着なくなった服が押し込まれたクローゼット、本がぎっしり詰まった本棚、使わないお皿だらけの食器棚……。モノで溢れた家にうんざり、という読者も多いのでは。一方、5年間で6000人以上の受講生にアドバイスをしてきた人気整理収納アドバイザー・阿部静子さんは「何があるかわからない時代だからこそ、人生の折り返し地点を過ぎたら片づけたもの勝ち」と断言します。その阿部さんが50代以上に向けて、お手軽片づけ術を伝授。第12回は「キッチンの片づけ方」です。
【写真】片づけ講座の受講生のキッチン。しっかり片づいていますがいわゆる”ダブった”調理道具もあるため、まだ整理の余地はあるかも* * * * * * *何から手を付ければいいかわからないキッチンの片づけ大掃除・片づけが気になる時期になってきました。その中でも主婦の皆さんにとって、気持ちが重くなる場所のひとつがキッチンなのかもしれません。毎日何度も立つキッチンは、自然と色々なものを置くことになり、片づけをするにも何から手をつけていいか分からないという方も多いはず。そんなキッチンはいっぺんに片づけず「箸・カトラリーの引き出し」「食品ストック」「調理道具」「鍋・フライパン」「食器」といった<エリア>に分けて片づけてみてはいかがでしょうか。<エリア>ごとに達成感を得ながら片づけを進めていくのがおススメです。前回は、手始めに片づけるのにちょうどいい、最も狭いエリア「箸、カトラリーの引き出し」をご紹介しました。「食品ストック」についても以前ご紹介しましたので、今回は「調理道具」の片づけ術を考えてみたいと思います。はじめにチェックするべきは「壊れ・汚れ」さて、キッチンの調理用具をあらためて見渡してみれば、大きさや形の差異はあれど、「焼く」「煮る」「掴む」など、実は同じ用途の調理道具が複数揃っているケースが多いのではないでしょうか。一方で調理器具は、その数が増えるに従い、取り出しにくくなっていくものです。そこでまずはじめに、壊れていたり、汚れがとれないものなどがないか、チェックしてください。もちろん修理などで使い続けられるものならそうするべきですが、場合によっては処分を検討してもよいでしょう。以前、片づけ教室の生徒さんに、たくさんボウルをお持ちの方がいたのでチェックしてもらいました。すると大小20個ほど持っているうち、今はあまり使っていないけれども、気づかないうちに落ちそうにない汚れがつき、黒ずんでいるものが含まれていることに気づきました。逆に、今よく使っているものを選んでもらったら2、3個に絞られることにも気づき、結局、使っていないものはいくつか手放そう、ということになりました。ダブりはありませんかつぎに“ダブり”について確認してみましょう。引き出しなどからあらためて出してみれば、茶こし、しゃもじ、計量カップ、おろし金など、完全に同じ用途のものがいくつも出てきた、なんてことがよくあります。そして「使うのはいつも同じもの」という方も多い。たとえばスライサーやおろし金については、「高価なものも持っていたけれど、100円ショップで買ったものが一番使いやすい」とおっしゃる方がいました。使いやすさは人それぞれ、値段ではないようです。「あれば便利」ときづけば同じ用途のものをたくさん持ってはいませんか?(写真提供:Photo AC)また「これは卵を溶くときだけ使う小さなボウル」など、かなり細かい用途で調理器具を揃えている方もいらっしゃいました。買う前に、手持ちの中に代用できるものがないか、考える癖をつければ増えにくくなるのかもしれません。調理道具の場合「よく使っているもの=使いやすいもの」を認識することが大事です。それから「使っていないもの=使いにくいもの」ということに気づくと、がぜん整理がしやすくなります。「調理便利グッズ」の罠それから、店頭では役立ちそうだと感じて購入した「調理便利グッズ」。実際に自宅で使ってみるとそうでもなかった……という経験はありませんか? 一度自分には合わないと思って収納してしまえば、ほとんどの場合はそれっきり。持っていても、この先出番はほぼ来ないはず。今、巷では「キッチンの便利グッズ」が山ほど売られています。テレビなどでも毎日のように紹介されるので興味を惹きがちですが、「一つの用途しか使い道がないもの」には特に注意したほうが良いと思います。万が一、その用途で使わなかったときにどうしようもなくなるからです。なので繰り返しとなりますが、キッチン用品についてはすぐに手を伸ばすのではなく、まず「代用できるものはないか」を考える癖をつけるようにしましょう。以前伺ったお宅では、引っ張り出した調理道具に対して「これは何に使うものだったかしら?」と頭をひねっていた方がいて、お互いに笑ってしまったことも。使わずにしまっているうち、そもそも何の道具だったのか、忘れてしまったそうですが、買って満足して終わることも結構あるのが「便利グッズ」です。「2か所収納」で仕分けすればカンペキさて、不要なものがなくなり、空間も空きました。続けて「すっきり」と「使い勝手の良さ」の両方が叶う収納法をお伝えしたいと思います。ものが少なくなくなっていればここからはラクです。よく「外に出しておいた方が、すぐ取りだせて使いやすい」とキッチンに調理道具をたくさん出しているお宅があります。しかしそれでは料理をするスペースが狭くなってしまうし、油ハネなどがあれば、お掃除も面倒になります。そこで「よく使うもの」「たまに使うもの」を分ける「2か所収納」がおススメです。たとえば、おたまやさいばしなど、よく使うものを厳選し、こちらは見えるところに出しておきます。フックに掛けてもいいですし、入れ物に入れてもいいでしょう。そして、たまにしか使わないような調理道具は引き出しにしまっておきます。当たり前のようですが、このように「調理道具は2種類に分けて収納する」とルールを予め決めておくことで「すっきり」と「使い勝手の良さ」の二つが手に入るのです。とにかく、同じ用途やダブりの調理道具がないかを確認し、持っていたらよく使うものを残し、他は手放すことを考え、ものを減らす。そのうえで、2か所収納法を使えば、料理や片づけの時短にもつながります。こんな感じでキッチンを整理して、これから迎える忙しい年末年始を乗り切っていただければと思います。
