赤ちゃんを家に迎えて2カ月目。いよいよ始まったのが「コリック(黄昏泣き)」でした。泣き止まない子どもを前に右往左往、一体どうすればいいの――。当時の出来事を振り返りつつ、あらためて専門医を取材しました。(朝日新聞デジタル機動報道部・朽木誠一郎)【画像】「これじゃないw」でも「わかります」 夫が撮った牋藥する妻の写真瓩剖Υ供真理すぎると反響「ここから1-2カ月が大変」の意味1カ月健診を終え、外に出られるようになると、例えば「先に子どもが生まれた友人」のように、育児の先輩に会うことも増えます。

そんなとき、諸先輩方が別れ際などに口をそろえて「ここから1-2カ月が大変だから、頑張ってね」と言うので、やや引っかかっていました。えっ、そんな心を挫くようなことを言わなくても、という気持ちもちょっと芽生えます。初めての子どもで、抱っこの力加減も、ミルクをあげてむせた時の対処法もわからず、オロオロするばかり。それなのに、ここからが大変とは、一体――そう思えていたのも束の間、次第に「なるほど、これは大変だ」とはっきりしてきました。あくまでも我が家の場合ですが、もっとも大変だったのは、「泣き」でした。23時くらいから突然、始まるギャン泣き。そして、ハイボルテージで泣き続けたまま、何をしても止まりません。当時の育児記録アプリを振り返ってみると、1時間に4回おむつを替え、2-3時間おきにミルクを飲ませています。他にも抱っこやおしゃぶりなど、考えられる原因にはすべて対処して、一時的に落ち着いても、10-20分ほどでまた泣き出してしまう、の繰り返しでした。この間、親はずっと何かしら対応をし続けることになります。この「泣き」はだいたい夜中の3時くらいまで続いて、明け方までには収まるものの、子どもは朝6-7時には起きてしまい、そこからは通常運転。つまりお腹が空いたら泣き、おむつが汚れたら泣き……と、また泣きます。感覚的には1日のうち21時間くらい、ずっと子どもの泣き声を聞いているような気がしてしまうのです。我が家は育児に慣れるためもあり、当初、夜中のこうした対応をどちらかではなく、二人でしていました。しかし、数日後にまだまだ産後で体のつらい妻がダウン。その日から「妻には早い時間に寝てもらって、3時までは私が起きておく」「明け方に寝ついたら私が寝て、早朝から妻が起きる」というシフトの運用に変更。これで回りはするものの、「泣き止まない子どもをずっとみる」というのは精神的にも肉体的にもしんどく、夫婦で「ここから1-2カ月が大変」という言葉の意味を噛み締めることになりました。本当に、2カ月目くらいから一気に大変になるものなんですね……。でも、赤ちゃんって、なんでこんなふうに泣くのでしょうか。「コリック」はなぜ起きる?一般的に、はっきりした原因がないのに、赤ちゃんが1日に数時間、1週間に数日以上、激しく大声で泣き続ける状態のことを、「コリック」「黄昏泣き」と言います。後者は夕方(黄昏時)に泣くことから名前がつきましたが、実際には昼夜を問わず見られる状態で、夕方から真夜中まで続くことも。では、この「コリック」はなぜ起きるのでしょうか。国立成育医療研究センターの小児科専門医・周産期(新生児)専門医の和田友香さんに話を聞きました。まず、和田さんは「コリック」は医師も使う言葉だとした上で、「明確な定義はない」と話します。というのも、いくつかの医学文献によれば、コリック(colic)という言葉には狭義に、腸管(colon)由来の痛みを示唆する場合もあるからです。「赤ちゃんが『はっきりした原因がなく、泣き続ける』という現象そのものを指してコリックと呼ぶことも、その原因の一つにコリック(腹部の痛み)があると考えることも、どちらもあり得ます」「一般的な定義は前者で、『はっきりした原因がなく、泣き続ける』=コリックでしょう」と和田さん。そして、コリックの原因は不明であるものの、消化管の不調がもっとも疑わしいそうです。痛みの他にも「腸内ガスの貯留」「腸の未熟性(腸が未発達である状態)」「アレルギー」「腸のけいれん」「乳糖不耐(牛乳などに含まれる乳糖を消化できないこと)」など、考えられる可能性は多くあります。とはいえ、多くの場合は自然に泣き止みます。この時期の赤ちゃんについて、はっきりした原因がなく、泣き続けているような場合は「受診は必要ない」と和田さん。しかし、「他に泣く原因がないか考えることは必要」とも指摘します。例えば「太ももの付け根あたりが膨らむ鼠径ヘルニアなど、いつもと違う体の状態に気がついたら、受診をおすすめします」ということでした。