アマゾン配達中にけが、個人事業主でも労災認定…1日100件以上配送など「労働者」に該当

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ネット通販大手「アマゾンジャパン」の商品配達を運送会社から委託され、配達中にけがをした個人事業主の60歳代男性が、横須賀労働基準監督署から労災認定を受けていたことがわかった。
個人事業主は原則、労災の対象外だが、配達の実態などから運送会社側の指示で働く「労働者」に当たると判断された。認定は9月26日付。
男性と男性の弁護団が4日、東京都内で記者会見して明らかにした。弁護団によると、個人事業主の配達員に労災が認められたのは初めてだという。
神奈川県横須賀市に住む男性は2019年、アマゾンの配送を担う運送会社と業務委託契約を締結。昨年9月、アマゾンの商品を配達中に階段から落下して腰椎を圧迫骨折する重傷を負った。男性は約2か月間、休業したが、個人事業主は、労災保険に自ら加入していなければ休業補償を受けられないため、収入が大きく減ったという。
男性は、アマゾンから提供されたアプリで配送先などの指示を受け、1日100件以上の配達をこなし、運送会社側から出勤日や始業時間などについても指定されていた。昨年11月、「労働者と同様に労災が認められるべきだ」として労災を申請。労基署は、男性の働き方から、企業に雇用された「労働者」と判断し、50日間の休業補償についても認めたという。
ネット通販の拡大で、物流業界では個人事業主に配送を委託するケースが多い。記者会見した男性は「泣き寝入りする人はいっぱいいる。全国の配達員が安心して働けるように、雇用の仕組みが変わってほしい」と訴えた。運送会社は「現時点では具体的な回答を差し控える」としている。

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