海水温が上昇し…「幻の高級魚」増加 九州北部・玄界灘の変化

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九州北部の玄界灘ではサンゴや熱帯魚の仲間が増え続け、「幻の高級魚」と呼ばれる魚も水揚げが増えています。海の中はどう変化したのか、ご覧ください。
国の天然記念物に指定されている佐賀県唐津市の七ツ釜。規則正しく並んだ柱のような構造が海の中まで続いていて、ダイビングスポットにもなっています。
かつては岩肌が見えないほど海藻に覆われていましたが、「激変した」と40年近く潜ってきたダイバーは話します。
唐津マリンスポーツクラブ浪口志郎さん(77)「最近は海藻も私が見た感じからすると、10分の1ぐらいしかない」
ここ10年ほどで海藻は激減。一方、柱状の地形がはっきり見えるようになり、ダイバーを楽しませています。
さらに…
記者(佐賀・唐津市沖2023年)「イソギンチャクの間から姿を見せたのは、熱帯魚のクマノミです。いたるところでその姿を見ることができます」
JNNは20年にわたり九州北部・玄界灘の水中を取材。熱帯魚の一種クマノミが姿を見せるようになり、やがて越冬し、世代交代していく様子を撮影してきました。
海の変化について浪口さんは…
唐津マリンスポーツクラブ浪口志郎さん「南方系の色合い、海の中が。ソフトコーラルがいっぱいになったり、今まであまり見なかったアラ(クエ)がたくさん見られたりしていますね」
玄界灘でダイバーが目にする機会が増えているのが「幻の高級魚」とも呼ばれるクエです。九州北部での水揚げは、佐賀でここ数年横ばいになっているものの、全体的に増加しています。
専門家は温暖化でクエの仲間にとって「生存に望ましい環境になっている」と指摘します。
水産研究・教育機構奥山隼一さん「クエはまだマシな方で、特に九州近海では熱帯性のハタ類、もともとサンゴ礁域、熱帯域にすんでいた魚種が、近年、九州近辺あるいは本州の方で増加している」
福岡の魚市場でも、クエやその仲間のハタ類の水揚げが年々増えているということです。
福岡魚市場貞兼清治さん「ここ数年本当多くなりましたね。こういうものが、色のついた赤い魚が多くなりました」
玄界灘を含む東シナ海北部の海面水温はこの100年で年平均1.31℃上昇。
日本近海の平均を上回る水温の上昇によって、漁業、そして海との付き合い方は大きく変わっています。

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