コリック、つまり「はっきりした原因がなく、泣き続けている」状態は、その語源にもあるように、消化管の不調がもっとも疑わしい、というのは、親がそれで苦労することを一旦、忘れれば、面白いことでもあります。そういえば、うちの子は泣きながら何度もモゾモゾするのですが、その際に大きなおならやうんちをすると、泣きが収まるというケースも経験しました。親には“絶対NG”な行為も厚生労働省の資料によれば、赤ちゃんへの関わり方によらず、生後1-2カ月に「泣き」のピークがあることがわかっています。その時は何をやっても泣き止まないことが多いものの、月齢3カ月以降はだんだん収まっていくとします。【参考】赤ちゃんが泣きやまない 泣きへの理解と対処のために – 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000030731.pdf時が全てを解決する……と言えば聞こえはいいですが、その間の親の睡眠不足やストレスはなかなかのものだというのも正直なところです。子どもの可愛さに救われる日々でした。ここで、前述した厚労省の資料にもある、絶対にしてはいけない行為が、無理に泣き止ませようとして赤ちゃんを「揺さぶる」こと。赤ちゃんの頭の中はとてももろく、「乳幼児揺さぶられ症候群」として脳がダメージを負い、重大な後遺症が残る可能性や、最悪の場合、死にいたる可能性があります。実際に自分に子どもができてみて、子育ての綺麗事だけではない面も多々、目の当たりにします。子どもが泣くのが当たり前だとわかっていても、一日中、泣き声を聞いていると「勘弁してくれ」と思うことも。そんなとき、子どもの可愛さともう一つ、救いになったのが、一緒に子育てに取り組む妻の存在でした。うちの夫婦で編み出したのは、泣き止まない子どもを車輪つきのハイローチェアに乗せて、ゆっくり家の中を一周するという方法。どういうわけか、うちの子はベビーカーなど動くものに乗せると泣き止むことがわかったのです。私と妻がそれぞれ子どもを観察し、我が身を助けるための方法を試行錯誤し続けた末の「ネムリラ※作戦」。これが中盤で上手くいった結果、魔の「1-2カ月」を乗り切ることができたのでした。※ハイローチェアの商品名同時に怖くなるのが、協力者がいなかった場合のこと。私が基本的に在宅勤務をしていて、妻は育休中でそもそもケアに慣れた医療者。ここから条件が欠けていったら、ワンオペになり、追い込まれていくことも容易に想像できます。その先にはもしかすると「揺さぶり」があるのかもしれません。夫婦で授かった子ども。どちらか一人に任せきりになるのではなく、コミュニケーションを密に取ることができれば、「ネムリラ作戦」のようなスマッシュヒットも打てるようになる。先輩方からは今度は「夜泣きはこれからもっとひどくなるよ」と言われたりもしてゾッとしますが、このことを胸に刻んで、乗り越えていきたいものです。【連載】親になる人はいつ、どうやって“親になる”のでしょうか。育児をする中で起きる日々の出来事を、取材やデータを交えて、医療記者がつづります。
赤ちゃんを家に迎えて2カ月目。いよいよ始まったのが「コリック(黄昏泣き)」でした。泣き止まない子どもを前に右往左往、一体どうすればいいの――。当時の出来事を振り返りつつ、あらためて専門医を取材しました。(朝日新聞デジタル機動報道部・朽木誠一郎)
【画像】「これじゃないw」でも「わかります」 夫が撮った牋藥する妻の写真瓩剖Υ供真理すぎると反響「ここから1-2カ月が大変」の意味1カ月健診を終え、外に出られるようになると、例えば「先に子どもが生まれた友人」のように、育児の先輩に会うことも増えます。

そんなとき、諸先輩方が別れ際などに口をそろえて「ここから1-2カ月が大変だから、頑張ってね」と言うので、やや引っかかっていました。えっ、そんな心を挫くようなことを言わなくても、という気持ちもちょっと芽生えます。初めての子どもで、抱っこの力加減も、ミルクをあげてむせた時の対処法もわからず、オロオロするばかり。それなのに、ここからが大変とは、一体――そう思えていたのも束の間、次第に「なるほど、これは大変だ」とはっきりしてきました。あくまでも我が家の場合ですが、もっとも大変だったのは、「泣き」でした。23時くらいから突然、始まるギャン泣き。そして、ハイボルテージで泣き続けたまま、何をしても止まりません。