池田大作氏の遺産相続はどうなる? 「途方もない額の動産が」

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巨大な星が最期を迎えると超新星爆発を起こしてブラックホールとなり、光すらその暗き闇に捉えてしまうほどの特異な事象を引き起こす。では日本最大級の宗教組織のドンの死は、国政など各方面で一体どんな現象を招くのだろうか。
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【写真を見る】若かりし日の池田大作氏 妻と3人の息子との集合写真 まずは、かねて度々取り沙汰されてきた「ポスト池田」についてだ。 池田大作名誉会長は妻・香峯子さん(91)との間に3人の子供をもうけている。長男・博正氏(70)、二男の故・城久氏(享年29)、三男・尊弘(たかひろ)氏(65)である。博正氏は主任副会長、尊弘氏は創価学園副理事長の立場。ともに主要幹部であるには違いないが、

「息子たちに組織が世襲されることにはならないでしょう」池田大作氏 とは政治部デスク。「池田氏自らが、かつて世襲を否定していたのに加えて、なにしろ今は原田稔会長(82)の天下。2006年に会長に就任した原田氏は秋谷栄之助前会長(93)の後のワンポイントリリーフとみられていたのですが、10年に池田氏が“引退宣言”を発して以降、その代弁者として振る舞うようになり、力をつけてしまいましたから」(同) この点、学会関係者も、「池田名誉会長が表舞台に立てなくなり、重病説が流れるようになって以降も原田会長ほか、ごく少数の幹部のみが池田名誉会長と週に複数回の面談を許される状況にあったのは確か」 などと証言する。長男の池田博正副会長(左)、原田稔会長(創価学会公式YouTubeより)しばらくは原田時代が続く? そもそも池田氏の後継の座を巡っては、かつて谷川佳樹主任副会長(66)と正木正明前理事長(69)のあいだで激しい鞘当てが繰り広げられていたのだが、「15年に正木氏が池田氏の不興を買い、理事長職を表向きは“体調不良”で退いています。一方、ライバルの谷川氏も一時失脚のうわさが流れたこともあり、かつての勢いはありません。とはいえ谷川氏は正木氏と違い、完全に席を追われたわけではない。原田氏の後任を狙えるポジションにはつけています」(前出・デスク) しかし、今秋、原田会長は任期を延長したばかりでしばらくは原田時代が続くとの見方だ。「池田さんに完全に依存」 後継者の選定に限れば、死の影響は少ないといえようが、「原田さんには池田さんのようなカリスマ性はなく、求心力の低下は免れないでしょう」山口那津男・公明党代表 そう指摘するのは、創価学会に詳しいジャーナリストの乙骨正生氏だ。「学会の会員数、集票力は年々低下の一途をたどっています。公明党は05年の郵政選挙では比例区で898万票を集めたのですが、それをピークに票が減り続けて、ついに昨年の参議院選挙では3分の2の618万票まで落ち込んでいます。そんな状況で“永遠の指導者”と仰ぐ池田さんにこの世を去られてしまった。学会や公明党の幹部は、内心で相当焦っているのでは」(同) 確かに会員が高齢化し、新陳代謝が進まず、組織は弱体化している。 ジャーナリストの田原総一朗氏も、「創価学会も公明党も、これからが大変ですよ。なにしろ3代目会長(池田氏)までは常に新しいビジョンを打ち出してきていたのに、原田会長は一切、それを打ち出してこなかったのだから」 こう指摘したうえで、次のように語る。「創価学会は池田さんに完全に依存してしまっており、聖教新聞には毎週のように90年代の池田さんの写真が掲載されているんだけど、あれじゃ若い信者を獲得なんかできない」(同)原田会長と山口代表が そして、以下のような事実を明かす。「池田さんが亡くなったという報道が流れたあとに創価学会の元幹部と電話で話をしたのですが、学会も組織として今後どうしたらいいか迷っているようだったので一度原田会長と会って話をしようと言いました。しかも同時間帯に公明党代表の山口(那津男)さんからも“田原さんと会いたい”と電話があった。学会も党も皆、今後どうすればいいのか悩み始めているのでしょう」 先の乙骨氏も言う。「池田さんがいなくなったことで、今後、さらに集票力の低下に拍車が掛かることが予想されます。自民党の麻生太郎副総裁(83)が今年9月、山口代表らを名指しして“(安全保障関連3文書改定に関して)一番動かなかった、がんだった”と発言したことが話題になりましたけど、自民党は最近公明党を見限り始めている。本格的な“公明切り”が始まりかねない」 池田氏の肝いりでもある、自公連立政権の見直しの動きも起こり得るというのだ。「相続税の修正申告だけで済めばいいが…」 しかも、学会と公明党の悩みの種は、求心力の低下に起因する学会員減少及び集票力の低下だけではない。「過去に矢野絢也氏(91)も指摘していた問題ですが、池田名誉会長は学会の会計で個人的な趣味の美術品などを購入していた。何が学会の資産で何が個人のものなのか曖昧な、途方もない額の動産などが存在するとみられています。かなり以前から、顧問弁護士らが整理を進め相続税対策を立ててきたはずですが、今後、国税局との間で個人の資産の規模に関して“見解の相違”が生じる可能性がある。その場合、相続税の修正申告だけで済めばいいですが……」(前出・学会関係者) 巨大組織を見舞ったドン喪失の激震。多方面への大きな余波はしばらく収まりそうにない。「週刊新潮」2023年11月30日号 掲載
