ゴミ捨て場にゴミを捨てることすらできず製薬会社に勤めていた夫・太一さん(仮名・64歳)の定年に伴い、甲信越地方のある町に移住した佐伯恭子さん(仮名・57歳)。前編『57歳と64歳の夫婦が「地方移住」を試みて大後悔…!よそ者を締め出しにかかった「恐怖の自治会」のヤバすぎる実態』では移住先に終の棲家を構え、新生活をスタートさせることとなった経緯について説明した。友人のアドバイスをもとに自治会への加入を断ったのだが、これが新生活をスタートさせた佐伯さん夫婦に、思わぬトラブルを招くことになる。
「近くのゴミ置き場にゴミを捨てに行ったら、居合わせたご近所の方に『お宅はゴミを捨てられませんよ』と言われたんです。『ゴミ捨て場の管理は自治会がやってるから、自治会に入ってない人は使う権利がないんです』と。『じゃあ、どうすればいいんですか?』と聞いたら『役場に聞けばいいでしょ』とつっけんどんな言い方をされました。PHOTO:iStockそれで役場に聞いたら『そういうことでしたら、クリーンセンターに個人で持ち込むか、清掃業者と個人で契約してもらうしかないですね。ちなみにどちらも有料です』と言われました。『住民登録しているのにゴミ捨て場を使えないなんておかしいじゃないですか!』と抗議をしても『…自治会の方に交渉してみてください』の一点張りで話になりませんでした。」結局、佐伯さん夫婦は週に一度自分たちでクリーンセンターにゴミを持ち込む羽目になるのだが、非自治会員に対する制裁はこれだけではなかった。計画停電や断水の予告さえわからず「回覧板が回って来ないんです。隣家の奥さんが回覧板を持って歩いているのを見かけたので『うちの順番はいつですか?』と聞いたら『自治会に入ってない人の家には回りません』と冷たく言われました。『それも自治会なのか』とうんざりしましたね。」たかが回覧板と思うかも知れないが、これには自治体からの連絡事項や地域の情報などが詰まっており、生活していくうえで欠かせないものと言っても良い。「計画停電や計画断水の予告も知らないので、突然電気が止まったり水が出なくなって慌てたこともありますし、無料の健康診断や予防注射の実施もわかりません。コロナワクチンの集団接種の案内も届きませんでしたし、自治体から住民全員に配布されることになっていたマスクも我が家はもらえませんでした」 自治体のホームページにアクセスして得られる情報もあったようだが、あいにく佐伯さんは当時パソコンやスマホを持っておらず、自分たちが住んでいる町で何が起きているのかを知らないまま生活を続けていた。「誰も教えてくれないし、こちらから聞きたくても聞ける雰囲気じゃなかったですね」「自治会」に入らない=後ろ暗いと思われ恭子さんが近所にある個人経営のスーパーマーケットに買い物に行くこともあったが、従業員の対応は終始無言。声を発するのは会計時の「●●円です」だけだった。「その会計もちょっとおかしくて、レシートを見ると買ったもの以外に500円とか追加してるんです。『これは何ですか?』と聞いたら『駐車場代です』と言われて…。なんでも駐車場として使っている土地は自治会の共有地だから、自治会に入ってない人間はお金を払わないと使えないんだそうです。」「自治会に入っていない」というだけで冷遇され続けた佐伯さん夫婦は、挨拶をしても無視され、代わりに他の住民から「胡散臭いものでも見るような」視線を常に向けられていた。 「これ見よがしにヒソヒソ話をされるのはしょっちゅうで『得体が知れない』とか『怪しい』という単語が聞こえて来たこともあります。要するに自治会に入らないということは他人と交流する気がないという意味であり、そういう人間は後ろ暗いことがあるに違いない、という考えなんですよ」生活の不便さに加え、犯罪者のような扱いをされることに耐えきれなくなった佐伯さん夫婦は結局東京に戻ることになる。「今さら長男夫婦のところに世話になるわけに行かないし、新しい住居を探すお金ももったいないので、夫婦で住み込みで働ける場所を探し、今はある企業の社員寮の管理人をしています」3年足らずで手離すことになった元の自宅は地元の不動産会社に売却を依頼したが、新築同様にも関わらず、まったく売れる気配がない。「一度こっそり見に行ったんです。そうしたら庭が不法投棄のゴミで溢れたゴミ屋敷になっていました。不動産会社に文句を言っても埒があかず、それどころか『●●円でよければ自治体が買うと言ってますが…』と言われました。土地と建物合わせて、私たちが購入した値段の5分の1です。」 イジメのようなやり方で夫婦を追い出しただけではなく、財産まで搾取しようとしているとは開いた口がふさがらない。自治会に入らない人間を認めないというのは、一部の地方に根強く残る排他主義に他ならないが、それでは移住者との共存は望めず、地方創生は絵に描いた餅になってしまうだろう。
