栃木県足利市内で増えている「マダニ刺咬症」の多くが「タカサゴキララマダニ」によるもので、野生のイノシシによって人家周辺に運ばれている可能性が高いことが足利赤十字病院の内科非常勤医師、島田瑞穂さん(55)らの調査で分かった。マダニは深刻な感染症を媒介することもあり、同病院はかまれた場合、医療機関の受診を呼び掛けている。【太田穣】
母が急逝 「風邪だろう」 思い込んだ息子の後悔 マダニは蛛形綱マダニ亜目に属し、主に野生動物に寄生して幼虫、若虫、成虫の各ステージで吸血する。複数種いるが、森林総合研究所や県衛生研究所などが県内の森林でシカに付着するマダニの種類を調べた際には、タカサゴキララマダニはほとんど確認されなかったという。

一方、同病院でのマダニ刺咬症の受診者は2015年に7例、16年に9例だったのが、17年には25例に倍増。18年が24例、19年が23例と高止まりしている。島田さんが17~19年の72例を分析したところ、62例がタカサゴキララマダニにかまれていた。 拡大の原因を探るため、島田さんや帯広畜産大学の山内健生准教授、森林総研や国立感染症研究所の研究者が県猟友会足利中央支部の協力を得て、イノシシとシカに付着しているマダニの種類を調査した結果、イノシシに多くのタカサゴキララマダニが付着していることが分かった。シカにはフタトゲチマダニなど他のマダニが付いていた。 また、患者の半数以上は山の中ではなく、自宅周辺でかまれていることから、島田さんらは生息域を広げるイノシシがマダニを住宅地に運び込み、すでに定着しているとみている。調査結果をまとめた論文は日本ダニ学会の学会誌の最新号に掲載される。 このマダニは、人や猫に対して致死性の高い重症熱性血小板減少症候群ウイルスなどを媒介する可能性がある。また、無理にはがすと一部が皮膚に残り、炎症を起こすこともある。同病院はかまれた後は放置せず、速やかな受診を促している。
マダニは蛛形綱マダニ亜目に属し、主に野生動物に寄生して幼虫、若虫、成虫の各ステージで吸血する。複数種いるが、森林総合研究所や県衛生研究所などが県内の森林でシカに付着するマダニの種類を調べた際には、タカサゴキララマダニはほとんど確認されなかったという。
一方、同病院でのマダニ刺咬症の受診者は2015年に7例、16年に9例だったのが、17年には25例に倍増。18年が24例、19年が23例と高止まりしている。島田さんが17~19年の72例を分析したところ、62例がタカサゴキララマダニにかまれていた。
拡大の原因を探るため、島田さんや帯広畜産大学の山内健生准教授、森林総研や国立感染症研究所の研究者が県猟友会足利中央支部の協力を得て、イノシシとシカに付着しているマダニの種類を調査した結果、イノシシに多くのタカサゴキララマダニが付着していることが分かった。シカにはフタトゲチマダニなど他のマダニが付いていた。
また、患者の半数以上は山の中ではなく、自宅周辺でかまれていることから、島田さんらは生息域を広げるイノシシがマダニを住宅地に運び込み、すでに定着しているとみている。調査結果をまとめた論文は日本ダニ学会の学会誌の最新号に掲載される。
このマダニは、人や猫に対して致死性の高い重症熱性血小板減少症候群ウイルスなどを媒介する可能性がある。また、無理にはがすと一部が皮膚に残り、炎症を起こすこともある。同病院はかまれた後は放置せず、速やかな受診を促している。