「かわいい我が子を少しでもいい大学に」そんな思いから、塾代や学費などを惜しげもなく払う親が増えている。しかし、「課金型教育」とも呼ばれる状況は、成果が出るどころか、むしろ「カネを使うほど成績が上がらない」という悲しい現実も生んでいる。週刊SPA!ではこうした親たちのリアルな教育事情を特集。教育費から、そのコスパを解き明かしていく!◆親の愛情か、それともエゴか? 課金型教育の競争が過熱中
親の教育熱は高まるばかり。それに伴い、塾代など教育にかける費用も増加傾向にある。文部科学省によれば、小中学生の学習費は’22年度、公立私立ともに過去最高になった。
最も象徴的なのが中学受験の激化だ。大手進学塾「栄光ゼミナール」の調べでは、’23年の1都3県の中学受験率は過去最高の22.9%を記録。推計6万7500人が受験に臨んだという。教育アドバイザーの鳥居りんこ氏が話す。
「中学受験は塾通いが必須といわれ、多くの親は小学3、4年生から子供を通わせて塾代はトータルで250万~300万円が相場になっています。幼稚園の時点から大手進学塾の枠を確保する家庭もありますし、なかには受験に不利といわれる早生まれを避け、出産時期から逆算して妊活する夫婦もいるほどです」
◆教育費は“青天井”の世界
それも我が子への愛ゆえだが、問題は教育費が“青天井”の世界だということだ。
「大学までオール私立なら2000万円以上かかるともいわれますが、塾代などはかけようと思えば、さらにかかる。成績が上がらなければ追加で家庭教師を頼む親もいます。
そして、私立入学後にはまた別の費用が発生する。もちろん、素晴らしい学習環境を得られる学校も多いですが、見境なくお金を払い続けるとどこまでも使ってしまう事実は知っておくべきです」
◆学校の学費以上に親の頭を悩ませる塾代
特に現代は「塾歴社会」ともいわれるだけに、学校の学費以上に塾代を考えなくてはいけない。受験指導専門家の西村創氏が解説する。
「塾代の計算が難しいのは、月謝以外のオプションが多いからです。入塾後には夏期講習や志望校別の対策講座など費用は“雪だるま式”に増えていきます。
しかもこれらのオプションは、入塾した時点では金額が不透明。親としては、なんとか偏差値を上げたい一心でお金を払いますが、金銭感覚や教育方針が明確でないと、ただ受験という“沼”にハマってしまうだけです」
◆結果的にコスパの悪い学歴になるケースも…
まさにマネーゲームの様相を呈する学歴獲得競争。しかし、ゲームと違いお金を払っても合格は保証されず、結果的にコスパの悪い学歴になることも。
子供の将来を思う親の負けられない闘いは続く。
【作家・教育アドバイザー・鳥居りんこ氏】2人の子供の中学受験を体験。『偏差値30からの中学受験合格記』は今なお受験親のバイブルと評されるなど著書も多数
【受験指導専門家・西村創氏】早稲田アカデミーなどで指導歴25年以上。現在はセミナー講演、書籍執筆、YouTubeなどで活動。著書も計11冊上梓している
取材・文/週刊SPA!編集部