製薬会社に勤めていた夫・太一さん(仮名・64歳)の定年に伴い、甲信越地方のある町に移住した佐伯恭子さん(仮名・57歳)。
前編『57歳と64歳の夫婦が「地方移住」を試みて大後悔…!よそ者を締め出しにかかった「恐怖の自治会」のヤバすぎる実態』では移住先に終の棲家を構え、新生活をスタートさせることとなった経緯について説明した。
友人のアドバイスをもとに自治会への加入を断ったのだが、これが新生活をスタートさせた佐伯さん夫婦に、思わぬトラブルを招くことになる。
「近くのゴミ置き場にゴミを捨てに行ったら、居合わせたご近所の方に『お宅はゴミを捨てられませんよ』と言われたんです。『ゴミ捨て場の管理は自治会がやってるから、自治会に入ってない人は使う権利がないんです』と。『じゃあ、どうすればいいんですか?』と聞いたら『役場に聞けばいいでしょ』とつっけんどんな言い方をされました。PHOTO:iStockそれで役場に聞いたら『そういうことでしたら、クリーンセンターに個人で持ち込むか、清掃業者と個人で契約してもらうしかないですね。ちなみにどちらも有料です』と言われました。『住民登録しているのにゴミ捨て場を使えないなんておかしいじゃないですか!』と抗議をしても『…自治会の方に交渉してみてください』の一点張りで話になりませんでした。」結局、佐伯さん夫婦は週に一度自分たちでクリーンセンターにゴミを持ち込む羽目になるのだが、非自治会員に対する制裁はこれだけではなかった。計画停電や断水の予告さえわからず「回覧板が回って来ないんです。隣家の奥さんが回覧板を持って歩いているのを見かけたので『うちの順番はいつですか?』と聞いたら『自治会に入ってない人の家には回りません』と冷たく言われました。『それも自治会なのか』とうんざりしましたね。」たかが回覧板と思うかも知れないが、これには自治体からの連絡事項や地域の情報などが詰まっており、生活していくうえで欠かせないものと言っても良い。「計画停電や計画断水の予告も知らないので、突然電気が止まったり水が出なくなって慌てたこともありますし、無料の健康診断や予防注射の実施もわかりません。コロナワクチンの集団接種の案内も届きませんでしたし、自治体から住民全員に配布されることになっていたマスクも我が家はもらえませんでした」 自治体のホームページにアクセスして得られる情報もあったようだが、あいにく佐伯さんは当時パソコンやスマホを持っておらず、自分たちが住んでいる町で何が起きているのかを知らないまま生活を続けていた。「誰も教えてくれないし、こちらから聞きたくても聞ける雰囲気じゃなかったですね」「自治会」に入らない=後ろ暗いと思われ恭子さんが近所にある個人経営のスーパーマーケットに買い物に行くこともあったが、従業員の対応は終始無言。声を発するのは会計時の「●●円です」だけだった。「その会計もちょっとおかしくて、レシートを見ると買ったもの以外に500円とか追加してるんです。『これは何ですか?』と聞いたら『駐車場代です』と言われて…。なんでも駐車場として使っている土地は自治会の共有地だから、自治会に入ってない人間はお金を払わないと使えないんだそうです。」「自治会に入っていない」というだけで冷遇され続けた佐伯さん夫婦は、挨拶をしても無視され、代わりに他の住民から「胡散臭いものでも見るような」視線を常に向けられていた。 「これ見よがしにヒソヒソ話をされるのはしょっちゅうで『得体が知れない』とか『怪しい』という単語が聞こえて来たこともあります。要するに自治会に入らないということは他人と交流する気がないという意味であり、そういう人間は後ろ暗いことがあるに違いない、という考えなんですよ」生活の不便さに加え、犯罪者のような扱いをされることに耐えきれなくなった佐伯さん夫婦は結局東京に戻ることになる。「今さら長男夫婦のところに世話になるわけに行かないし、新しい住居を探すお金ももったいないので、夫婦で住み込みで働ける場所を探し、今はある企業の社員寮の管理人をしています」3年足らずで手離すことになった元の自宅は地元の不動産会社に売却を依頼したが、新築同様にも関わらず、まったく売れる気配がない。「一度こっそり見に行ったんです。そうしたら庭が不法投棄のゴミで溢れたゴミ屋敷になっていました。不動産会社に文句を言っても埒があかず、それどころか『●●円でよければ自治体が買うと言ってますが…』と言われました。土地と建物合わせて、私たちが購入した値段の5分の1です。」 イジメのようなやり方で夫婦を追い出しただけではなく、財産まで搾取しようとしているとは開いた口がふさがらない。自治会に入らない人間を認めないというのは、一部の地方に根強く残る排他主義に他ならないが、それでは移住者との共存は望めず、地方創生は絵に描いた餅になってしまうだろう。
