【フリート編集部】「アメリカ人」が「日本の洋食店」で衝撃を受けて放った「思わぬひとこと」

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景気が低迷しているにもかかわらず物価が上がり続ける、そんな緩やかな「スタグフレーション」の状態にあるという日本。日本で暮らす人々にとって、物価高により値上げした飲食店のメニューは「高くて利用しづらくなった」という印象があるが、実は訪日外国人観光客にとっては必ずしもそうではない。円安が定着した今、訪日外国人観光客にとって日本の飲食店は「安い」のだ。2023年、スキーシーズン真っ只中の冬に話題になったのは、日本有数のパウダースノーが楽しめるとして人気の北海道・ニセコだ。冬の宿泊客のほとんどが外国人だというニセコは今観光地化し、多数の飲食店が出店。驚くのは、蕎麦やカツ丼が3,000円を超える値段で提供され、アルバイトの時給は2,000円を優に超えているという高騰ぶりだ。
円安で外国人にとっては安い日本の飲食店は、安いのにクオリティが高く、おいしい料理を提供してくれるので、外国人客の利用は絶えない。インバウンド向けに高級路線に舵を切った飲食店も増えてきている。牛丼チェーン店の吉野家でも、インバウンド向けの2,000円を超える高価格帯メニュー提供開始が話題になった。物価・人件費高騰で苦境にあえぐ飲食業界では、インバウンドへの対応がカギとなっている。
コロナ禍以前の活気を取り戻し始めた2023年、JNTO(日本政府観光局)によれば、2024年1月の訪日外客数は2,688,100 人。令和6年能登半島地震発生により一部訪日旅行への影響は見られたものの、コロナ禍以前の2019年同月比ではほぼ同数を記録した。また、観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、2023年は約5.3兆円で過去最高を記録している。2024年、インバウンド需要はさらに加速していくことが予想される。
そういった事情から飲食業界ではインバウンド向けの食の魅力発信が盛んに行われているが、中でもSNSを中心に特に注目を集めているYouTubeチャンネルがある。2017年に始動した「Momoka Japan」だ。日本食チャンネルの先駆け的存在の同チャンネルは2024年3月時点でチャンネル登録者数84万人を超える人気チャンネルとなっている。道行く外国人観光客に声をかけて日本食店に案内し、一緒に食事を楽しむというシンプルな構成の動画は、なんと「仕込みなし」「台本なし」「一発撮り」の撮影をモットーにしているという。
日本食を楽しそうに味わう外国人観光客のリアクションが大きな見どころであることはもちろん、英語が堪能なMomokaさんとインタビュイーである彼らの会話も楽しい。英語の会話内容は関西出身のMomokaさんにより関西弁まじりで翻訳されており、親しみやすい。コメント欄には「すげぇ…(動画のアップロードから)33分で3.5万回再生って…どんだけ皆楽しみにしてんだよ」「この動画はホント海外に広まってほしい」「この番組癖になるよね~。外国人目線で、日本の食べ物誉めてもらえて嬉しくなるよ」といった視聴者の感想が並び、「Momoka Japan」チャンネルの人気ぶりが窺える。
本記事では多数の人気動画の中から、再生回数156万回を超える「卒業旅行で初来日!初めて食べる日本食に感動が止まらない」という動画を紹介する。
本動画でMomokaさんのインタビューを受けたのは、アメリカの大学生ザックと、最近大学を卒業したロブとサムの三人だ。卒業旅行で初めて日本に訪れたという三人は、3日前に到着したばかりだが、早くも日本を満喫しているという。初日には築地市場を訪れ、「何を食べても旨かった」とご満悦の様子。初めて本場で日本食を食べ、「期待をはるかに超えていた」「適当なお店に入っても、どこも全部美味しいからすごい」と興奮冷めやらぬ様子で話してくれた。