当時の育児記録アプリを振り返ってみると、1時間に4回おむつを替え、2-3時間おきにミルクを飲ませています。他にも抱っこやおしゃぶりなど、考えられる原因にはすべて対処して、一時的に落ち着いても、10-20分ほどでまた泣き出してしまう、の繰り返しでした。この間、親はずっと何かしら対応をし続けることになります。この「泣き」はだいたい夜中の3時くらいまで続いて、明け方までには収まるものの、子どもは朝6-7時には起きてしまい、そこからは通常運転。つまりお腹が空いたら泣き、おむつが汚れたら泣き……と、また泣きます。感覚的には1日のうち21時間くらい、ずっと子どもの泣き声を聞いているような気がしてしまうのです。我が家は育児に慣れるためもあり、当初、夜中のこうした対応をどちらかではなく、二人でしていました。しかし、数日後にまだまだ産後で体のつらい妻がダウン。その日から「妻には早い時間に寝てもらって、3時までは私が起きておく」「明け方に寝ついたら私が寝て、早朝から妻が起きる」というシフトの運用に変更。これで回りはするものの、「泣き止まない子どもをずっとみる」というのは精神的にも肉体的にもしんどく、夫婦で「ここから1-2カ月が大変」という言葉の意味を噛み締めることになりました。本当に、2カ月目くらいから一気に大変になるものなんですね……。でも、赤ちゃんって、なんでこんなふうに泣くのでしょうか。「コリック」はなぜ起きる?一般的に、はっきりした原因がないのに、赤ちゃんが1日に数時間、1週間に数日以上、激しく大声で泣き続ける状態のことを、「コリック」「黄昏泣き」と言います。後者は夕方(黄昏時)に泣くことから名前がつきましたが、実際には昼夜を問わず見られる状態で、夕方から真夜中まで続くことも。では、この「コリック」はなぜ起きるのでしょうか。国立成育医療研究センターの小児科専門医・周産期(新生児)専門医の和田友香さんに話を聞きました。まず、和田さんは「コリック」は医師も使う言葉だとした上で、「明確な定義はない」と話します。というのも、いくつかの医学文献によれば、コリック(colic)という言葉には狭義に、腸管(colon)由来の痛みを示唆する場合もあるからです。「赤ちゃんが『はっきりした原因がなく、泣き続ける』という現象そのものを指してコリックと呼ぶことも、その原因の一つにコリック(腹部の痛み)があると考えることも、どちらもあり得ます」「一般的な定義は前者で、『はっきりした原因がなく、泣き続ける』=コリックでしょう」と和田さん。そして、コリックの原因は不明であるものの、消化管の不調がもっとも疑わしいそうです。痛みの他にも「腸内ガスの貯留」「腸の未熟性(腸が未発達である状態)」「アレルギー」「腸のけいれん」「乳糖不耐(牛乳などに含まれる乳糖を消化できないこと)」など、考えられる可能性は多くあります。とはいえ、多くの場合は自然に泣き止みます。この時期の赤ちゃんについて、はっきりした原因がなく、泣き続けているような場合は「受診は必要ない」と和田さん。しかし、「他に泣く原因がないか考えることは必要」とも指摘します。例えば「太ももの付け根あたりが膨らむ鼠径ヘルニアなど、いつもと違う体の状態に気がついたら、受診をおすすめします」ということでした。コリック、つまり「はっきりした原因がなく、泣き続けている」状態は、その語源にもあるように、消化管の不調がもっとも疑わしい、というのは、親がそれで苦労することを一旦、忘れれば、面白いことでもあります。そういえば、うちの子は泣きながら何度もモゾモゾするのですが、その際に大きなおならやうんちをすると、泣きが収まるというケースも経験しました。親には“絶対NG”な行為も厚生労働省の資料によれば、赤ちゃんへの関わり方によらず、生後1-2カ月に「泣き」のピークがあることがわかっています。その時は何をやっても泣き止まないことが多いものの、月齢3カ月以降はだんだん収まっていくとします。【参考】赤ちゃんが泣きやまない 泣きへの理解と対処のために – 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000030731.pdf時が全てを解決する……と言えば聞こえはいいですが、その間の親の睡眠不足やストレスはなかなかのものだというのも正直なところです。子どもの可愛さに救われる日々でした。ここで、前述した厚労省の資料にもある、絶対にしてはいけない行為が、無理に泣き止ませようとして赤ちゃんを「揺さぶる」こと。