ。また、あまりにも納車に時間かかかるため怒った購入者が強い態度で返金を迫り仕方なく返金した例もそこそこある。もちろん、返金を希望する人すべてに返金したわけではない。客から小谷氏に誓約書を書かせたり、ディーラーの店長とともにデュナミスレーシングに乗り込んで返金を迫ったり、強い態度で直談判した人にだけ渋々返金をしていた実態もある。別の客からの入金が即座に他の客への返金に回されたという流れもある。トラブル続出でディーラー「出禁」に長野県内のディーラーの中には過去に入金されないなどのトラブルが多発していたことから、デュナミスレーシングとの取引に慎重になっていた(出禁に近い)ディーラーもあった。そのため長野県在住の客からの注文に対して、埼玉や東京、新潟など県外のディーラーに発注していた例もあった。被害者と小谷氏とのやりとり。それに気づいて小谷氏に確認を迫った客もいたが、「長野は納車が遅いから東京のディーラーに発注した」と言われたという。ある日突然、遠方の見知らぬディーラーK店から電話がかかってきたSさんの場合、「お車の用意ができていますが……デュナミスレーシングからの入金がありません。名義もS様のお名前になっております。あとは、入金が確認されればすぐに納車できるのですが」という連絡だったという。Sさんは1年近くまえにデュナミスレーシングに対して車両購入代金を支払っており領収書もある。小谷氏はK店に発注していたようだが、実際には入金ができていなかった。結局、車検証の名義までSさんになっていたが、Sさんには納車されずに流れてしまったというわけだ。また、夜逃げが発覚する1か月前の2021年12月初旬に店を訪れたBさんは不思議な光景を目撃している。「小谷社長の留守に店舗に行ったら注文書が120件位あったのを記憶しています。壁に貼っていたり、デスク上にセットされていたり、一般客から見える位置にありました。おそらく、それらすべて1台もディーラーにオーダーされていなかったと思います」「認証工場」の行政処分を受けていた最後に6.と7.について書いておく。デュナミスレーシングは北陸信越運輸局から認証工場として承認を得ていた。現在、デュナミスレーシングの建物は解体されている。店舗の賃料なども未納になっているという。認証工場では車検のための点検整備や、特定整備をおこなうことができるようになるが、車検そのものは工場内ではできないので、多くは運輸支局に持ち込んで車検を通すことになる。デュナミスレーシングでは車検のための整備はもちろん、タイヤ交換など簡単な整備もほぼ外注されていたという。認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。
つまり、中古車とは違って新車を見ずに買うことにとくに危険性はないだろう。
また、デュナミスレーシングで納車されないトラブルを抱えている人のほとんどは「購入者の紹介」で買っている。
同社では新車中古車の購入はもちろん、パーツ類の購入や車検や整備などで入庫したことがある人には、毎日のように小谷氏からお買い得車両を紹介する営業メールが届くシステムになっていた。
紹介者には多くの場合謝礼(約2~9万円)も支払われていた。
社長の小谷氏は1995年にデュナミスレーシングを立ち上げているが、その前、80年代は日産ディーラーのトップセールスだった。
今回、被害者になっている人の中には、日産時代からの付き合いの人もいる、
30年以上にわたって付き合いがあり、その間、何の問題もなくこれまで納車されており家族のクルマも含めて複数台のクルマを小谷氏から購入している人も少なくない。
このような状況で小谷氏は長年の付き合いがあるお客さんたちの人生を変えるほど、ひどいことをしたのである。被害者には何の落ち度もない。
購入代金は小谷氏や会社の借金返済に実際はディーラーに発注されていない例も多数あった。通常は、客から小谷氏の口座に入金されたお金は速やかに期日までにディーラーに入金され、入金を確認したディーラーは納車の準備に入る。過去には実際に納車はされていたが、小谷氏が行方をくらます直前は顧客が注文し、支払いをしたものの、デュナミスレーシングからディーラーへ注文すらされていなかったケースもそして、納車準備が完了したらディーラーからデュナミスレーシングにクルマを移動。客はデュナミスレーシングにてクルマを受け取る(いわゆる納車)、という流れになる。近年はほとんどが納車されておらず、筆者が調べた限り2021年は5台以下とみられる。たしかに新車の納期遅れはコロナ禍以降、現在も続いている。それをいいことに、小谷氏は「コロナで納車が遅れている」という理由で実際に掛かる納期よりもかなり長い間納車せず、逃げ回っていた。客としては新車購入資金として銀行や信用金庫などから現金を融資してもらってそれらを期日までにデュナミスレーシングに入金している。