天皇陛下の「水問題」 国連事務総長が伝えた“感謝”

■共通の問題に取り組む“仲間” 身をのりだし歓待される 8月8日、天皇陛下は皇居の御所で国連のグテーレス事務総長と面会されました。グテーレス事務総長は、6日に広島でおこなわれた平和記念式典に初めて出席し、日本を発つ前に御所を訪問しました。 陛下は冒頭のあいさつで「今回、広島を訪問されたことに感謝します」と述べられ、事務総長は広島で青少年と対話したことに触れ、「彼らの平和に対する気持ちやグローバルな視点に印象づけられました」と感想を述べたということです。

水問題をライフワークとしている陛下は、国連の「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁をかつて8年間務められていて、事務総長からは「重要な貢献への感謝」が伝えられました。 ――このニュースをどのように受け止められましたか。 グテーレス事務総長が「水問題」について天皇陛下に「重要な貢献への感謝」を伝えたところに注目しました。 陛下はいつも水問題への関わりについて控え目に話されますが、国際社会から「感謝」を伝えられる取り組みなのだと改めて思いました。天皇陛下が国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁に就任されたのは15年前の2007(平成19)年11月です。 日本の皇族が国連の名誉総裁に就くのは初めてのことでした。陛下は国際会議での講演などを通して問題の重要性を発信し、関係者を励ましてきましたが、こうした取り組みが日本より海外で高く評価をされていたことを思い起こします。 陛下がグテーレス事務総長に会われるのは4度目でしたが、映像からは、陛下がぐっと身を乗り出して歓待されていることがわかります。共通の問題に取り組む“仲間”と言いますか、グテーレス事務総長に対する親近感が伝わってきます。“いいなあ”と思って映像を見ました。 ――日本の皇族が国連の名誉総裁につくのは、陛下が初めてということにとても驚きました。水問題は、「SDGs」が言われとても注目されている分野ですし、陛下の研究によって陛下と国連の近い距離感が生まれているんだなと感じました。「SDGs」とよく言われますけれど、その前から、陛下は静かにこの問題に取り組まれてきたということだと思います。【井上茂男(いのうえ・しげお)】 日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。
8月8日、天皇陛下は皇居の御所で国連のグテーレス事務総長と面会されました。グテーレス事務総長は、6日に広島でおこなわれた平和記念式典に初めて出席し、日本を発つ前に御所を訪問しました。
陛下は冒頭のあいさつで「今回、広島を訪問されたことに感謝します」と述べられ、事務総長は広島で青少年と対話したことに触れ、「彼らの平和に対する気持ちやグローバルな視点に印象づけられました」と感想を述べたということです。
水問題をライフワークとしている陛下は、国連の「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁をかつて8年間務められていて、事務総長からは「重要な貢献への感謝」が伝えられました。
――このニュースをどのように受け止められましたか。
グテーレス事務総長が「水問題」について天皇陛下に「重要な貢献への感謝」を伝えたところに注目しました。
陛下はいつも水問題への関わりについて控え目に話されますが、国際社会から「感謝」を伝えられる取り組みなのだと改めて思いました。天皇陛下が国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁に就任されたのは15年前の2007(平成19)年11月です。
日本の皇族が国連の名誉総裁に就くのは初めてのことでした。陛下は国際会議での講演などを通して問題の重要性を発信し、関係者を励ましてきましたが、こうした取り組みが日本より海外で高く評価をされていたことを思い起こします。
陛下がグテーレス事務総長に会われるのは4度目でしたが、映像からは、陛下がぐっと身を乗り出して歓待されていることがわかります。共通の問題に取り組む“仲間”と言いますか、グテーレス事務総長に対する親近感が伝わってきます。“いいなあ”と思って映像を見ました。
――日本の皇族が国連の名誉総裁につくのは、陛下が初めてということにとても驚きました。水問題は、「SDGs」が言われとても注目されている分野ですし、陛下の研究によって陛下と国連の近い距離感が生まれているんだなと感じました。
「SDGs」とよく言われますけれど、その前から、陛下は静かにこの問題に取り組まれてきたということだと思います。