なぜ「10年も」道路を放置? 「ずっと通行止め」の謎… 広島の住宅街に放置された「高架橋」未開通の事情とは

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広島市佐伯区八幡東の住宅街に、完成から10年以上経過しているのにクルマが通れない高架橋が存在します。なぜこのような状況が続いているのでしょうか。
2023年4月現在、この高架橋は歩行者や自転車は通れますが、車道はフェンスで封鎖されており通れません。
【画像】高架橋を上った先「フェンスの反対側」の様子を見る(10枚) この道路は、JR山陽本線の五日市駅付近から八幡東一丁目をつなぐ市道駅前線の一部です。 市道は1957年に建設計画が決まっていたものの、事業採択は1996年になってからで、以降、駅前線の造成事業は現在も続いています。

目的は、佐伯区に点在している住宅団地同士のアクセス活性化や緊急時の避難路確保などです。 駅前線の計画延長は977mで、全線が開通すると付近にある国道2号西広島バイパスに向かう車両が分散され、渋滞の解消が期待されています。 広島市は1996年から市道造成のための用地買収を開始し、2011年には高架橋を含む305mの道路が完成。しかし残り672mの時点で工事が難航し、現在のように高架橋が完成しつつもクルマが通行できない状態に陥っています。なぜクルマが通れない状態が続いているのか では、なぜそのような事態となったのでしょうか。 理由としては、用地買収の際、土地の所有者が海外にいる、土地の相続手続きが行われていないなどの事情によって市道を造るための用地買収がうまく進まなかったことが挙げられます。 中には関係地権者が約100人もいる土地が存在し、土地の買収交渉が長期化しているケースや、買収価格の問題、道路の造成事業への反対などで地権者と交渉が進んでいないケースもあります。車両が通れないまま10年以上が経過した市道駅前線の高架橋((C) Google) 広島市は、完成した高架橋だけでも使用できないか地元住民と検討したものの、「付近の住宅街を抜けるクルマが増えて危険である」といった反対意見を受け、封鎖されることとなったのです。 ただし高架橋の歩道に関しては、2012年度に北側、2014年度に南側の歩道がそれぞれ使用できるように手続きが行われました。 SNSではこの高架橋について「昔からずっとこのまま。市道の工事自体が中断されているかと思っていた」という声や「以前この近くに住んでいたけど、まだ開通していなかったのか……」など驚きの声のほか、「通常は用地買収が済んでから工事にあたるのでは? 市の見通しが甘かったんじゃないか」などの意見が寄せられています。 広島市が公表している「令和2年度第1回広島市公共事業再評価審議会資料」には、用地の買収に関して「約100名の権利者が所有する共有名義の土地について取得の目途も立ってきているところであり、今後も引き続き、残りの用地の計画的な買収、工事に努める」と言及したうえ、2020年からは西広島バイパス側にある皆賀地区の工事を開始しました。 広島市は今後、用地買収の交渉と並行しながら工事を進め、2025年度末の完成を目指すようです。 この市道については総事業費42億円を見込んでおり、2022年度末までに29億円の費用がかかっています。 広島市は、市道が完成すれば交通渋滞が緩和されクルマの走行時間・経費が減少するほか、交通事故も減少が期待できるなど得られる利益が事業費用を上回ると分析していますが、地域住民の中には年数が経過し過ぎていることに苦言を呈する声も寄せられています。
この道路は、JR山陽本線の五日市駅付近から八幡東一丁目をつなぐ市道駅前線の一部です。
市道は1957年に建設計画が決まっていたものの、事業採択は1996年になってからで、以降、駅前線の造成事業は現在も続いています。
目的は、佐伯区に点在している住宅団地同士のアクセス活性化や緊急時の避難路確保などです。
駅前線の計画延長は977mで、全線が開通すると付近にある国道2号西広島バイパスに向かう車両が分散され、渋滞の解消が期待されています。
広島市は1996年から市道造成のための用地買収を開始し、2011年には高架橋を含む305mの道路が完成。しかし残り672mの時点で工事が難航し、現在のように高架橋が完成しつつもクルマが通行できない状態に陥っています。
では、なぜそのような事態となったのでしょうか。
理由としては、用地買収の際、土地の所有者が海外にいる、土地の相続手続きが行われていないなどの事情によって市道を造るための用地買収がうまく進まなかったことが挙げられます。
中には関係地権者が約100人もいる土地が存在し、土地の買収交渉が長期化しているケースや、買収価格の問題、道路の造成事業への反対などで地権者と交渉が進んでいないケースもあります。
広島市は、完成した高架橋だけでも使用できないか地元住民と検討したものの、「付近の住宅街を抜けるクルマが増えて危険である」といった反対意見を受け、封鎖されることとなったのです。
ただし高架橋の歩道に関しては、2012年度に北側、2014年度に南側の歩道がそれぞれ使用できるように手続きが行われました。
SNSではこの高架橋について「昔からずっとこのまま。市道の工事自体が中断されているかと思っていた」という声や「以前この近くに住んでいたけど、まだ開通していなかったのか……」など驚きの声のほか、「通常は用地買収が済んでから工事にあたるのでは? 市の見通しが甘かったんじゃないか」などの意見が寄せられています。
広島市が公表している「令和2年度第1回広島市公共事業再評価審議会資料」には、用地の買収に関して「約100名の権利者が所有する共有名義の土地について取得の目途も立ってきているところであり、今後も引き続き、残りの用地の計画的な買収、工事に努める」と言及したうえ、2020年からは西広島バイパス側にある皆賀地区の工事を開始しました。
広島市は今後、用地買収の交渉と並行しながら工事を進め、2025年度末の完成を目指すようです。
この市道については総事業費42億円を見込んでおり、2022年度末までに29億円の費用がかかっています。
広島市は、市道が完成すれば交通渋滞が緩和されクルマの走行時間・経費が減少するほか、交通事故も減少が期待できるなど得られる利益が事業費用を上回ると分析していますが、地域住民の中には年数が経過し過ぎていることに苦言を呈する声も寄せられています。

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