赤ちゃんの頭の中はとてももろく、「乳幼児揺さぶられ症候群」として脳がダメージを負い、重大な後遺症が残る可能性や、最悪の場合、死にいたる可能性があります。実際に自分に子どもができてみて、子育ての綺麗事だけではない面も多々、目の当たりにします。子どもが泣くのが当たり前だとわかっていても、一日中、泣き声を聞いていると「勘弁してくれ」と思うことも。そんなとき、子どもの可愛さともう一つ、救いになったのが、一緒に子育てに取り組む妻の存在でした。うちの夫婦で編み出したのは、泣き止まない子どもを車輪つきのハイローチェアに乗せて、ゆっくり家の中を一周するという方法。どういうわけか、うちの子はベビーカーなど動くものに乗せると泣き止むことがわかったのです。私と妻がそれぞれ子どもを観察し、我が身を助けるための方法を試行錯誤し続けた末の「ネムリラ※作戦」。これが中盤で上手くいった結果、魔の「1-2カ月」を乗り切ることができたのでした。※ハイローチェアの商品名同時に怖くなるのが、協力者がいなかった場合のこと。私が基本的に在宅勤務をしていて、妻は育休中でそもそもケアに慣れた医療者。ここから条件が欠けていったら、ワンオペになり、追い込まれていくことも容易に想像できます。その先にはもしかすると「揺さぶり」があるのかもしれません。夫婦で授かった子ども。どちらか一人に任せきりになるのではなく、コミュニケーションを密に取ることができれば、「ネムリラ作戦」のようなスマッシュヒットも打てるようになる。先輩方からは今度は「夜泣きはこれからもっとひどくなるよ」と言われたりもしてゾッとしますが、このことを胸に刻んで、乗り越えていきたいものです。【連載】親になる人はいつ、どうやって“親になる”のでしょうか。育児をする中で起きる日々の出来事を、取材やデータを交えて、医療記者がつづります。
「ここから1-2カ月が大変」の意味1カ月健診を終え、外に出られるようになると、例えば「先に子どもが生まれた友人」のように、育児の先輩に会うことも増えます。
そんなとき、諸先輩方が別れ際などに口をそろえて「ここから1-2カ月が大変だから、頑張ってね」と言うので、やや引っかかっていました。えっ、そんな心を挫くようなことを言わなくても、という気持ちもちょっと芽生えます。
初めての子どもで、抱っこの力加減も、ミルクをあげてむせた時の対処法もわからず、オロオロするばかり。それなのに、ここからが大変とは、一体――そう思えていたのも束の間、次第に「なるほど、これは大変だ」とはっきりしてきました。
あくまでも我が家の場合ですが、もっとも大変だったのは、「泣き」でした。
23時くらいから突然、始まるギャン泣き。そして、ハイボルテージで泣き続けたまま、何をしても止まりません。
当時の育児記録アプリを振り返ってみると、1時間に4回おむつを替え、2-3時間おきにミルクを飲ませています。他にも抱っこやおしゃぶりなど、考えられる原因にはすべて対処して、一時的に落ち着いても、10-20分ほどでまた泣き出してしまう、の繰り返しでした。
この間、親はずっと何かしら対応をし続けることになります。この「泣き」はだいたい夜中の3時くらいまで続いて、明け方までには収まるものの、子どもは朝6-7時には起きてしまい、そこからは通常運転。
つまりお腹が空いたら泣き、おむつが汚れたら泣き……と、また泣きます。感覚的には1日のうち21時間くらい、ずっと子どもの泣き声を聞いているような気がしてしまうのです。
我が家は育児に慣れるためもあり、当初、夜中のこうした対応をどちらかではなく、二人でしていました。しかし、数日後にまだまだ産後で体のつらい妻がダウン。
その日から「妻には早い時間に寝てもらって、3時までは私が起きておく」「明け方に寝ついたら私が寝て、早朝から妻が起きる」というシフトの運用に変更。
これで回りはするものの、「泣き止まない子どもをずっとみる」というのは精神的にも肉体的にもしんどく、夫婦で「ここから1-2カ月が大変」という言葉の意味を噛み締めることになりました。
本当に、2カ月目くらいから一気に大変になるものなんですね……。でも、赤ちゃんって、なんでこんなふうに泣くのでしょうか。
「コリック」はなぜ起きる?一般的に、はっきりした原因がないのに、赤ちゃんが1日に数時間、1週間に数日以上、激しく大声で泣き続ける状態のことを、「コリック」「黄昏泣き」と言います。
後者は夕方(黄昏時)に泣くことから名前がつきましたが、実際には昼夜を問わず見られる状態で、夕方から真夜中まで続くことも。
