公明党の岡本三成衆院議員(57)が、財務副大臣在任中に自身の所有するマンションを売却していたことが、「週刊文春」の取材でわかった。在任中の不動産取引の自粛を求める大臣規範に違反する疑いがある。
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2012年の衆院選で初当選(比例北関東ブロック)を果たした岡本氏は、昨年の衆院選では公明党の太田昭宏前代表から譲り受けた東京12区から出馬して4選を果たし、財務副大臣に就任。党内では“次代の代表候補”との呼び声も高い。
創価大を卒業後、シティバンクを経て、ゴールドマン・サックス証券に入社。40歳で執行役員に就任した人物で大富豪としても知られ、山梨県内の山中湖付近にある別荘や都内に賃貸用アパートを2軒持つほか、米NYにも8軒の不動産を所有。10億円を優に超える資産を持つと見られる。
岡本三成衆院議員 共同通信社
「週刊文春」は12月6日配信の「スクープ速報」で、岡本氏の資産公開法違反を報じた。米国に持つ不動産のうち、イリノイ州にある約700平米の土地と、そこに建つ約168平米の一軒家が、国会議員が毎年提出する「資産等報告書」などに不記載だったのだ。米不動産サイトによれば、この物件の推計評価額は約5800万円。岡本氏は報道当日の12月6日、「資産等報告書」を修正している。
だが、資産を巡る疑惑はこれだけではなかった。岡本氏は今年8月の財務副大臣退任時点で所有していた資産を、大臣規範に基づく「閣僚資産公開」で報告。これは9月16日に公表されている。
同報告によれば岡本氏は米国にある不動産に加え、埼玉県所沢市にあるタワーマンションの一室を所有している。床面積は80.98平米で、周辺相場から資産価値は5千万円超とみられる。
公明党関係者が語る。
「岡本氏は昨秋の衆院選で東京12区から出馬する以前は、比例北関東ブロックの候補者として、所沢市に事務所を置いて活動していた。このタワマンは岡本氏が当時自宅として住んでいたほか、2012年の初当選直後は政治団体の事務所として届け出ていました」
ところが、登記簿を確認すると、岡本氏は今年3月7日付でタワマンを売却しているのだ。なぜ岡本氏は3月に売った不動産を所有していることにして今年8月の閣僚資産公開で報告したのか。
岡本氏は昨年11月に財務副大臣に就任し、今年8月の内閣改造に伴い退任している。つまり、不動産を売却したのは財務副大臣在任期間中のことなのだ。
政治と行政への国民の信頼を確保するために閣議決定された「大臣規範」では、在任中の株や不動産の取引について、〈自粛すること〉と定めている。これは副大臣や政務官も対象だ。
実際、今年7月には、在任中に静岡市清水区の土地と建物を購入した大臣規範違反の疑いを報じられた自民党の深沢陽一厚生労働政務官が、「国民の信頼を損ねてしまった。心からおわび申し上げる」と陳謝している。
つまり岡本氏は、実際には既に売却済みの不動産を今年8月の閣僚資産公開で届け出たことにより、結果として大臣規範違反が露見することを免れたのだ。
岡本事務所に12月12日に質問状を送ると、翌日までに、次のように回答した。
「ご指摘の物件は、以前埼玉県在住時の自宅として使用しておりました。2019年8月9日に東京へ居住地を変更して以降、2020年12月20日に不動産仲介事業者と契約し売却を模索しておりました。その後に、副大臣に就任し、図らずも在任中に契約が成立しました。本来であれば規定に基づき、退任時の資産公開にて当該物件を削除すべきでしたが、確認不足により掲載されたままとなっておりました。誠に遺憾でございます。今回ご指摘を受け、直ちに訂正手続きを行いました」
実際、財務省広報室に問い合わせると、岡本氏は小誌が質問状を送った12月12日付でタワマンを所有している旨の記述を削除していた。
岡本氏を巡っては、「週刊文春」が12月8日発売号で、2018年と2019年に開催された政治資金パーティ「衆議院議員 岡本三成君を励ます会」の収支が関連政治団体の政治資金収支報告書に記載されていない政治資金規正法違反の疑いを報じた。
岡本氏はこの“闇パーティ”疑惑に対して、「任意団体『衆議院議員 岡本三成君を励ます会』が主催したもので収支等を報告するには及びません」として政治資金規正法違反には当たらないとしたが、ここにきて更なる疑惑が発覚した格好だ。クリーンな政治を標榜してきた公明党の国会議員だけに、大臣規範違反の疑いについても、より丁寧な説明が求められることになりそうだ。
12月14日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および12月15日(木)発売の「週刊文春」では、公明党の北側一雄副代表が地元で開いてきた「北側一雄と語る夕べ」も、岡本氏と同様、収支を報告しない“闇パーティ”として開催されていた疑惑について詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年12月22日号)