多い車種は300~500万円の価格帯が中心となるが、軽自動車もあれば、メルセデス・ベンツGクラスなどの高級車(しかも納期が本当に2~3年はかかる)もあった。そのお金はどこに流れたのか?可能性として大きいのは、たまりにたまった借金返済に充てられたということだ。また、あまりにも納車に時間かかかるため怒った購入者が強い態度で返金を迫り仕方なく返金した例もそこそこある。もちろん、返金を希望する人すべてに返金したわけではない。客から小谷氏に誓約書を書かせたり、ディーラーの店長とともにデュナミスレーシングに乗り込んで返金を迫ったり、強い態度で直談判した人にだけ渋々返金をしていた実態もある。別の客からの入金が即座に他の客への返金に回されたという流れもある。トラブル続出でディーラー「出禁」に長野県内のディーラーの中には過去に入金されないなどのトラブルが多発していたことから、デュナミスレーシングとの取引に慎重になっていた(出禁に近い)ディーラーもあった。そのため長野県在住の客からの注文に対して、埼玉や東京、新潟など県外のディーラーに発注していた例もあった。被害者と小谷氏とのやりとり。それに気づいて小谷氏に確認を迫った客もいたが、「長野は納車が遅いから東京のディーラーに発注した」と言われたという。ある日突然、遠方の見知らぬディーラーK店から電話がかかってきたSさんの場合、「お車の用意ができていますが……デュナミスレーシングからの入金がありません。名義もS様のお名前になっております。あとは、入金が確認されればすぐに納車できるのですが」という連絡だったという。Sさんは1年近くまえにデュナミスレーシングに対して車両購入代金を支払っており領収書もある。小谷氏はK店に発注していたようだが、実際には入金ができていなかった。結局、車検証の名義までSさんになっていたが、Sさんには納車されずに流れてしまったというわけだ。また、夜逃げが発覚する1か月前の2021年12月初旬に店を訪れたBさんは不思議な光景を目撃している。「小谷社長の留守に店舗に行ったら注文書が120件位あったのを記憶しています。壁に貼っていたり、デスク上にセットされていたり、一般客から見える位置にありました。おそらく、それらすべて1台もディーラーにオーダーされていなかったと思います」「認証工場」の行政処分を受けていた最後に6.と7.について書いておく。デュナミスレーシングは北陸信越運輸局から認証工場として承認を得ていた。現在、デュナミスレーシングの建物は解体されている。店舗の賃料なども未納になっているという。認証工場では車検のための点検整備や、特定整備をおこなうことができるようになるが、車検そのものは工場内ではできないので、多くは運輸支局に持ち込んで車検を通すことになる。デュナミスレーシングでは車検のための整備はもちろん、タイヤ交換など簡単な整備もほぼ外注されていたという。認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。
実際はディーラーに発注されていない例も多数あった。
通常は、客から小谷氏の口座に入金されたお金は速やかに期日までにディーラーに入金され、入金を確認したディーラーは納車の準備に入る。
過去には実際に納車はされていたが、小谷氏が行方をくらます直前は顧客が注文し、支払いをしたものの、デュナミスレーシングからディーラーへ注文すらされていなかったケースも
そして、納車準備が完了したらディーラーからデュナミスレーシングにクルマを移動。
客はデュナミスレーシングにてクルマを受け取る(いわゆる納車)、という流れになる。
近年はほとんどが納車されておらず、筆者が調べた限り2021年は5台以下とみられる。たしかに新車の納期遅れはコロナ禍以降、現在も続いている。それをいいことに、小谷氏は「コロナで納車が遅れている」という理由で実際に掛かる納期よりもかなり長い間納車せず、逃げ回っていた。客としては新車購入資金として銀行や信用金庫などから現金を融資してもらってそれらを期日までにデュナミスレーシングに入金している。多い車種は300~500万円の価格帯が中心となるが、軽自動車もあれば、メルセデス・ベンツGクラスなどの高級車(しかも納期が本当に2~3年はかかる)もあった。そのお金はどこに流れたのか?可能性として大きいのは、たまりにたまった借金返済に充てられたということだ。また、あまりにも納車に時間かかかるため怒った購入者が強い態度で返金を迫り仕方なく返金した例もそこそこある。もちろん、返金を希望する人すべてに返金したわけではない。客から小谷氏に誓約書を書かせたり、ディーラーの店長とともにデュナミスレーシングに乗り込んで返金を迫ったり、強い態度で直談判した人にだけ渋々返金をしていた実態もある。別の客からの入金が即座に他の客への返金に回されたという流れもある。