そんな彼らを案内したのは、洋食レストラン「麻布笄軒」。日本人にしてみれば西洋料理のように感じる洋食だが、実は西洋料理をもとに日本独自に発展した、日本でしか食べられないジャンルだ。多くの日本人が「日本食」といわれてパッと思い浮かべるものではないだろうが、洋食もれっきとした日本食だ。私たち日本人にとっては馴染み深いオムライスやハンバーグも、外国人観光客にとっては初めて目にする料理で、三人はメニューのオムライスの写真を見て驚きの表情を見せた。
Momokaさんの勧めで注文したメロンソーダが運ばれてくると、「オーマイガー」の一言。アイスクリームがのったメロンソーダを前に三人ともニコニコで、童心に帰って味わっていた。これには視聴者から「美味しそうにメロンソーダを飲む姿が可愛いですね!」「メロンソーダきた時の三人の目の輝きがとても愛らしくてほっこりした」と温かいコメントが寄せられていた。
そして運ばれてきたオムライス、のようで、中身はたらこパスタ。裏メニューの「オムリターラコ」だ。半熟卵をめくって現れたたらこを三人は初めて目にしたらしい。そしてもう一品。メインはなんとお子様ランチだ。しかし、お子様といってもボリュームたっぷり、大人が喜ぶお子様ランチだ。メロンソーダに始まり、お子様ランチで締めくくるラインナップに、視聴者は「お子様ランチと言いながら、料理は大人も満足する内容ですね」「相変わらずメニューのチョイスが完璧ですな!」とMomokaさんのチョイスを評価するコメント。
三人は、「今日はなんて贅沢な日なんだよ」「すんげえワクワクする」と待ちきれない様子。Momokaさんはお子様ランチの料理一つひとつを丁寧に紹介して、いざ実食。「ピンク色のスパゲティを初めて食べた」「日本人がアメリカのハンバーガーを食べてもこんなに感動するかな??」。たらこパスタを初めて食べた彼らの感想はとても印象的だ。コメント欄にもこの感想について「すごく感慨深い…アメリカのソウルフードを引き合いに出してまで日本を褒める彼の懐の深さを感じる」と驚くコメントが見られた。オムライスについても、ケチャップの味は彼らにとっても馴染み深いもののため「知ってる味」だが、「初めての感覚!」とコメント。アメリカ人にとっては、ケチャップと米を合わせるのが不思議なようだ。その勢いのまま、ハンバーグに、巨大なエビフライまで完食。一皿に子どもが大好きなメニューが盛り付けられたお子様ランチをとても気に入ってくれたようだ。
ここで、日本の子どもについても話が膨らむ。「日本の子どもは礼儀正しすぎじゃない?」というサムさんの話から、日本は街や電車など公共の場でも人が静かで、だからこそ小学生が一人でも電車に乗れるくらい治安がいいのだろう、と考察した。日本と比較して、アメリカでは15歳以下の子どもが一人で電車に乗ると親にかなりの心配をかけてしまうだろう、地域にもよるが、知らない人はみんな危険人物だと教えられて育ってきたとアメリカの事情も語ってくれた。
今回Momokaさんが勧めたメニューも、三人が初めて日本を訪れて注目したポイントも、「子ども」がキーワードだった。お子様ランチは、今からおよそ100年前、昭和5年に三越日本橋本店で考案されたメニューだったという。子ども用の絵皿に映える料理として、子どもが好む人気のメニューを盛り付けた。当時、ライスは富士山に見立てられたらしい。この「御子様用洋食」と名付けられたメニューは現在の金額に換算して1,600円ほどと、やや高額だったが、いろんなメニューを少しずつ楽しめるとあって、子どもだけでなく大人からの注文もあったようだ。
日本の洋食店やファミリーレストランでは当たり前のようにあるお子様ランチだが、日本人にとっては当たり前でも、観光で訪れた海外の人々にとっては不思議で新鮮に映ることが印象的だった。日本料理店は世界各地にあり、メジャーな日本食は海外の人々にも広く浸透しているが、今回のお子様ランチのように、日本食にはインバウンド客を驚かせる隠れた魅力がまだまだあるのかもしれない。
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