酒と健康に関する著書で知られ、数多くの医師を取材している酒ジャーナリストの葉石かおり氏が、自分も大好きな酒を元気に飲み続けるためのコツを探ります。
「あー、二日酔い。サウナで酒抜いてくるわ」
酒飲みの間では、通常運転とも言えるこのやり取り。二日酔いを改善するためサウナに行く人の頭の中には、「サウナで汗をかく↓汗と一緒に体内に残った酒が出る↓二日酔いが治る」という公式がある。体感として、流れる汗がほのかに酒の香りがするような気がするし、実際、サウナ上がりはスッキリしている。そのため、「サウナは酒飲みのパドック」と信じて疑わなかった。
だが医師によると、「スッキリしたのは気分だけで、汗をかいても酒は抜けない」とのこと。それどころか、アルコールによる脱水症状をさらに促進させ、不整脈のリスクも高めてしまうという。迎え酒をしたくて（？）熱いのを耐え、サウナで汗だくになっていたのに、要らぬ努力だったとは。ショック過ぎて、ヤケ酒をしたくなる。
では二日酔いを改善する最善策は何なのか？ それは「飲み過ぎによって不足した水分や糖分を摂って、おとなしくしている」こと。汗を流すどころか、その反対に水分を補わなくてはいけなかったのだ。
中でもおすすめなのがオレンジジュース。オレンジジュースには糖分も含まれているので、飲み過ぎによって起こった脱水症状と低血糖を同時に解消することが期待できる。また、オレンジをはじめとするフルーツには、果糖（フルクトース）が多く含まれており、これがアルコールの分解を促進するという嬉しい効果も。オレンジジュースが苦手な人は、果糖が含まれるスポーツドリンクでもいい。
私自身これを知ってから、深酒して「あ～、やらかした」と思って起きる朝は、サウナではなくオレンジジュースのお世話になっている。そのおかげで、昼には食事ができるようになり、夕方になると街のネオンが恋しくなるが、そこはグッとガマン。最高の体調でおいしく酒を飲むためにも、二日酔いの翌日は休肝日にして、働き者の肝臓をいたわってあげよう。