「近くのゴミ置き場にゴミを捨てに行ったら、居合わせたご近所の方に『お宅はゴミを捨てられませんよ』と言われたんです。『ゴミ捨て場の管理は自治会がやってるから、自治会に入ってない人は使う権利がないんです』と。『じゃあ、どうすればいいんですか?』と聞いたら『役場に聞けばいいでしょ』とつっけんどんな言い方をされました。
PHOTO:iStock
それで役場に聞いたら『そういうことでしたら、クリーンセンターに個人で持ち込むか、清掃業者と個人で契約してもらうしかないですね。ちなみにどちらも有料です』と言われました。『住民登録しているのにゴミ捨て場を使えないなんておかしいじゃないですか!』と抗議をしても『…自治会の方に交渉してみてください』の一点張りで話になりませんでした。」
結局、佐伯さん夫婦は週に一度自分たちでクリーンセンターにゴミを持ち込む羽目になるのだが、非自治会員に対する制裁はこれだけではなかった。
「回覧板が回って来ないんです。隣家の奥さんが回覧板を持って歩いているのを見かけたので『うちの順番はいつですか?』と聞いたら『自治会に入ってない人の家には回りません』と冷たく言われました。『それも自治会なのか』とうんざりしましたね。」
たかが回覧板と思うかも知れないが、これには自治体からの連絡事項や地域の情報などが詰まっており、生活していくうえで欠かせないものと言っても良い。
「計画停電や計画断水の予告も知らないので、突然電気が止まったり水が出なくなって慌てたこともありますし、無料の健康診断や予防注射の実施もわかりません。コロナワクチンの集団接種の案内も届きませんでしたし、自治体から住民全員に配布されることになっていたマスクも我が家はもらえませんでした」
自治体のホームページにアクセスして得られる情報もあったようだが、あいにく佐伯さんは当時パソコンやスマホを持っておらず、自分たちが住んでいる町で何が起きているのかを知らないまま生活を続けていた。「誰も教えてくれないし、こちらから聞きたくても聞ける雰囲気じゃなかったですね」「自治会」に入らない=後ろ暗いと思われ恭子さんが近所にある個人経営のスーパーマーケットに買い物に行くこともあったが、従業員の対応は終始無言。声を発するのは会計時の「●●円です」だけだった。「その会計もちょっとおかしくて、レシートを見ると買ったもの以外に500円とか追加してるんです。『これは何ですか?』と聞いたら『駐車場代です』と言われて…。なんでも駐車場として使っている土地は自治会の共有地だから、自治会に入ってない人間はお金を払わないと使えないんだそうです。」「自治会に入っていない」というだけで冷遇され続けた佐伯さん夫婦は、挨拶をしても無視され、代わりに他の住民から「胡散臭いものでも見るような」視線を常に向けられていた。 「これ見よがしにヒソヒソ話をされるのはしょっちゅうで『得体が知れない』とか『怪しい』という単語が聞こえて来たこともあります。要するに自治会に入らないということは他人と交流する気がないという意味であり、そういう人間は後ろ暗いことがあるに違いない、という考えなんですよ」生活の不便さに加え、犯罪者のような扱いをされることに耐えきれなくなった佐伯さん夫婦は結局東京に戻ることになる。「今さら長男夫婦のところに世話になるわけに行かないし、新しい住居を探すお金ももったいないので、夫婦で住み込みで働ける場所を探し、今はある企業の社員寮の管理人をしています」3年足らずで手離すことになった元の自宅は地元の不動産会社に売却を依頼したが、新築同様にも関わらず、まったく売れる気配がない。「一度こっそり見に行ったんです。そうしたら庭が不法投棄のゴミで溢れたゴミ屋敷になっていました。不動産会社に文句を言っても埒があかず、それどころか『●●円でよければ自治体が買うと言ってますが…』と言われました。土地と建物合わせて、私たちが購入した値段の5分の1です。」 イジメのようなやり方で夫婦を追い出しただけではなく、財産まで搾取しようとしているとは開いた口がふさがらない。自治会に入らない人間を認めないというのは、一部の地方に根強く残る排他主義に他ならないが、それでは移住者との共存は望めず、地方創生は絵に描いた餅になってしまうだろう。