では、この「コリック」はなぜ起きるのでしょうか。国立成育医療研究センターの小児科専門医・周産期(新生児)専門医の和田友香さんに話を聞きました。
まず、和田さんは「コリック」は医師も使う言葉だとした上で、「明確な定義はない」と話します。というのも、いくつかの医学文献によれば、コリック(colic)という言葉には狭義に、腸管(colon)由来の痛みを示唆する場合もあるからです。
「赤ちゃんが『はっきりした原因がなく、泣き続ける』という現象そのものを指してコリックと呼ぶことも、その原因の一つにコリック(腹部の痛み)があると考えることも、どちらもあり得ます」
「一般的な定義は前者で、『はっきりした原因がなく、泣き続ける』=コリックでしょう」と和田さん。そして、コリックの原因は不明であるものの、消化管の不調がもっとも疑わしいそうです。
痛みの他にも「腸内ガスの貯留」「腸の未熟性(腸が未発達である状態)」「アレルギー」「腸のけいれん」「乳糖不耐(牛乳などに含まれる乳糖を消化できないこと)」など、考えられる可能性は多くあります。
とはいえ、多くの場合は自然に泣き止みます。この時期の赤ちゃんについて、はっきりした原因がなく、泣き続けているような場合は「受診は必要ない」と和田さん。
しかし、「他に泣く原因がないか考えることは必要」とも指摘します。例えば「太ももの付け根あたりが膨らむ鼠径ヘルニアなど、いつもと違う体の状態に気がついたら、受診をおすすめします」ということでした。
コリック、つまり「はっきりした原因がなく、泣き続けている」状態は、その語源にもあるように、消化管の不調がもっとも疑わしい、というのは、親がそれで苦労することを一旦、忘れれば、面白いことでもあります。
そういえば、うちの子は泣きながら何度もモゾモゾするのですが、その際に大きなおならやうんちをすると、泣きが収まるというケースも経験しました。
親には“絶対NG”な行為も厚生労働省の資料によれば、赤ちゃんへの関わり方によらず、生後1-2カ月に「泣き」のピークがあることがわかっています。
その時は何をやっても泣き止まないことが多いものの、月齢3カ月以降はだんだん収まっていくとします。
【参考】赤ちゃんが泣きやまない 泣きへの理解と対処のために – 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000030731.pdf
時が全てを解決する……と言えば聞こえはいいですが、その間の親の睡眠不足やストレスはなかなかのものだというのも正直なところです。子どもの可愛さに救われる日々でした。
ここで、前述した厚労省の資料にもある、絶対にしてはいけない行為が、無理に泣き止ませようとして赤ちゃんを「揺さぶる」こと。赤ちゃんの頭の中はとてももろく、「乳幼児揺さぶられ症候群」として脳がダメージを負い、重大な後遺症が残る可能性や、最悪の場合、死にいたる可能性があります。
実際に自分に子どもができてみて、子育ての綺麗事だけではない面も多々、目の当たりにします。子どもが泣くのが当たり前だとわかっていても、一日中、泣き声を聞いていると「勘弁してくれ」と思うことも。
そんなとき、子どもの可愛さともう一つ、救いになったのが、一緒に子育てに取り組む妻の存在でした。
うちの夫婦で編み出したのは、泣き止まない子どもを車輪つきのハイローチェアに乗せて、ゆっくり家の中を一周するという方法。どういうわけか、うちの子はベビーカーなど動くものに乗せると泣き止むことがわかったのです。
私と妻がそれぞれ子どもを観察し、我が身を助けるための方法を試行錯誤し続けた末の「ネムリラ※作戦」。これが中盤で上手くいった結果、魔の「1-2カ月」を乗り切ることができたのでした。※ハイローチェアの商品名
同時に怖くなるのが、協力者がいなかった場合のこと。私が基本的に在宅勤務をしていて、妻は育休中でそもそもケアに慣れた医療者。ここから条件が欠けていったら、ワンオペになり、追い込まれていくことも容易に想像できます。その先にはもしかすると「揺さぶり」があるのかもしれません。
夫婦で授かった子ども。どちらか一人に任せきりになるのではなく、コミュニケーションを密に取ることができれば、「ネムリラ作戦」のようなスマッシュヒットも打てるようになる。
先輩方からは今度は「夜泣きはこれからもっとひどくなるよ」と言われたりもしてゾッとしますが、このことを胸に刻んで、乗り越えていきたいものです。
【連載】親になる