岸田首相は19日、政治資金収支報告書の不適切な記載などが相次いで発覚した寺田総務相を更迭する方針を固めた。
自民党内からも、今年度第2次補正予算案の審議への影響を避けるため、早期に対応するべきだとの声が強まっており、交代は不可避だと判断したとみられる。20日にも、対応を協議する方針だ。
寺田氏は、自身の後援会の政治資金収支報告書で約3年にわたり故人が後援会の会計責任者となっていたことなどが判明し、野党が「政治資金規正法の所管閣僚として不適格だ」と辞任を求めている。今月半ばには、昨年の衆院選で地方議員らに違法に報酬を払ったとの疑惑も浮上した。
首相は19日、タイの首都バンコクでの内外記者会見で、寺田氏の進退について「(内閣の)課題に一つひとつ挑戦していくためにどうあるべきか、適切なタイミングで首相として判断していきたい」と述べた。
第2次補正予算案は21日の衆院本会議で審議入りする。政府は経済対策の財源を手当てする補正予算の成立を最優先課題に挙げている。自民の重鎮議員は19日、「寺田氏は疑惑について説明できていない」と語った。
首相は記者会見で、寺田氏を続投させるかどうかを問われ、「年末にかけて政権の全ての力を課題の一つひとつに集中したい。一方、各閣僚は説明責任は徹底的に果たしてもらわなければならない。この二つの観点から判断したい」と語った。
寺田氏は19日、地元の広島県呉市で開かれた自民関連の会合に出席した。出席者によると、寺田氏は「ご心配をおかけしているが、きっちり対応していく」と述べた。首相は19日深夜、東南アジア歴訪の日程を終えて帰国した。