自治体のホームページにアクセスして得られる情報もあったようだが、あいにく佐伯さんは当時パソコンやスマホを持っておらず、自分たちが住んでいる町で何が起きているのかを知らないまま生活を続けていた。
「誰も教えてくれないし、こちらから聞きたくても聞ける雰囲気じゃなかったですね」
恭子さんが近所にある個人経営のスーパーマーケットに買い物に行くこともあったが、従業員の対応は終始無言。声を発するのは会計時の「●●円です」だけだった。
「その会計もちょっとおかしくて、レシートを見ると買ったもの以外に500円とか追加してるんです。『これは何ですか?』と聞いたら『駐車場代です』と言われて…。なんでも駐車場として使っている土地は自治会の共有地だから、自治会に入ってない人間はお金を払わないと使えないんだそうです。」
「自治会に入っていない」というだけで冷遇され続けた佐伯さん夫婦は、挨拶をしても無視され、代わりに他の住民から「胡散臭いものでも見るような」視線を常に向けられていた。
「これ見よがしにヒソヒソ話をされるのはしょっちゅうで『得体が知れない』とか『怪しい』という単語が聞こえて来たこともあります。要するに自治会に入らないということは他人と交流する気がないという意味であり、そういう人間は後ろ暗いことがあるに違いない、という考えなんですよ」生活の不便さに加え、犯罪者のような扱いをされることに耐えきれなくなった佐伯さん夫婦は結局東京に戻ることになる。「今さら長男夫婦のところに世話になるわけに行かないし、新しい住居を探すお金ももったいないので、夫婦で住み込みで働ける場所を探し、今はある企業の社員寮の管理人をしています」3年足らずで手離すことになった元の自宅は地元の不動産会社に売却を依頼したが、新築同様にも関わらず、まったく売れる気配がない。「一度こっそり見に行ったんです。そうしたら庭が不法投棄のゴミで溢れたゴミ屋敷になっていました。不動産会社に文句を言っても埒があかず、それどころか『●●円でよければ自治体が買うと言ってますが…』と言われました。土地と建物合わせて、私たちが購入した値段の5分の1です。」 イジメのようなやり方で夫婦を追い出しただけではなく、財産まで搾取しようとしているとは開いた口がふさがらない。自治会に入らない人間を認めないというのは、一部の地方に根強く残る排他主義に他ならないが、それでは移住者との共存は望めず、地方創生は絵に描いた餅になってしまうだろう。
「これ見よがしにヒソヒソ話をされるのはしょっちゅうで『得体が知れない』とか『怪しい』という単語が聞こえて来たこともあります。要するに自治会に入らないということは他人と交流する気がないという意味であり、そういう人間は後ろ暗いことがあるに違いない、という考えなんですよ」
生活の不便さに加え、犯罪者のような扱いをされることに耐えきれなくなった佐伯さん夫婦は結局東京に戻ることになる。
「今さら長男夫婦のところに世話になるわけに行かないし、新しい住居を探すお金ももったいないので、夫婦で住み込みで働ける場所を探し、今はある企業の社員寮の管理人をしています」
「一度こっそり見に行ったんです。そうしたら庭が不法投棄のゴミで溢れたゴミ屋敷になっていました。不動産会社に文句を言っても埒があかず、それどころか『●●円でよければ自治体が買うと言ってますが…』と言われました。土地と建物合わせて、私たちが購入した値段の5分の1です。」
イジメのようなやり方で夫婦を追い出しただけではなく、財産まで搾取しようとしているとは開いた口がふさがらない。自治会に入らない人間を認めないというのは、一部の地方に根強く残る排他主義に他ならないが、それでは移住者との共存は望めず、地方創生は絵に描いた餅になってしまうだろう。
イジメのようなやり方で夫婦を追い出しただけではなく、財産まで搾取しようとしているとは開いた口がふさがらない。
自治会に入らない人間を認めないというのは、一部の地方に根強く残る排他主義に他ならないが、それでは移住者との共存は望めず、地方創生は絵に描いた餅になってしまうだろう。