まずは、かねて度々取り沙汰されてきた「ポスト池田」についてだ。
池田大作名誉会長は妻・香峯子さん(91)との間に3人の子供をもうけている。長男・博正氏(70)、二男の故・城久氏(享年29)、三男・尊弘(たかひろ)氏(65)である。博正氏は主任副会長、尊弘氏は創価学園副理事長の立場。ともに主要幹部であるには違いないが、
「息子たちに組織が世襲されることにはならないでしょう」
とは政治部デスク。
「池田氏自らが、かつて世襲を否定していたのに加えて、なにしろ今は原田稔会長(82)の天下。2006年に会長に就任した原田氏は秋谷栄之助前会長(93)の後のワンポイントリリーフとみられていたのですが、10年に池田氏が“引退宣言”を発して以降、その代弁者として振る舞うようになり、力をつけてしまいましたから」(同)
この点、学会関係者も、
「池田名誉会長が表舞台に立てなくなり、重病説が流れるようになって以降も原田会長ほか、ごく少数の幹部のみが池田名誉会長と週に複数回の面談を許される状況にあったのは確か」
などと証言する。
そもそも池田氏の後継の座を巡っては、かつて谷川佳樹主任副会長(66)と正木正明前理事長(69)のあいだで激しい鞘当てが繰り広げられていたのだが、
「15年に正木氏が池田氏の不興を買い、理事長職を表向きは“体調不良”で退いています。一方、ライバルの谷川氏も一時失脚のうわさが流れたこともあり、かつての勢いはありません。とはいえ谷川氏は正木氏と違い、完全に席を追われたわけではない。原田氏の後任を狙えるポジションにはつけています」(前出・デスク)
しかし、今秋、原田会長は任期を延長したばかりでしばらくは原田時代が続くとの見方だ。
後継者の選定に限れば、死の影響は少ないといえようが、
「原田さんには池田さんのようなカリスマ性はなく、求心力の低下は免れないでしょう」
そう指摘するのは、創価学会に詳しいジャーナリストの乙骨正生氏だ。
「学会の会員数、集票力は年々低下の一途をたどっています。公明党は05年の郵政選挙では比例区で898万票を集めたのですが、それをピークに票が減り続けて、ついに昨年の参議院選挙では3分の2の618万票まで落ち込んでいます。そんな状況で“永遠の指導者”と仰ぐ池田さんにこの世を去られてしまった。学会や公明党の幹部は、内心で相当焦っているのでは」(同)
確かに会員が高齢化し、新陳代謝が進まず、組織は弱体化している。
ジャーナリストの田原総一朗氏も、
「創価学会も公明党も、これからが大変ですよ。なにしろ3代目会長(池田氏)までは常に新しいビジョンを打ち出してきていたのに、原田会長は一切、それを打ち出してこなかったのだから」
こう指摘したうえで、次のように語る。
「創価学会は池田さんに完全に依存してしまっており、聖教新聞には毎週のように90年代の池田さんの写真が掲載されているんだけど、あれじゃ若い信者を獲得なんかできない」(同)
そして、以下のような事実を明かす。
「池田さんが亡くなったという報道が流れたあとに創価学会の元幹部と電話で話をしたのですが、学会も組織として今後どうしたらいいか迷っているようだったので一度原田会長と会って話をしようと言いました。しかも同時間帯に公明党代表の山口(那津男)さんからも“田原さんと会いたい”と電話があった。学会も党も皆、今後どうすればいいのか悩み始めているのでしょう」
先の乙骨氏も言う。
「池田さんがいなくなったことで、今後、さらに集票力の低下に拍車が掛かることが予想されます。自民党の麻生太郎副総裁(83)が今年9月、山口代表らを名指しして“(安全保障関連3文書改定に関して)一番動かなかった、がんだった”と発言したことが話題になりましたけど、自民党は最近公明党を見限り始めている。本格的な“公明切り”が始まりかねない」
池田氏の肝いりでもある、自公連立政権の見直しの動きも起こり得るというのだ。
しかも、学会と公明党の悩みの種は、求心力の低下に起因する学会員減少及び集票力の低下だけではない。
「過去に矢野絢也氏(91)も指摘していた問題ですが、池田名誉会長は学会の会計で個人的な趣味の美術品などを購入していた。何が学会の資産で何が個人のものなのか曖昧な、途方もない額の動産などが存在するとみられています。かなり以前から、顧問弁護士らが整理を進め相続税対策を立ててきたはずですが、今後、国税局との間で個人の資産の規模に関して“見解の相違”が生じる可能性がある。その場合、相続税の修正申告だけで済めばいいですが……」(前出・学会関係者)
巨大組織を見舞ったドン喪失の激震。多方面への大きな余波はしばらく収まりそうにない。
「週刊新潮」2023年11月30日号 掲載

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