トラブル続出でディーラー「出禁」に長野県内のディーラーの中には過去に入金されないなどのトラブルが多発していたことから、デュナミスレーシングとの取引に慎重になっていた(出禁に近い)ディーラーもあった。そのため長野県在住の客からの注文に対して、埼玉や東京、新潟など県外のディーラーに発注していた例もあった。被害者と小谷氏とのやりとり。それに気づいて小谷氏に確認を迫った客もいたが、「長野は納車が遅いから東京のディーラーに発注した」と言われたという。ある日突然、遠方の見知らぬディーラーK店から電話がかかってきたSさんの場合、「お車の用意ができていますが……デュナミスレーシングからの入金がありません。名義もS様のお名前になっております。あとは、入金が確認されればすぐに納車できるのですが」という連絡だったという。Sさんは1年近くまえにデュナミスレーシングに対して車両購入代金を支払っており領収書もある。小谷氏はK店に発注していたようだが、実際には入金ができていなかった。結局、車検証の名義までSさんになっていたが、Sさんには納車されずに流れてしまったというわけだ。また、夜逃げが発覚する1か月前の2021年12月初旬に店を訪れたBさんは不思議な光景を目撃している。「小谷社長の留守に店舗に行ったら注文書が120件位あったのを記憶しています。壁に貼っていたり、デスク上にセットされていたり、一般客から見える位置にありました。おそらく、それらすべて1台もディーラーにオーダーされていなかったと思います」「認証工場」の行政処分を受けていた最後に6.と7.について書いておく。デュナミスレーシングは北陸信越運輸局から認証工場として承認を得ていた。現在、デュナミスレーシングの建物は解体されている。店舗の賃料なども未納になっているという。認証工場では車検のための点検整備や、特定整備をおこなうことができるようになるが、車検そのものは工場内ではできないので、多くは運輸支局に持ち込んで車検を通すことになる。デュナミスレーシングでは車検のための整備はもちろん、タイヤ交換など簡単な整備もほぼ外注されていたという。認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。
近年はほとんどが納車されておらず、筆者が調べた限り2021年は5台以下とみられる。
たしかに新車の納期遅れはコロナ禍以降、現在も続いている。
それをいいことに、小谷氏は「コロナで納車が遅れている」という理由で実際に掛かる納期よりもかなり長い間納車せず、逃げ回っていた。
客としては新車購入資金として銀行や信用金庫などから現金を融資してもらってそれらを期日までにデュナミスレーシングに入金している。
多い車種は300~500万円の価格帯が中心となるが、軽自動車もあれば、メルセデス・ベンツGクラスなどの高級車(しかも納期が本当に2~3年はかかる)もあった。
そのお金はどこに流れたのか?
可能性として大きいのは、たまりにたまった借金返済に充てられたということだ。
また、あまりにも納車に時間かかかるため怒った購入者が強い態度で返金を迫り仕方なく返金した例もそこそこある。
もちろん、返金を希望する人すべてに返金したわけではない。
客から小谷氏に誓約書を書かせたり、ディーラーの店長とともにデュナミスレーシングに乗り込んで返金を迫ったり、強い態度で直談判した人にだけ渋々返金をしていた実態もある。
別の客からの入金が即座に他の客への返金に回されたという流れもある。
長野県内のディーラーの中には過去に入金されないなどのトラブルが多発していたことから、デュナミスレーシングとの取引に慎重になっていた(出禁に近い)ディーラーもあった。
そのため長野県在住の客からの注文に対して、埼玉や東京、新潟など県外のディーラーに発注していた例もあった。
被害者と小谷氏とのやりとり。
それに気づいて小谷氏に確認を迫った客もいたが、「長野は納車が遅いから東京のディーラーに発注した」と言われたという。
ある日突然、遠方の見知らぬディーラーK店から電話がかかってきたSさんの場合、「お車の用意ができていますが……デュナミスレーシングからの入金がありません。名義もS様のお名前になっております。あとは、入金が確認されればすぐに納車できるのですが」という連絡だったという。