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大掃除・片づけが気になる時期になってきました。その中でも主婦の皆さんにとって、気持ちが重くなる場所のひとつがキッチンなのかもしれません。
毎日何度も立つキッチンは、自然と色々なものを置くことになり、片づけをするにも何から手をつけていいか分からないという方も多いはず。
そんなキッチンはいっぺんに片づけず「箸・カトラリーの引き出し」「食品ストック」「調理道具」「鍋・フライパン」「食器」といった<エリア>に分けて片づけてみてはいかがでしょうか。<エリア>ごとに達成感を得ながら片づけを進めていくのがおススメです。
前回は、手始めに片づけるのにちょうどいい、最も狭いエリア「箸、カトラリーの引き出し」をご紹介しました。「食品ストック」についても以前ご紹介しましたので、今回は「調理道具」の片づけ術を考えてみたいと思います。
さて、キッチンの調理用具をあらためて見渡してみれば、大きさや形の差異はあれど、「焼く」「煮る」「掴む」など、実は同じ用途の調理道具が複数揃っているケースが多いのではないでしょうか。一方で調理器具は、その数が増えるに従い、取り出しにくくなっていくものです。
そこでまずはじめに、壊れていたり、汚れがとれないものなどがないか、チェックしてください。もちろん修理などで使い続けられるものならそうするべきですが、場合によっては処分を検討してもよいでしょう。
以前、片づけ教室の生徒さんに、たくさんボウルをお持ちの方がいたのでチェックしてもらいました。
すると大小20個ほど持っているうち、今はあまり使っていないけれども、気づかないうちに落ちそうにない汚れがつき、黒ずんでいるものが含まれていることに気づきました。
逆に、今よく使っているものを選んでもらったら2、3個に絞られることにも気づき、結局、使っていないものはいくつか手放そう、ということになりました。
つぎに“ダブり”について確認してみましょう。
引き出しなどからあらためて出してみれば、茶こし、しゃもじ、計量カップ、おろし金など、完全に同じ用途のものがいくつも出てきた、なんてことがよくあります。そして「使うのはいつも同じもの」という方も多い。
たとえばスライサーやおろし金については、「高価なものも持っていたけれど、100円ショップで買ったものが一番使いやすい」とおっしゃる方がいました。使いやすさは人それぞれ、値段ではないようです。
「あれば便利」ときづけば同じ用途のものをたくさん持ってはいませんか?(写真提供:Photo AC)
また「これは卵を溶くときだけ使う小さなボウル」など、かなり細かい用途で調理器具を揃えている方もいらっしゃいました。買う前に、手持ちの中に代用できるものがないか、考える癖をつければ増えにくくなるのかもしれません。
調理道具の場合「よく使っているもの=使いやすいもの」を認識することが大事です。それから「使っていないもの=使いにくいもの」ということに気づくと、がぜん整理がしやすくなります。
それから、店頭では役立ちそうだと感じて購入した「調理便利グッズ」。実際に自宅で使ってみるとそうでもなかった……という経験はありませんか?
一度自分には合わないと思って収納してしまえば、ほとんどの場合はそれっきり。持っていても、この先出番はほぼ来ないはず。
今、巷では「キッチンの便利グッズ」が山ほど売られています。
テレビなどでも毎日のように紹介されるので興味を惹きがちですが、「一つの用途しか使い道がないもの」には特に注意したほうが良いと思います。万が一、その用途で使わなかったときにどうしようもなくなるからです。
なので繰り返しとなりますが、キッチン用品についてはすぐに手を伸ばすのではなく、まず「代用できるものはないか」を考える癖をつけるようにしましょう。
以前伺ったお宅では、引っ張り出した調理道具に対して「これは何に使うものだったかしら?」と頭をひねっていた方がいて、お互いに笑ってしまったことも。
使わずにしまっているうち、そもそも何の道具だったのか、忘れてしまったそうですが、買って満足して終わることも結構あるのが「便利グッズ」です。
さて、不要なものがなくなり、空間も空きました。続けて「すっきり」と「使い勝手の良さ」の両方が叶う収納法をお伝えしたいと思います。ものが少なくなくなっていればここからはラクです。
よく「外に出しておいた方が、すぐ取りだせて使いやすい」とキッチンに調理道具をたくさん出しているお宅があります。しかしそれでは料理をするスペースが狭くなってしまうし、油ハネなどがあれば、お掃除も面倒になります。
そこで「よく使うもの」「たまに使うもの」を分ける「2か所収納」がおススメです。
たとえば、おたまやさいばしなど、よく使うものを厳選し、こちらは見えるところに出しておきます。フックに掛けてもいいですし、入れ物に入れてもいいでしょう。
そして、たまにしか使わないような調理道具は引き出しにしまっておきます。
当たり前のようですが、このように「調理道具は2種類に分けて収納する」とルールを予め決めておくことで「すっきり」と「使い勝手の良さ」の二つが手に入るのです。
とにかく、同じ用途やダブりの調理道具がないかを確認し、持っていたらよく使うものを残し、他は手放すことを考え、ものを減らす。そのうえで、2か所収納法を使えば、料理や片づけの時短にもつながります。
こんな感じでキッチンを整理して、これから迎える忙しい年末年始を乗り切っていただければと思います。