政府は13日、新型コロナウイルス対策として導入した接触確認アプリ「COCOA(ココア)」のサービスを近く停止すると明らかにした。新型コロナが猛威をふるう中で、感染者との濃厚接触を知らせるアプリとして期待されたが、動作の不具合が発生。そこには技術的な問題もさることながら、政治家たちも障害になった可能性が指摘されている。さらに今回の決定については犲鸛螢譟璽広瓩鬚瓩阿觧從任泙埜え隠れして――。
河野太郎デジタル相は会見で、COCOAのサービス停止について、26日から全国一律で感染者の全数把握を簡略するため、「活用する前と前提が変わるので機能停止になる」と明らかにした。
停止時期については、今後、アプリを通じて利用に関するアンケートを実施し、「具体的なスケジュールが決まった段階で、アンインストールや停止のお知らせをする」と説明した。
COCOAの開発、運営費などに投じられた契約額は約13億円、ダウンロード数は約4055万件だったが、当初掲げた目標普及数は「人口の6割」。契約額に見合う活躍をしたかというと微妙だ。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「感染者本人が入力して通知する形ですが、正社員の人はともかく、バイトやパートの人は『クビになるんじゃないか』という心配があって申告しなかったり、アプリを入れても起動させないこともあった。それに、かかったことをすぐに知ったところで、症状が出てから病院が受け入れてくれるとか、どうやって重症化を防ぐかとかその先の話の方が重要。そうした発想がないのであまり意味がなかった」と指摘する。
COCOAを巡っては、接触の検知や通知ができないというトラブルが発生。不具合が5か月間放置されたこともあった。厚労省から約3億9000万円で開発業務を委託された企業が、業務を3社に再委託、さらにそこから再々委託も行われ責任があいまいになり、当時の平井卓也デジタル改革担当相から「あまり出来のいいアプリではなかった」「そもそも発注にも問題があったと言わざるを得ない」などと苦言を呈されるほどだった。
井上氏は「もともとはエンジニアの有志が『役立ててください』と提供したものです。本来、プログラムは走らせてみて、どんなトラブルが起きるかテストをするものですが、アプリをよく分かっていない役人が急いで作らせようとしたので、業務を受けた側からは『テストを十分にできない』という声も上がっていた」と話す。
COCOA導入を急いだ背景には、ある政治家の圧力があったともウワサされる。永田町関係者の話。
「安倍晋三元首相と西村康稔経産相ですよ。経済社会活動を優先したい安倍元首相と、当時コロナ対策担当相だった西村氏がそろって、コロナ対策の切り札としてCOCOAの導入を発表したので締め切りありきの開発になった」
さらに、今回停止を発表したのは西村氏と河野氏との犂愀賢瓩眷愀覆砲△蠅修Δ澄
「現在は同じ岸田内閣の閣僚として仕事をしている2人ですが、ともに政治的パフォーマンスが目立つタイプ。双方とも2009年に自民党総裁選に出馬しており、将来の首相候補としても名前が挙がります。河野氏は、西村氏が推進したCOCOAを止めることで、ライバルをけん制しているとの見方もあります」(同)
前出の井上氏はこう語る。
「みんながパニックになっている中で、政治家が『早くITを使ってやれ』とええ格好をし、役人もそれに乗っかるような形になってしまった。その点、台湾のオードリー・タンは優秀でした。マスクの在庫システムも彼が作ったわけではなく、議論の中で最初の一歩を示して任せた。その差は大きい」
どんな素晴らしいアイデア、システムがあっても、多くの人がしゃしゃり出てくる限り、同じことが繰り返されるのかもしれない。