Sさんは1年近くまえにデュナミスレーシングに対して車両購入代金を支払っており領収書もある。小谷氏はK店に発注していたようだが、実際には入金ができていなかった。結局、車検証の名義までSさんになっていたが、Sさんには納車されずに流れてしまったというわけだ。また、夜逃げが発覚する1か月前の2021年12月初旬に店を訪れたBさんは不思議な光景を目撃している。「小谷社長の留守に店舗に行ったら注文書が120件位あったのを記憶しています。壁に貼っていたり、デスク上にセットされていたり、一般客から見える位置にありました。おそらく、それらすべて1台もディーラーにオーダーされていなかったと思います」「認証工場」の行政処分を受けていた最後に6.と7.について書いておく。デュナミスレーシングは北陸信越運輸局から認証工場として承認を得ていた。現在、デュナミスレーシングの建物は解体されている。店舗の賃料なども未納になっているという。認証工場では車検のための点検整備や、特定整備をおこなうことができるようになるが、車検そのものは工場内ではできないので、多くは運輸支局に持ち込んで車検を通すことになる。デュナミスレーシングでは車検のための整備はもちろん、タイヤ交換など簡単な整備もほぼ外注されていたという。認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。
Sさんは1年近くまえにデュナミスレーシングに対して車両購入代金を支払っており領収書もある。
小谷氏はK店に発注していたようだが、実際には入金ができていなかった。
結局、車検証の名義までSさんになっていたが、Sさんには納車されずに流れてしまったというわけだ。
また、夜逃げが発覚する1か月前の2021年12月初旬に店を訪れたBさんは不思議な光景を目撃している。
「小谷社長の留守に店舗に行ったら注文書が120件位あったのを記憶しています。壁に貼っていたり、デスク上にセットされていたり、一般客から見える位置にありました。おそらく、それらすべて1台もディーラーにオーダーされていなかったと思います」
「認証工場」の行政処分を受けていた最後に6.と7.について書いておく。デュナミスレーシングは北陸信越運輸局から認証工場として承認を得ていた。現在、デュナミスレーシングの建物は解体されている。店舗の賃料なども未納になっているという。認証工場では車検のための点検整備や、特定整備をおこなうことができるようになるが、車検そのものは工場内ではできないので、多くは運輸支局に持ち込んで車検を通すことになる。デュナミスレーシングでは車検のための整備はもちろん、タイヤ交換など簡単な整備もほぼ外注されていたという。認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。
最後に6.と7.について書いておく。
デュナミスレーシングは北陸信越運輸局から認証工場として承認を得ていた。
現在、デュナミスレーシングの建物は解体されている。店舗の賃料なども未納になっているという。
認証工場では車検のための点検整備や、特定整備をおこなうことができるようになるが、車検そのものは工場内ではできないので、多くは運輸支局に持ち込んで車検を通すことになる。
デュナミスレーシングでは車検のための整備はもちろん、タイヤ交換など簡単な整備もほぼ外注されていたという。
認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。
認証工場が外注をしてもそのこと自体は特に問題ではない。
しかし、認証工場の要件の1つに、国家資格2級以上の整備士を整備主任者として登録する必要があるわけだが、登録されていたであろう整備士はそもそも10年くらい前に退職している。
そして事業者は整備主任者に対して年に1回の研修(法令研修+技術研修)を受けさせる義務がある。
この研修を受けさせないことは道路運送車両法に違反するため、今年8月と10月には北陸信越運輸局からデュナミスレーシングに対して20日間と35日間の事業停止命令が出されていた。
ちなみに、デュナミスレーシングでは8月のお盆明けから解体が始まっており、事業停止命令が出されたときにはすでに更地に近い状態となっていたわけだが……。
また、車検証の所有者名義も要注目の事実である。
通常、全額一括で現金購入すれば、使用者も所有者も名義は購入した人の名義になるが、デュナミスレーシングの場合はそうではなかった。
現金で購入したのに、名義が小谷氏の名前やディーラーの名前になっていた例も多々あり、事件発覚後に名義変更した例も多数ある。
10月27日付の現地新聞報道によると、小谷氏は詐欺容疑を否認しているという。
また、2020年12月に脳梗塞で倒れたあとは左半身にマヒが残っていて、杖無しでは歩けない状態であったという。
クルマはかろうじて運転できたという証言もあるが、その後、かなり症状が進んだのだろう。親族を頼って埼玉県内の老人ホームに入居していたとのこと。
そして警察から連行された場所も老人ホームだった。筆者の周囲では「小谷氏は体が不自由なので動き回る(逃げ回る)ことはできないだろう」という見方が強かったが、老人ホームに入居していたとは意外であった。
被害者はかなりの数にのぼりこれから捜査によってさまざまなことが明らかになるだろう。
新車購入のためにお金を工面して現金で一括支払ったのに納車されない被害者の方々が、心安らぐ日が1日も早く訪れることを切に願っている。